34 / 92
3巻
3-2
しおりを挟む
「討伐隊は出ないんですか?」
「出すと聞いたよ。僕は町で調味料を買ってからこちらに戻ってきたんだけど、帰り際、自警団の騎士や兵士と、冒険者が門に集まっているのを見たから。もう出発しているかもね」
「騎士も兵士も冒険者も、盗賊や魔物の相手は慣れているからな。ブラウンベアのレベルと討伐隊の人数にもよるが、人間たちが負けることはないだろう」
「そうですか」
テトさんに続いて、バトラーさんも説明してくれた。
魔物だけじゃなく、人間たちも弱肉強食。
ゲームと違ってコンティニューできないんだから、どちらも負ければそこで終わりだもんね。そりゃあ自然の脅威に対して真剣にもなるし、対処もするだろう。
長々と話をしたが、そんなわけで門が開くまではこの場所で待機。薪は隣の小さな魔の森から倒木を拾ってくるんだとさ。
薪は溜め込んでいるとはいえ、今の人数で一冬過ごすとなると足りなくなりそうだ。
きっと、町で買うわけにもいかないんだろう。
薪は暖を取るだけじゃなく、料理にも使う。
どれだけあっても困らないし、需要が高まって価格が高騰しているだろうから。
まあ、これから盗賊が押し寄せてきそうな場所になるべく行きたくないっていう理由もあるんだろうね~。
ここには、犯罪者ホイホイな美幼女がいるし。
同じく犯罪者ホイホイになりそうなイケメンと美女もいるし。
神獣である大人たちからすれば超~楽な移動距離であり、人間たちにとってはちとキツイ場所にあるここに留まるのが最適だと考えたのだろう。
だって、彼らは雪の上を歩けるけれど、町にいる人間は雪をかき分けながら出かけるしかないんだから。
地球のようにかんじきやスキー板があるならともかく、雪用ブーツ程度では歩くのが大変な積雪量だもの。
……もしかしたらかんじきはあるかもしれないけれど、神獣たちからそんな話は聞いていない。なので、今はないと仮定しておく。
薪を拾うついでに近くのイグドラシルの状況も見に行くらしい。穢れていたら浄化しないといけないしね。
おっと、滞在期間を聞いておかねば。
「セバスさん、いつまでここにいることになりますか?」
「そうですね……、とりあえず今日と明日はこちらに留まるでしょう。あとは門が開くタイミング次第ですが……。テト、町の様子はどうでした?」
「僕の感覚だと、町の中に定住するのはやめたほうがいいね。盗賊と魔物の件もあるけれど、食料自体が行きわたっていないようで気になった」
「やはり、不作の影響は出ていますか」
「ああ。町の人の話や噂を聞く限り、国と領主が動いたらしいけどね。全国的な規模での不作だから、どうにもならない。それに、今は商人たちが食料品の値段を不当に吊り上げているみたいでね」
「「「「「ああ……」」」」」
神獣たちに交じって、私も溜息をついたよ。
いるよね、食材を買い漁って溜め込み、儲けようとわざと値段を上げる商人が。
商人なら独自のルートで他国から商品を買いつけることができるけれど、定住している住民たちはそうじゃない。
近くの商人から買うしかないから、本当に必要なものは高くても買わざるを得ないわけで……。
領主にバレたら、のちのち困るのは商人のほうだと思うんだけどなあ。
「交代で様子を見に行こう。町がダメそうなら、いっそこのログハウスで一冬を越すか、東か西の国に行くかしたほうがいいね」
「そうですね。そこはわたくしたち全員で見極めてから、結論を出しましょう」
テトさんの提案に、セバスさんが頷く。
すると、バトラーさんがテトさんに視線を向けた。
「危ないから、ステラは町に連れていかないぞ」
「連れていくにしても、様子を確認してからだね」
「そこはわかってます。私もみなさんと離れたくないですし」
年齢的に、一人っきりで生きていけるとも思えないしね!
そんなことを言えば、神獣たちは微笑みながら私の頭を撫でてくれた。くふ。
外はまだ大粒の雪が降っているが、第二弾の偵察として、バトラーさんとセレスさんが様子を見に行ってくるそうだ。
その内容を踏まえたうえで、明日も午前中から神獣たちが交代で変装して、町に入るんだって。
この世界のスパイスや、この時期に採れる食材を教えてほしいというと、お土産に買ってきてくれるというので頷いた。
初めてのイグドラシル
ログハウスを出て、バトラーさんとセレスさんを見送る。
ちなみに、彼らが町へ行っている間、私はテトさんとキャシーさん、セバスさんと一緒に魔の森へ行くことになっている。
町に入るにあたって、バトラーさんは見た目を壮年に変えた。
装いは剣士の冒険者スタイルで、セレスさんはテトさんのようなローブをかぶり、杖を持った魔法使いスタイルだ。
もちろん二人とも、雨合羽のように水や雪を弾く外套を羽織っている。
こちらの外套とセレスさんのローブは、キャシーさんの下半身である蜘蛛さんの糸を使ったもの。
キャシーさんのお手製であ~る。
「では、いってきますわ」
「ついでに素材をいくつか売ってくる」
「「「気をつけて」」」
「いてら~」
バトラーさんたちは冒険者ギルドのタグを持っているそうで、それを使って町の中に入り、情報を集めてくる気らしい。
バトラーさんがSSSランク冒険者なのは知っていたけれど、まさかセレスさんもギルドタグを持っていたとは。
ちなみに、セレスさんはSランクだそうな。
ランクアップ試験が面倒で、Sランクから上げていないんだってさ。これはセバスさんも同様で、彼もまたSランク保持者らしい。
ドラゴン夫婦の実力的に、本当はSSSランクが適正らしいが……いいのかよ、それで。
恐るべし、神獣様。
いってらっしゃいと二人を見送り、全員でログハウスに戻る。これから、魔の森へ行くための準備をするのだ。
私は防寒対策としてバステト様がくださった、内側がもこもこで、防寒と撥水・防水加工がされたブーツを履く。
このブーツは軍靴か登山靴もかくやな、超頑丈な代物なのであ~る。うーん……もしかしたら、安全靴のつもりで入れてくださったのかもしれない。
あとは下着の上に白い半袖Tシャツと、その上に淡いグリーン地に赤やピンク、黄色など、小花柄の刺繍がされたチュニックを着用。
続けて裏起毛の黒い革ズボンとサバトラ柄の毛糸の靴下をはき、最後にブルーライオンのダッフルコートを羽織った。
どれも防寒や耐寒の【付与】がなされているので、寒さ対策はバッチリさ!
「ステラちゃん、このお帽子と手袋をしたら、行きましょう」
「は~い」
一目で手編みだとわかる、猫耳がついたサバトラ柄の帽子と手袋をキャシーさんにはめてもらう。
私は彼と手を繋いでログハウスを出た。
今回はバトラーさんとセレスさんがいつ帰ってくるかわからない。
だから、二人と私たちにしか見えない結界を張ってログハウスは出したまま森へ出かけるんだって。
そんな説明を受けている間にセバスさんが結界を張り終える。
キャシーさんに抱き上げられ、みんなで森へ出発。そのまま歩くと、私の体では雪に埋まっちゃうからね!
神獣三人が、警戒しながら魔の森の奥へ向かっていく。
先頭はセバスさんで次が私とキャシーさん、殿はテトさんだ。
しんしんと降る雪華は、たまに吹きつける風によって舞い上がり、枯れた木々に付着してゆく。なんとも幻想的。
まばらだった落葉樹が少しずつ増え、常緑樹と混在していく森。
霧氷と樹氷が交じり合い、常緑樹はとうとうスノーモンスターへ変貌していた。
「綺麗でしゅねぇ」
おおう、噛んだ!
「ふふっ、そうね。まるで、雪の魔物みたいよね」
「「たしかに」」
「前世の私が暮らしていた国の、有名な豪雪地帯にも、同じものがありましたよ。そこでは大きく育った樹氷のことを、スノーモンスターと呼んでいました」
スノーモンスターは雪の怪物――この世界だと雪の魔物という意味だと教えると、三人とも「なるほど、言いえて妙だ」と口を揃え、頷いていた。
ひとつとして同じ形がないのよね、スノーモンスターって。
仕事で真冬の蔵王に行ったとき、たまたま時間が取れて見に行った記憶がある。その景色がとても綺麗で幻想的だったことをなんとなく思い出した。
そんな話をしていると、雪に埋もれかけている倒木や枯れ木を発見。どうやら雪の重みで倒れたり折れたりしたらしい。
あとで乾燥させようと、軽く水分だけ飛ばし、【アイテムボックス】にしまう神獣たち。私は枯れ枝を見つけては、近くにいる誰かに手渡した。
そうこうしながら進むうちに、そこだけぽっかりと雪が積もっていないところへ出た。
目の前には天辺の樹冠にだけうっすらと雪が積もった世界樹の子樹が、世界樹と同じように淡いエメラルドグリーンの光を放出している。光はゆっくりと地上へ降り注ぎ、消えていった。
イグドラシルとはいえど、それなりにデカい樹だ。
大人四人か五人が両手を広げてやっと囲い込めるくらいの太さだから、直径二、三メートル前後かな?
そう考えると、直径五十メートルを軽く超えていたであろうユグドラシルは、アホみたいにデカすぎる。
それはともかく。
「イグドラシルも、ユグドラシルと同じように循環しているんですね」
「ええ」
「綺麗よねぇ」
「本当だね」
私の質問に答えてくれたのは、セバスさん。満足そうに目を細め、イグドラシルを見ている。
それはキャシーさんとテトさんも同じで、彼らはどこかホッとした様子を見せていた。
しかし……やっぱりというかなんというか。
ユグドラシルを浄化したとはいえ、死の森からさほど離れていない土地に生えるイグドラシルだからか、若干の穢れが残っているようだ。
相当穢れていたのだろう。イグドラシルの根元だけではなく、周囲の地面からも靄が発生している。
こりゃいかんということで、私はイグドラシルとその周辺を範囲指定し、穢れを祓う魔法――【ライニグング】を無詠唱で発動。
すると、なぜか「ぐあぁぁぁっ!」と断末魔が聞こえた。
イグドラシルのうしろ側が一段と光り輝き、靄が天に昇っていく。
「「「「……」」」」
つい、全員で無言になる。いったいなにがあった!?
四人で顔を見合わせたあと、私たちは二手に分かれてイグドラシルの周囲を回り、声がしたうしろ側へ移動した。
浄化の影響でレベルアップ音が聞こえてくるが、体調はちょっと頭痛がするかな? くらいなので、無視だ無視。
小さく息をついたと同時にイグドラシルの裏側に到着する。
そこで見たものは――。
「「「「たくさんの、骨?」」」」
四人でハモったーー!
そこにあったのは本当にたくさんの骨だった。
頭蓋骨だけを見ると、人間と思しきものが五、動物、または魔物と思しきものが十。
それ以外の骨はいろいろ交ざっていて、どの骨が人間なのか動物なのかさっぱりわからない状態で散らばっている。
「アンデッドになった直後か、なる直前の遺骸だったんでしょう。イグドラシルの穢れとは別口で穢れていたということは、相当な恨みを買っていたか、誰かを恨んでいたか、ですね」
「この場合は恨まれていたんじゃないかしら?」
状況を分析するセバスさん、キャシーさんに、テトさんが頷いた。
「そうだね、恨まれていたと思うよ? 人間と魔物の骨だし、これ」
「魔物の骨? ということはテイマーですか?」
「違うよ」
なんか新しい職業が出てきたぞ? ほ~、この世界にはテイマーもいるのか。
念のためにどんな職業か聞いたら、三種類のテイマーがいるらしい。
ひとつめは飼育師。これは主に牧場で働いている人のこと。
ふたつめは調教師。小型で温厚な魔物や動物を飼いたい人へ販売したり、人間に危害を加えたりしないように調教する人のこと。別名、ブリーダー。
牧場にいる馬も、彼らが調教するという。競走馬の調教師みたい、なんて感想を持ったよ。
そして最後は、使役師。ファンタジー小説などでよくみる、魔物を使役する人のこと。
ただし、魔物と心を通わせて一緒に戦う人もいれば、無理やり言うことを聞かせる、悪質な人もいる。
セバスさんは、この亡骸が後者のタイプではないかと疑ったようだ。
無理やり使役すると、魔物によっては怒り心頭で自らを従わせようとした人を殺すそう。
そんな話をしながら、セバスさんとキャシーさん、テトさんが骨を回収して一箇所に集めていく。
そして、火魔法を使って一気に燃やした。青白く、高温だと窺える炎が立ち上る。
テトさんは、死神という種族ゆえの特性で、過去視――死者の過去やどういった事情で亡くなったのか視ることができるみたい。
始まったテトさんの話に、みんなで耳を傾ける。
「ここにあった骨は、人間が五体、魔物が十体。人間は全員男で、魔物はディア系とベア系の色違いが各三頭、残りはグレイハウンドとレッドハウンドが各二体ずつ。どの魔物も上位種だった」
青白い炎を見ながら、痛ましげな顔をするテトさん。
五人の人族は商人と護衛。商人は違法な手段を用いて商売をしていた、いわゆる悪徳商人だった。
商品は相場より低く買い、相場より高く売るという、まさに悪徳商法だ。
取引先が「買取価格が低すぎて売れない」と言うと口八丁手八丁で言葉巧みに騙して品物を巻き上げ、「高くて支払えない」と語る顧客は殺したり、家族を奴隷として売り払ったりする。
そんなことをしていれば、当事者やその親類縁者から恨まれるのは当然のことだ。
彼らの憎悪が穢れとなり、生前のうちから商人にまとわりついていたという。
一緒にいる魔物も、依頼の産物。貴族から「生きて捕獲しろ」という無理難題を押しつけられ、それを輸送している最中だったらしい。
依頼主にもらった魔道具を使って捕まえたものの、その魔道具はお世辞にも性能がいいとはいえない代物だった。
途中で拘束が解けて魔道具を破壊され、商人たちは怒り心頭な魔物と戦闘になる。挙げ句、両者とも怪我による出血多量で死亡。
これがほんの十数年前の話だというのだから驚きだ。どれだけ恨まれるようなことをしたんだろう?
魔物からも恨まれた五人は、生前の穢れも相まって、とうとうアンデッドになった直後に、私が放った【ライニグング】を浴び、成仏したらしい。合掌。
タイミングがいいのか悪いのかは知らんが、地面を覆うほどの靄を放っていたんだから、かなりの人数――百人はくだらないだろう人たちから恨まれていたんだなと、つい遠い目になってしまう。
まあ、話を聞く限り、因果応報である。
神獣たちにしてみれば、「知らんがな」「ざ ま ぁ !」で終わる話だ。
改めて、弱肉強食なせいか、やっぱりこの世界は命が軽いと感じる。これは人間にも魔物にも言えることだ。
とはいえ、まともに、そして真面目に精一杯生きている人がいるし、魔物に立ち向かう冒険者や騎士、兵士といった職業の人もいることが、せめてもの救いか。
やがて炎が消え、灰だけが残された。
セバスさん、そしてテトさんとキャシーさんが祈る――黙祷を捧げるように目をつむって手を組むと、灰になった骨が雪と混じって舞い上がり、キラキラと輝いて天に昇ってゆく。
神獣特有の【ライニグング】なのか、あるいは純粋な祈りなのかはわからないけれど、とても綺麗な光景だ。
私も両手を合わせ、どうか心穏やかに成仏してくださいと、日本式の祈りを捧げる。
テトさんの話を聞いたあとなので、本音をぶっちゃければ、「ざ ま ぁ ! 次は悪さすんじゃねーぞ!」である。
心穏やかにとは言ったが、魂を管理しているであろう死者を司る神が、彼らの生前の所業をどう判断するかは知らん。
祈りを捧げ終わり、イグドラシル周辺の状態を確認。私の仕事である穢れの浄化はバッチリ終わっている。
周辺も問題なしと判断したセバスさんの提案で、来た道とは違うルートを通ってログハウスがある場所に戻ることになった。
テクテクと歩いていくと、雪が降り積もっているというのに、咲き誇る花の群生地を発見。
見つけたのは、どれも薬だの毒だの液体魔法薬の材料だのになる植物ばかり。
最初に鑑定したのは、ピンクと黄色、オレンジのラナンキュラス。他の地域では白と紫、青などもあるらしい。
どれも皮膚を爛れさせたり、心臓を止めるほどの毒性を持っていたりと危険極まりないが、癒し草などと混ぜることで薬になるんだそう。あれだ。毒と薬は紙一重的なやつ。
次に発見したのは、淡い緑と白、薄紫とピンクに近い紫のクリスマスローズ。他にも濃い紫と白に紫の縁取りをしているものなど、色はかなり豊富みたい。
このクリスマスローズもどちらかといえば毒に分類され、嘔吐や腹痛、下痢やけいれんを起こす。胃腸炎系で同じ症状の、感染症に近い毒だ。
ただし、堕胎薬や下剤、強心剤などの薬にもなることから、用途は広範囲に亘る、優れもの。
そして最後に見つけたのは、赤、赤と白の斑模様、白、淡いピンク、薄緑の椿。
この椿は観賞用、食用、薬用に分類されるものの三種類だそう。
斑と赤は観賞用、白と淡いピンクが食用、緑が薬用だって。
種に関しては観賞用だろうと食用だろうと薬用だろうと、食用油として重宝されているんだとか。特に薬用は、育毛剤や髪の保湿用香油の原材料のひとつだそうな。
……この世界にもいるんだね、育毛剤が必要な人。
明後日の方向に感想を抱きつつ、どれも薬草や毒草として優秀なので採取。苗として根っこごと抜いた。
椿に至ってはバトラーさんが欲しがるだろうからと、色ごとに三株ずつ引っこ抜いていたよ、テトさんが。
喜々として、けれど丁寧に椿を抜くテトさん。
そんな彼を見て、セバスさんとキャシーさんが呆れた顔をし、私は生ぬるい視線を送ったと言っておく。
「出すと聞いたよ。僕は町で調味料を買ってからこちらに戻ってきたんだけど、帰り際、自警団の騎士や兵士と、冒険者が門に集まっているのを見たから。もう出発しているかもね」
「騎士も兵士も冒険者も、盗賊や魔物の相手は慣れているからな。ブラウンベアのレベルと討伐隊の人数にもよるが、人間たちが負けることはないだろう」
「そうですか」
テトさんに続いて、バトラーさんも説明してくれた。
魔物だけじゃなく、人間たちも弱肉強食。
ゲームと違ってコンティニューできないんだから、どちらも負ければそこで終わりだもんね。そりゃあ自然の脅威に対して真剣にもなるし、対処もするだろう。
長々と話をしたが、そんなわけで門が開くまではこの場所で待機。薪は隣の小さな魔の森から倒木を拾ってくるんだとさ。
薪は溜め込んでいるとはいえ、今の人数で一冬過ごすとなると足りなくなりそうだ。
きっと、町で買うわけにもいかないんだろう。
薪は暖を取るだけじゃなく、料理にも使う。
どれだけあっても困らないし、需要が高まって価格が高騰しているだろうから。
まあ、これから盗賊が押し寄せてきそうな場所になるべく行きたくないっていう理由もあるんだろうね~。
ここには、犯罪者ホイホイな美幼女がいるし。
同じく犯罪者ホイホイになりそうなイケメンと美女もいるし。
神獣である大人たちからすれば超~楽な移動距離であり、人間たちにとってはちとキツイ場所にあるここに留まるのが最適だと考えたのだろう。
だって、彼らは雪の上を歩けるけれど、町にいる人間は雪をかき分けながら出かけるしかないんだから。
地球のようにかんじきやスキー板があるならともかく、雪用ブーツ程度では歩くのが大変な積雪量だもの。
……もしかしたらかんじきはあるかもしれないけれど、神獣たちからそんな話は聞いていない。なので、今はないと仮定しておく。
薪を拾うついでに近くのイグドラシルの状況も見に行くらしい。穢れていたら浄化しないといけないしね。
おっと、滞在期間を聞いておかねば。
「セバスさん、いつまでここにいることになりますか?」
「そうですね……、とりあえず今日と明日はこちらに留まるでしょう。あとは門が開くタイミング次第ですが……。テト、町の様子はどうでした?」
「僕の感覚だと、町の中に定住するのはやめたほうがいいね。盗賊と魔物の件もあるけれど、食料自体が行きわたっていないようで気になった」
「やはり、不作の影響は出ていますか」
「ああ。町の人の話や噂を聞く限り、国と領主が動いたらしいけどね。全国的な規模での不作だから、どうにもならない。それに、今は商人たちが食料品の値段を不当に吊り上げているみたいでね」
「「「「「ああ……」」」」」
神獣たちに交じって、私も溜息をついたよ。
いるよね、食材を買い漁って溜め込み、儲けようとわざと値段を上げる商人が。
商人なら独自のルートで他国から商品を買いつけることができるけれど、定住している住民たちはそうじゃない。
近くの商人から買うしかないから、本当に必要なものは高くても買わざるを得ないわけで……。
領主にバレたら、のちのち困るのは商人のほうだと思うんだけどなあ。
「交代で様子を見に行こう。町がダメそうなら、いっそこのログハウスで一冬を越すか、東か西の国に行くかしたほうがいいね」
「そうですね。そこはわたくしたち全員で見極めてから、結論を出しましょう」
テトさんの提案に、セバスさんが頷く。
すると、バトラーさんがテトさんに視線を向けた。
「危ないから、ステラは町に連れていかないぞ」
「連れていくにしても、様子を確認してからだね」
「そこはわかってます。私もみなさんと離れたくないですし」
年齢的に、一人っきりで生きていけるとも思えないしね!
そんなことを言えば、神獣たちは微笑みながら私の頭を撫でてくれた。くふ。
外はまだ大粒の雪が降っているが、第二弾の偵察として、バトラーさんとセレスさんが様子を見に行ってくるそうだ。
その内容を踏まえたうえで、明日も午前中から神獣たちが交代で変装して、町に入るんだって。
この世界のスパイスや、この時期に採れる食材を教えてほしいというと、お土産に買ってきてくれるというので頷いた。
初めてのイグドラシル
ログハウスを出て、バトラーさんとセレスさんを見送る。
ちなみに、彼らが町へ行っている間、私はテトさんとキャシーさん、セバスさんと一緒に魔の森へ行くことになっている。
町に入るにあたって、バトラーさんは見た目を壮年に変えた。
装いは剣士の冒険者スタイルで、セレスさんはテトさんのようなローブをかぶり、杖を持った魔法使いスタイルだ。
もちろん二人とも、雨合羽のように水や雪を弾く外套を羽織っている。
こちらの外套とセレスさんのローブは、キャシーさんの下半身である蜘蛛さんの糸を使ったもの。
キャシーさんのお手製であ~る。
「では、いってきますわ」
「ついでに素材をいくつか売ってくる」
「「「気をつけて」」」
「いてら~」
バトラーさんたちは冒険者ギルドのタグを持っているそうで、それを使って町の中に入り、情報を集めてくる気らしい。
バトラーさんがSSSランク冒険者なのは知っていたけれど、まさかセレスさんもギルドタグを持っていたとは。
ちなみに、セレスさんはSランクだそうな。
ランクアップ試験が面倒で、Sランクから上げていないんだってさ。これはセバスさんも同様で、彼もまたSランク保持者らしい。
ドラゴン夫婦の実力的に、本当はSSSランクが適正らしいが……いいのかよ、それで。
恐るべし、神獣様。
いってらっしゃいと二人を見送り、全員でログハウスに戻る。これから、魔の森へ行くための準備をするのだ。
私は防寒対策としてバステト様がくださった、内側がもこもこで、防寒と撥水・防水加工がされたブーツを履く。
このブーツは軍靴か登山靴もかくやな、超頑丈な代物なのであ~る。うーん……もしかしたら、安全靴のつもりで入れてくださったのかもしれない。
あとは下着の上に白い半袖Tシャツと、その上に淡いグリーン地に赤やピンク、黄色など、小花柄の刺繍がされたチュニックを着用。
続けて裏起毛の黒い革ズボンとサバトラ柄の毛糸の靴下をはき、最後にブルーライオンのダッフルコートを羽織った。
どれも防寒や耐寒の【付与】がなされているので、寒さ対策はバッチリさ!
「ステラちゃん、このお帽子と手袋をしたら、行きましょう」
「は~い」
一目で手編みだとわかる、猫耳がついたサバトラ柄の帽子と手袋をキャシーさんにはめてもらう。
私は彼と手を繋いでログハウスを出た。
今回はバトラーさんとセレスさんがいつ帰ってくるかわからない。
だから、二人と私たちにしか見えない結界を張ってログハウスは出したまま森へ出かけるんだって。
そんな説明を受けている間にセバスさんが結界を張り終える。
キャシーさんに抱き上げられ、みんなで森へ出発。そのまま歩くと、私の体では雪に埋まっちゃうからね!
神獣三人が、警戒しながら魔の森の奥へ向かっていく。
先頭はセバスさんで次が私とキャシーさん、殿はテトさんだ。
しんしんと降る雪華は、たまに吹きつける風によって舞い上がり、枯れた木々に付着してゆく。なんとも幻想的。
まばらだった落葉樹が少しずつ増え、常緑樹と混在していく森。
霧氷と樹氷が交じり合い、常緑樹はとうとうスノーモンスターへ変貌していた。
「綺麗でしゅねぇ」
おおう、噛んだ!
「ふふっ、そうね。まるで、雪の魔物みたいよね」
「「たしかに」」
「前世の私が暮らしていた国の、有名な豪雪地帯にも、同じものがありましたよ。そこでは大きく育った樹氷のことを、スノーモンスターと呼んでいました」
スノーモンスターは雪の怪物――この世界だと雪の魔物という意味だと教えると、三人とも「なるほど、言いえて妙だ」と口を揃え、頷いていた。
ひとつとして同じ形がないのよね、スノーモンスターって。
仕事で真冬の蔵王に行ったとき、たまたま時間が取れて見に行った記憶がある。その景色がとても綺麗で幻想的だったことをなんとなく思い出した。
そんな話をしていると、雪に埋もれかけている倒木や枯れ木を発見。どうやら雪の重みで倒れたり折れたりしたらしい。
あとで乾燥させようと、軽く水分だけ飛ばし、【アイテムボックス】にしまう神獣たち。私は枯れ枝を見つけては、近くにいる誰かに手渡した。
そうこうしながら進むうちに、そこだけぽっかりと雪が積もっていないところへ出た。
目の前には天辺の樹冠にだけうっすらと雪が積もった世界樹の子樹が、世界樹と同じように淡いエメラルドグリーンの光を放出している。光はゆっくりと地上へ降り注ぎ、消えていった。
イグドラシルとはいえど、それなりにデカい樹だ。
大人四人か五人が両手を広げてやっと囲い込めるくらいの太さだから、直径二、三メートル前後かな?
そう考えると、直径五十メートルを軽く超えていたであろうユグドラシルは、アホみたいにデカすぎる。
それはともかく。
「イグドラシルも、ユグドラシルと同じように循環しているんですね」
「ええ」
「綺麗よねぇ」
「本当だね」
私の質問に答えてくれたのは、セバスさん。満足そうに目を細め、イグドラシルを見ている。
それはキャシーさんとテトさんも同じで、彼らはどこかホッとした様子を見せていた。
しかし……やっぱりというかなんというか。
ユグドラシルを浄化したとはいえ、死の森からさほど離れていない土地に生えるイグドラシルだからか、若干の穢れが残っているようだ。
相当穢れていたのだろう。イグドラシルの根元だけではなく、周囲の地面からも靄が発生している。
こりゃいかんということで、私はイグドラシルとその周辺を範囲指定し、穢れを祓う魔法――【ライニグング】を無詠唱で発動。
すると、なぜか「ぐあぁぁぁっ!」と断末魔が聞こえた。
イグドラシルのうしろ側が一段と光り輝き、靄が天に昇っていく。
「「「「……」」」」
つい、全員で無言になる。いったいなにがあった!?
四人で顔を見合わせたあと、私たちは二手に分かれてイグドラシルの周囲を回り、声がしたうしろ側へ移動した。
浄化の影響でレベルアップ音が聞こえてくるが、体調はちょっと頭痛がするかな? くらいなので、無視だ無視。
小さく息をついたと同時にイグドラシルの裏側に到着する。
そこで見たものは――。
「「「「たくさんの、骨?」」」」
四人でハモったーー!
そこにあったのは本当にたくさんの骨だった。
頭蓋骨だけを見ると、人間と思しきものが五、動物、または魔物と思しきものが十。
それ以外の骨はいろいろ交ざっていて、どの骨が人間なのか動物なのかさっぱりわからない状態で散らばっている。
「アンデッドになった直後か、なる直前の遺骸だったんでしょう。イグドラシルの穢れとは別口で穢れていたということは、相当な恨みを買っていたか、誰かを恨んでいたか、ですね」
「この場合は恨まれていたんじゃないかしら?」
状況を分析するセバスさん、キャシーさんに、テトさんが頷いた。
「そうだね、恨まれていたと思うよ? 人間と魔物の骨だし、これ」
「魔物の骨? ということはテイマーですか?」
「違うよ」
なんか新しい職業が出てきたぞ? ほ~、この世界にはテイマーもいるのか。
念のためにどんな職業か聞いたら、三種類のテイマーがいるらしい。
ひとつめは飼育師。これは主に牧場で働いている人のこと。
ふたつめは調教師。小型で温厚な魔物や動物を飼いたい人へ販売したり、人間に危害を加えたりしないように調教する人のこと。別名、ブリーダー。
牧場にいる馬も、彼らが調教するという。競走馬の調教師みたい、なんて感想を持ったよ。
そして最後は、使役師。ファンタジー小説などでよくみる、魔物を使役する人のこと。
ただし、魔物と心を通わせて一緒に戦う人もいれば、無理やり言うことを聞かせる、悪質な人もいる。
セバスさんは、この亡骸が後者のタイプではないかと疑ったようだ。
無理やり使役すると、魔物によっては怒り心頭で自らを従わせようとした人を殺すそう。
そんな話をしながら、セバスさんとキャシーさん、テトさんが骨を回収して一箇所に集めていく。
そして、火魔法を使って一気に燃やした。青白く、高温だと窺える炎が立ち上る。
テトさんは、死神という種族ゆえの特性で、過去視――死者の過去やどういった事情で亡くなったのか視ることができるみたい。
始まったテトさんの話に、みんなで耳を傾ける。
「ここにあった骨は、人間が五体、魔物が十体。人間は全員男で、魔物はディア系とベア系の色違いが各三頭、残りはグレイハウンドとレッドハウンドが各二体ずつ。どの魔物も上位種だった」
青白い炎を見ながら、痛ましげな顔をするテトさん。
五人の人族は商人と護衛。商人は違法な手段を用いて商売をしていた、いわゆる悪徳商人だった。
商品は相場より低く買い、相場より高く売るという、まさに悪徳商法だ。
取引先が「買取価格が低すぎて売れない」と言うと口八丁手八丁で言葉巧みに騙して品物を巻き上げ、「高くて支払えない」と語る顧客は殺したり、家族を奴隷として売り払ったりする。
そんなことをしていれば、当事者やその親類縁者から恨まれるのは当然のことだ。
彼らの憎悪が穢れとなり、生前のうちから商人にまとわりついていたという。
一緒にいる魔物も、依頼の産物。貴族から「生きて捕獲しろ」という無理難題を押しつけられ、それを輸送している最中だったらしい。
依頼主にもらった魔道具を使って捕まえたものの、その魔道具はお世辞にも性能がいいとはいえない代物だった。
途中で拘束が解けて魔道具を破壊され、商人たちは怒り心頭な魔物と戦闘になる。挙げ句、両者とも怪我による出血多量で死亡。
これがほんの十数年前の話だというのだから驚きだ。どれだけ恨まれるようなことをしたんだろう?
魔物からも恨まれた五人は、生前の穢れも相まって、とうとうアンデッドになった直後に、私が放った【ライニグング】を浴び、成仏したらしい。合掌。
タイミングがいいのか悪いのかは知らんが、地面を覆うほどの靄を放っていたんだから、かなりの人数――百人はくだらないだろう人たちから恨まれていたんだなと、つい遠い目になってしまう。
まあ、話を聞く限り、因果応報である。
神獣たちにしてみれば、「知らんがな」「ざ ま ぁ !」で終わる話だ。
改めて、弱肉強食なせいか、やっぱりこの世界は命が軽いと感じる。これは人間にも魔物にも言えることだ。
とはいえ、まともに、そして真面目に精一杯生きている人がいるし、魔物に立ち向かう冒険者や騎士、兵士といった職業の人もいることが、せめてもの救いか。
やがて炎が消え、灰だけが残された。
セバスさん、そしてテトさんとキャシーさんが祈る――黙祷を捧げるように目をつむって手を組むと、灰になった骨が雪と混じって舞い上がり、キラキラと輝いて天に昇ってゆく。
神獣特有の【ライニグング】なのか、あるいは純粋な祈りなのかはわからないけれど、とても綺麗な光景だ。
私も両手を合わせ、どうか心穏やかに成仏してくださいと、日本式の祈りを捧げる。
テトさんの話を聞いたあとなので、本音をぶっちゃければ、「ざ ま ぁ ! 次は悪さすんじゃねーぞ!」である。
心穏やかにとは言ったが、魂を管理しているであろう死者を司る神が、彼らの生前の所業をどう判断するかは知らん。
祈りを捧げ終わり、イグドラシル周辺の状態を確認。私の仕事である穢れの浄化はバッチリ終わっている。
周辺も問題なしと判断したセバスさんの提案で、来た道とは違うルートを通ってログハウスがある場所に戻ることになった。
テクテクと歩いていくと、雪が降り積もっているというのに、咲き誇る花の群生地を発見。
見つけたのは、どれも薬だの毒だの液体魔法薬の材料だのになる植物ばかり。
最初に鑑定したのは、ピンクと黄色、オレンジのラナンキュラス。他の地域では白と紫、青などもあるらしい。
どれも皮膚を爛れさせたり、心臓を止めるほどの毒性を持っていたりと危険極まりないが、癒し草などと混ぜることで薬になるんだそう。あれだ。毒と薬は紙一重的なやつ。
次に発見したのは、淡い緑と白、薄紫とピンクに近い紫のクリスマスローズ。他にも濃い紫と白に紫の縁取りをしているものなど、色はかなり豊富みたい。
このクリスマスローズもどちらかといえば毒に分類され、嘔吐や腹痛、下痢やけいれんを起こす。胃腸炎系で同じ症状の、感染症に近い毒だ。
ただし、堕胎薬や下剤、強心剤などの薬にもなることから、用途は広範囲に亘る、優れもの。
そして最後に見つけたのは、赤、赤と白の斑模様、白、淡いピンク、薄緑の椿。
この椿は観賞用、食用、薬用に分類されるものの三種類だそう。
斑と赤は観賞用、白と淡いピンクが食用、緑が薬用だって。
種に関しては観賞用だろうと食用だろうと薬用だろうと、食用油として重宝されているんだとか。特に薬用は、育毛剤や髪の保湿用香油の原材料のひとつだそうな。
……この世界にもいるんだね、育毛剤が必要な人。
明後日の方向に感想を抱きつつ、どれも薬草や毒草として優秀なので採取。苗として根っこごと抜いた。
椿に至ってはバトラーさんが欲しがるだろうからと、色ごとに三株ずつ引っこ抜いていたよ、テトさんが。
喜々として、けれど丁寧に椿を抜くテトさん。
そんな彼を見て、セバスさんとキャシーさんが呆れた顔をし、私は生ぬるい視線を送ったと言っておく。
35
あなたにおすすめの小説
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。