あみdan

わらいしなみだし

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『編み物男子部』?ができるまで。

63 決戦は金曜日? 6 

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 智さんと俺はいつものホームとは反対側の電車に乗り、乗り換えて二駅の場所で下車した。行き先はもちろん智さんが住んでいる場所。

 電車に乗っている間、俺は智さんと交渉していた。
 これ以上からかわれるのが嫌だから教室には来ないで欲しいと。
 なかなか首を縦に振ってくれそうになかったので、提案してみることにした。

「智さん、その代わり昼休みの休憩時間の十五分なら一緒にいてあげますけど」
「十五分だけ?」
「だけです!俺にも友達がいるんで。一緒にゆっくりお昼食べたいですし」
「神崎川とか?」
「いますけど、他に三人も一緒にお昼ご飯食べてますよ。なにか問題でも?」
「ないよないよ。全然ないからね!」

 俺は上目使いで智さんに視線を送ると智さんは浮き浮きしたように繋いだ手を握ったり力を緩めたりリズミカルに交互させる。
 今にも鼻唄が聞こえてきそうなほど気分がいいらしい。

「一日だけ?」

 俺の顔を下から覗き込む。まるで悪戯っ子のようだ。

「毎日でもいいですよ。その代わり、学校では何一つ変なことはしないで下さいね」
「変なこととは?」
「手を繋ぐ」
「えええー!やだ……」

 いかにも残念そうにいやがるけど、俺は全然気にしない。

「ベタベタくっつく」
「それが一番したいのに……」

 ブツブツ文句をいってるけど完全に聞こえない振りをする。
 本当に可愛い人だ。拗ねてる態度さえも。
 なんか、こういう智さんって不思議だ。

「俺がいいって言ったことだけは……許してあげても、いいですよ」

 そう思えても絆されたりはしない。

 妥協はしないと交渉に失敗する。
 俺は俺の穏やかな空間と時間を死守するためになら……どんな犠牲でも払ってみせる。
 俺は……決して奪われない。

「毎日昼休み残り十五分を僕と一緒に過ごしてくれる……と云うことでOKなのかな?」

 嬉しくてたまらない!という表情を隠すことなんかしないんですね。

「はい。智さん、いい条件だと思いませんか?」
「んー、悪くない」

 智さんは握っている手に力を込めてきた。智さんの手から熱を感じる。
 俺の耳元を掠めながら

「感謝するよ、翔琉。やっぱりキミってサイコーだよ!」

 そう言って、リップオンだけのキスの音をさせた。




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