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欠けた愛を 抱きしめて ※

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 それでも好きになったんだ。

 ドロドロとした彼の欲情に、危険だと知りつつ魅入られたのはわたし──。

 殺されて……しまうのかな。

 あなたの愛を受け入れたら、わたしは殺されてしまうの?

 それは嫌なの。死ぬのは嫌だわ。

 それでもわたしは、あなたの愛を抱き締めたい。

 あなたとひとつに繋がって、歪んだあなたを受け止めたい。


 わたしを迎えに来てくれたカルロさんに

 わたしと契約してくれたあなたに

 そんな事でしか、お礼ができないから──。



「‥‥ひとりで イキたくないです‥…!! カルロ、さんと」

「それなら、あんたから挿れなよ……」

「…わたし─…ァっ、…か ら…?」

「ここに──…」

 カルロが指を蜜壺から引き抜いた。

 しっかりと絡み付いた淫液を……少し眺めた後で舐めとっていく。

 目を開けたミレイは、その光景をぼんやりとした瞳で見上げながら、忙しない息と一緒に唾を呑む。

 半分ほど舐めとった手を下に持っていき、カルロがベルトの止め金を外す。

 くつろげたズボンから自身の灼熱を解放すると、悩ましげに溜め息をついた。

「自分で……またがりなよ」

 彼は運転席に座り直し、硬派な警官服の首もとを弛める。

「……覚悟を持って、俺を……誘え」

 影のある表情。

 冷静なようで、いつも自分に怯えている低い声。

「…ッ」

 ミレイは倒れた助手席から重たい身体を起こして、じっと彼を見る。


「わたしは、あなたのものです……」


 彼女は濡れた下着から片足を抜き、座席の下に捨ててしまった。

 恐る恐る……両腕を差し出す。

 片膝を持ち上げ、すり寄るように彼の方へ動くと、カルロは彼女の腰を抱いて自身に引き寄せた。

「ハァ……ハァ……」

 ミレイは両手をカルロの肩に置き、向かい合って、膝立ちで彼を跨いだ。

 あとはその腰を下ろすだけ……

「…ふ、っ…──ッ」

 眉を寄せて、互いに熱く溶けそうなソコをあてがう。

「…ん‥‥ん、ん…!!」

 重力に従って脚の力を弛めると

「…ふ…ッぁ……ああ…っ」

 先端が、入ってくる。

 灼熱のくびれを締め付けてミレイは喉を反らした。

「…っ…もっと、力、抜けないのか……?」

「わ…、わかんな…、あっ……ぁぁ、…」

 カルロは全く動いていないのに、まだほんの少ししか入っていないのに、たったこれだけで強く彼を感じてしまう。

 まだカルロの熱に触れていない奥までが、おあずけを喰らったかのごとく……はしたなくうねっている。

 待ちきれない肉壁が自らの動きで彼を迎え入れようと動くものだから、堪らないのはカルロの方だ。

「早くしなよ…。奥……まで、とどいたら、俺も動いてやる…っ」

「…ハァっ…、はい…//─…ンっ」

 彼にうながされ、さらに深くまで繋がる。

 隙間なくくっついたそこから彼の昂りも伝わってきて、ミレイの胸を締め付けた。

 下から自分を満たす太い杭に余裕を失い、そのうちに息も止まってしまう。

 思い出したように間隔をおいて吐き出される彼女の息が、カルロの前髪を仄かに揺らした。

「…も‥‥…すこ、し…‥!!」

 開いた太股がカルロの上に乗り、冷たいベルトの止め金が彼女の臀部に当たった時──

 一番奥の柔らかいところを、彼の先端に押し上げられたのを感じた。

「…‥あ…‥今、おく‥‥ッ …当たっ て‥!」

 途切れ途切れの健気な声が、カルロにそれを伝えてくる。

「俺にもわかる……」

 カルロは両手で腰を掴み、下から細かく揺さぶりをかけた。

「…はぁぁッ‥…あ…//」

「それよりあんたのナカ……、俺を搾取することしか考えていない…‥!!──…厭らしいな」

 締め付け、蠢く肉ひだを、最奥まで貫いた状態で円を描いて蹂躙する。

 ここを上下に掻き撫でたら……どれほどのものか、想像するに恐ろしい。

「…ハァ‥ぁ‥‥拡げちゃ…‥ッ、あ…」

「翻弄するのは俺の方だ……いいか?あんたはそのまま……っ、俺にしがみついて…──」

「‥ぅ‥ッ‥ぁぁ」

「……」

 自身が喰われる前に、この女を滅茶苦茶に乱してやろう。

 そう決めたカルロが腰を突き上げようとした瞬間

 彼の目に飛び込んできたのは



「…ハァっ、……ぅ…ッ」

「──…」



 彼の目に飛び込んできたのは、仰け反っていた頭をもとに戻した──ミレイの、泣き顔。


 声すら満足に出せない彼女の唇は

 瞬きをするたびに目尻から押し出される涙で、しっとりと濡れていた。

 カルロが腰をつかってやると、悶えるミレイはくしゃりと顔を崩して

「はぁぁン‥‥//」

 ますます溢れた彼女の涙が頬をつたい落ちる。






........



 綺麗な涙だった。

 それはカルロが二度と流すことのない物。

 想いを殺し、全てに心を閉ざして……何にも動じないよう生きてきた中で封印した物。

 9年前

 母を失い、自身の手で愛する猫を殺したあの日の少年が、笑いながら流した涙──




 それを、最後に。





「──…ハァ…」

 カルロは彼女の涙に、指で愛おしそうに触れる。

 懐かしい感触、痛みを映す温度。

 自分が失った感情……。

 欠けてしまったモノを、触れた指先に感じた。





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