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本編 2
元気すぎる子どもたち
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母が満足したあとの夜、久しぶりだからと『アーミーズ』の拠点でご飯を食べることに。
「エアハルトたちも一緒にどうぞ」
「いいのか?」
「もちろんよ。エアハルトは私たちの義息子だし、アレクとナディも似たようなものじゃない」
私たちのほうが年下だけどね! とウィンクしながら笑った母に、全員が苦笑した。結局、帰ってきたばかりということもあって、お言葉に甘えることに。ライゾウさんにもお礼を言いたかったし、カールさんとレイラさんに伝言を頼まれたしね。
でなわけで、私たちの子どもたちを連れて『アーミーズ』の拠点に向かう。『アーミーズ』の拠点には、店の裏にある庭に作ってもらった子どもたち用の小屋と同じものがあるのだ。
人数が多い関係で、うちよりも広いから助かる。
子どもたちは従魔たちと眷属たちに見守られつつ、叔父や叔母であるリョウくんたちと久しぶりに会えるのが嬉しいようで、きゃっきゃとはしゃいでいる。まあ、叔父といっても歳が近いから、兄や姉として慕っているみたい。
それは『アーミーズ』のメンバーである夫婦の子どもたちもそうだし、他の冒険者たちの子どもたちもそう。『アーミーズ』にある小屋は国から認可されている、預かり所でもあるのだ。当然のことながら、国から人材が派遣されているし、なにかあれば国に報告されてしまう。
なので、認可されるまでは大変だけど、されてしまえばわりと自由に子どもを遊ばせることができたりもするのだ。
特に冒険者たちはSランク冒険者の拠点で子どもを預けることができるので、安心してダンジョンに潜ることができるのだ。まあ、西地区の預かり所はここだけではないし、他の地区にもたくさんある。たまたま、『アーミーズ』の拠点が一番広いってだけなんだって。
拠点での預かりに関して、要は日本での認可保育園とか幼稚園の扱いと同じだと考えればいいと、『アーミーズ』のみなさんに言われたわけです。その話を宰相様にしたのは結婚前だったけど、ちゃんと考えてくれていたんだね。
……ま、まあ、それまでに根掘り葉掘り聞かれたし、両親や『アーミーズ』の面々を紹介して、わからないのは聞いてくださいと、ほぼ丸投げ状態だったけど。それでもきちんと運営ができるようになっているんだから、保育園や幼稚園などはやっぱり国が絡んだほうがうまくいくんだろうなあ。
そんなことを考えていたら、エアハルトさんがライゾウさんに近づいて話しかける。あ、私も一緒にいかないと。
「ライゾウ、紙芝居の件でカールとレイラがありがとうと言っていた」
「絵本の普及と同時に、紙芝居は孤児院などを中心に回ると言っていました」
「ん? そ、そうか。それならよかった」
見本となる木材と、寸法などが書かれているレシピまで提供ありがとうと感謝していたとエアハルトさんが言うと、ライゾウさんは耳を真っ赤にして、照れたようにそっぽを向いた。
「そろそろバーベキューの準備するぞー!」
「大型コンロの準備は?」
「炭と薪も用意しとけ!」
「「「食材は任せて!」」」
大人数なので、誰がなにを言っているのかわからないカオスな状態だけど、それぞれができることを見つけ、バーベキューの準備を始める。私も手伝おうと思っていたんだけど、一回子どもたちの様子を見てきてほしいと言われ、頷いたときだった。
ガターン! と子どもたちがいる小屋から、なにかが倒れる音がしたのだ!
小さい子を預かっている関係で、ガラスなどの割れ物は置いてないし、食器類は全部木製だ。だから、中の遊具か棚が倒れたんじゃないか、誰か怪我してないかと、慌ててエアハルトさんと一緒に小屋へと向かい、扉を開けたんだけど……
「「「「きゃーっ‼」」」」
<待てと言ってるでしょ!>
元気が有り余っているうちの子三人とリョウくんの他に、『アーミーズ』の子どもたちと預かった他の冒険者の子たちが追いかけっこをしていた。……正確には、怒っているロックとソラ、レンに追いかけられ、必死に逃げ回っていた。
周囲を見れば棚がふたつ倒れておもちゃが散乱していたり、別の場所ではまだ走ったりできない子たちがラズとスミレに簀巻きにされ、シマに叱られているのか泣いていたりと、なんともカオスな状態に唖然としていると。
「……貴様らいい加減にせんか!」
うしろからヨシキさんの声がしたかと思うと、大声で怒鳴った。その瞬間、走って逃げていた子どもたちと泣いていた子どもたちの動きが、ピタリと止まる。
エアハルトさんはあちゃー、と呟いて右手で顔を覆い、私はそっとヨシキさんを見れば。
そこには、ガチギレしているヨシキさんの無表情があった。……こ、こわっ!
「……エアハルトとリンは、バーベキューのほうを手伝ってくれ」
「「は、はいっ!」」
声も冷ややかだし、目が完全に据わっている。
返事をしてそっと離れると、ヨシキさんは小屋へと入って扉を閉める。次の瞬間、「貴様ら、ふざけてんのか‼」とヨシキさんの怒号が響き渡る。まさに、雷が落ちたみたいな音量だ。
バーベキューの準備を手伝うべく、キヨシさんとサトシさんのところへ行って、一緒に肉や野菜を串に刺し始めたら、二人がぽつりと呟く。
「……ヨシキの怒号、久しぶりに聞いたっすね」
「そうだね。上官モードでのあの怒号、俺らでも怖かった」
「ひえっ」
「そんなに怖かったのか?」
「「怖いなんてもんじゃない! トラウマレベルになる!」」
「そ、そうか……」
エアハルトさんも若干顔色を悪くして、キヨシさんとサトシさんの話を聞いている。
ヨシキさんが怒るときは、命に関することがほとんどだったんだって。もちろん、どこに所属したかによって違うそうなんだけど、陸自はとにかく体力が必要で、配属された駐屯地によっては、危険にさらされる場合もある。だからこそ、日々の訓練は大事だし、いい加減な気持ちでやられると、のちのち困るのは本人だからと、サトシさんもキヨシさんもいう。
「たしかに訓練はきつかったけど、俺らのためでもあったとわかる」
「だよな。レンジャー徽章がほしいって、立候補したやつもいたし」
「レンジャーって、あれですよね? なにを言われても返事が「レンジャー!」っていう」
「「そう、それ」」
「おおぅ……」
キヨシさんとサトシさんの話を聞いて、エリート部隊のひとつって言われてたなあ……と、遠い記憶を引っ張りながら思い出した。そういえばあったよねー。
他にも、習志野の空挺団の話とか、硫黄島にもいったとか、海外も経験したとかなどなど、エアハルトさんにもわかるように説明しつつ、食材を刺していく。
十五分くらいしてからだろうか。他の冒険者の親たちが子どもを迎えにきたので小屋へと行き、恐る恐るヨシキさんに声をかけて迎えがきたことを伝える。すすとドアが開いてすぐに顔を出したヨシキさんは、親たちを小屋の中へと招き入れて扉を閉めたあと、すぐに親たちの怒鳴り声がした。
……あ~、親にもいたずらがバレたのかぁ。
ご愁傷様と心のなかで呟き、ダンジョンの話をしながらバーベキューの準備をした
「エアハルトたちも一緒にどうぞ」
「いいのか?」
「もちろんよ。エアハルトは私たちの義息子だし、アレクとナディも似たようなものじゃない」
私たちのほうが年下だけどね! とウィンクしながら笑った母に、全員が苦笑した。結局、帰ってきたばかりということもあって、お言葉に甘えることに。ライゾウさんにもお礼を言いたかったし、カールさんとレイラさんに伝言を頼まれたしね。
でなわけで、私たちの子どもたちを連れて『アーミーズ』の拠点に向かう。『アーミーズ』の拠点には、店の裏にある庭に作ってもらった子どもたち用の小屋と同じものがあるのだ。
人数が多い関係で、うちよりも広いから助かる。
子どもたちは従魔たちと眷属たちに見守られつつ、叔父や叔母であるリョウくんたちと久しぶりに会えるのが嬉しいようで、きゃっきゃとはしゃいでいる。まあ、叔父といっても歳が近いから、兄や姉として慕っているみたい。
それは『アーミーズ』のメンバーである夫婦の子どもたちもそうだし、他の冒険者たちの子どもたちもそう。『アーミーズ』にある小屋は国から認可されている、預かり所でもあるのだ。当然のことながら、国から人材が派遣されているし、なにかあれば国に報告されてしまう。
なので、認可されるまでは大変だけど、されてしまえばわりと自由に子どもを遊ばせることができたりもするのだ。
特に冒険者たちはSランク冒険者の拠点で子どもを預けることができるので、安心してダンジョンに潜ることができるのだ。まあ、西地区の預かり所はここだけではないし、他の地区にもたくさんある。たまたま、『アーミーズ』の拠点が一番広いってだけなんだって。
拠点での預かりに関して、要は日本での認可保育園とか幼稚園の扱いと同じだと考えればいいと、『アーミーズ』のみなさんに言われたわけです。その話を宰相様にしたのは結婚前だったけど、ちゃんと考えてくれていたんだね。
……ま、まあ、それまでに根掘り葉掘り聞かれたし、両親や『アーミーズ』の面々を紹介して、わからないのは聞いてくださいと、ほぼ丸投げ状態だったけど。それでもきちんと運営ができるようになっているんだから、保育園や幼稚園などはやっぱり国が絡んだほうがうまくいくんだろうなあ。
そんなことを考えていたら、エアハルトさんがライゾウさんに近づいて話しかける。あ、私も一緒にいかないと。
「ライゾウ、紙芝居の件でカールとレイラがありがとうと言っていた」
「絵本の普及と同時に、紙芝居は孤児院などを中心に回ると言っていました」
「ん? そ、そうか。それならよかった」
見本となる木材と、寸法などが書かれているレシピまで提供ありがとうと感謝していたとエアハルトさんが言うと、ライゾウさんは耳を真っ赤にして、照れたようにそっぽを向いた。
「そろそろバーベキューの準備するぞー!」
「大型コンロの準備は?」
「炭と薪も用意しとけ!」
「「「食材は任せて!」」」
大人数なので、誰がなにを言っているのかわからないカオスな状態だけど、それぞれができることを見つけ、バーベキューの準備を始める。私も手伝おうと思っていたんだけど、一回子どもたちの様子を見てきてほしいと言われ、頷いたときだった。
ガターン! と子どもたちがいる小屋から、なにかが倒れる音がしたのだ!
小さい子を預かっている関係で、ガラスなどの割れ物は置いてないし、食器類は全部木製だ。だから、中の遊具か棚が倒れたんじゃないか、誰か怪我してないかと、慌ててエアハルトさんと一緒に小屋へと向かい、扉を開けたんだけど……
「「「「きゃーっ‼」」」」
<待てと言ってるでしょ!>
元気が有り余っているうちの子三人とリョウくんの他に、『アーミーズ』の子どもたちと預かった他の冒険者の子たちが追いかけっこをしていた。……正確には、怒っているロックとソラ、レンに追いかけられ、必死に逃げ回っていた。
周囲を見れば棚がふたつ倒れておもちゃが散乱していたり、別の場所ではまだ走ったりできない子たちがラズとスミレに簀巻きにされ、シマに叱られているのか泣いていたりと、なんともカオスな状態に唖然としていると。
「……貴様らいい加減にせんか!」
うしろからヨシキさんの声がしたかと思うと、大声で怒鳴った。その瞬間、走って逃げていた子どもたちと泣いていた子どもたちの動きが、ピタリと止まる。
エアハルトさんはあちゃー、と呟いて右手で顔を覆い、私はそっとヨシキさんを見れば。
そこには、ガチギレしているヨシキさんの無表情があった。……こ、こわっ!
「……エアハルトとリンは、バーベキューのほうを手伝ってくれ」
「「は、はいっ!」」
声も冷ややかだし、目が完全に据わっている。
返事をしてそっと離れると、ヨシキさんは小屋へと入って扉を閉める。次の瞬間、「貴様ら、ふざけてんのか‼」とヨシキさんの怒号が響き渡る。まさに、雷が落ちたみたいな音量だ。
バーベキューの準備を手伝うべく、キヨシさんとサトシさんのところへ行って、一緒に肉や野菜を串に刺し始めたら、二人がぽつりと呟く。
「……ヨシキの怒号、久しぶりに聞いたっすね」
「そうだね。上官モードでのあの怒号、俺らでも怖かった」
「ひえっ」
「そんなに怖かったのか?」
「「怖いなんてもんじゃない! トラウマレベルになる!」」
「そ、そうか……」
エアハルトさんも若干顔色を悪くして、キヨシさんとサトシさんの話を聞いている。
ヨシキさんが怒るときは、命に関することがほとんどだったんだって。もちろん、どこに所属したかによって違うそうなんだけど、陸自はとにかく体力が必要で、配属された駐屯地によっては、危険にさらされる場合もある。だからこそ、日々の訓練は大事だし、いい加減な気持ちでやられると、のちのち困るのは本人だからと、サトシさんもキヨシさんもいう。
「たしかに訓練はきつかったけど、俺らのためでもあったとわかる」
「だよな。レンジャー徽章がほしいって、立候補したやつもいたし」
「レンジャーって、あれですよね? なにを言われても返事が「レンジャー!」っていう」
「「そう、それ」」
「おおぅ……」
キヨシさんとサトシさんの話を聞いて、エリート部隊のひとつって言われてたなあ……と、遠い記憶を引っ張りながら思い出した。そういえばあったよねー。
他にも、習志野の空挺団の話とか、硫黄島にもいったとか、海外も経験したとかなどなど、エアハルトさんにもわかるように説明しつつ、食材を刺していく。
十五分くらいしてからだろうか。他の冒険者の親たちが子どもを迎えにきたので小屋へと行き、恐る恐るヨシキさんに声をかけて迎えがきたことを伝える。すすとドアが開いてすぐに顔を出したヨシキさんは、親たちを小屋の中へと招き入れて扉を閉めたあと、すぐに親たちの怒鳴り声がした。
……あ~、親にもいたずらがバレたのかぁ。
ご愁傷様と心のなかで呟き、ダンジョンの話をしながらバーベキューの準備をした
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笑ったり泣いたりしながら 一気読みしてしまいました。◕‿◕。
皆が幸せになって良かった〜
前へ十歩歩く
右を向いて五歩歩く
左を向いて三歩歩く
うしろを向いて二十歩歩く
左を向いて二歩歩く
つい、体が動いてやってしまった…
どこにも転移しなかった… ^^;
第一クルッテルダンと言われてもいる第一空挺団すか。。。
訓練が過酷という以上のものらしいですね。。。。