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新たな道
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ルーカスとラウラは、しきりにレオンがいかにすごいか争うように話していた。それまでレオンの腕の中で黙っていたアルスが、レオンの頬をちょいちょいとつついて言った。
「レオン。お前は友に慕われておるの」
「うん。ルーカスとラウラは僕の自慢の友達なんだ」
レオンもアルスを見て微笑んで答えた。
しばらくして審判が闘技場に戻って来た。試験はやはり失格になった。レオンと戦った三人の冒険者たちは、口々にレオンの魔法をほめてくれた。五十代くらいの魔法使いは、レオンを息子を見るようなあたたかい目で見て言った。
「君の魔法はすごい。私ですらあんな植物生成魔法は使えないよ。君が冒険者になる事を楽しみにしている」
レオンは現役の冒険者たちから、あたたかな言葉をもらい、嬉しくなった。それまで精霊族の村で暮らしていたレオンは、自分の魔法はたいした事ないと思っていたからだ。
レオンとルーカス、ラウラたちは闘技場を出て、冒険者試験本部に行った。本部には審判から話を聞いていたらしい試験官の男性が応対してくれた。彼はレオンを見て言った。
「君は精霊族なんだね?」
「はい」
「そして君が今抱っこしている子供が精霊なのかい?」
試験官の言葉に、抱っこされているアルスは怒って言った。
「オレ様は精霊ではない!神じゃ!」
レオンはアルスの背中をポンポンと叩いてから答えた。
「はい、そんなような感じです。だけどアルは戦う前に食べ物を食べないと魔法が使えなくて。今朝はご飯を食べすぎて、食べ物が食べられなくなってしまったんです」
「それで逃げているだけだったのか。それでは、逃げる際に使った植物生成魔法は君自身の魔法という事かね?」
「はい。僕は戦闘向きの魔法は使えませんので」
試験官の男性は考えるそぶりをしてから、口を開いた。
「冒険者試験は十五歳になれば誰でも受けられる。だがそれは建前であって、本来ならば君たちのような子供は確実に最初の試験は落ちるのだ。もっと経験を積んで、年齢を重ねてから合格させる。冒険者という職業は、それだけ危険がともなうからだ。だが君たちのように、強い魔法が使え、さらに精霊の加護を受けている者は例外だ。いち早く試験に合格したカッタという少年も含めてね」
どうやら十五歳で冒険者試験に合格した者は、ルーカスにラウラ、そしてカッタだけのようだ。
試験官の男性は、視線をレオンに向けて言った。
「レオン。君の場合だが、君の契約精霊は食事を食べないと魔法が使えない限定的な状態だ。そこで特例措置として、これから冒険者レベル1の簡単な依頼をこなしてきてもらいたい。できるかね?」
「はい!やらせてください!」
どうやらレオンとアルスは、首の皮一枚つながったようだ。レオンは試験官が差し出した十枚の依頼書から、適当に一枚引き抜いて読んだ。その依頼書は、山賊退治の依頼だった。
山賊退治とは物騒だが、レベル1の依頼なら、そこまで難しい事もあるまい。レオンははやる気持ちをおさえきれず、すぐに依頼に出発する事にした。
「レオン。お前は友に慕われておるの」
「うん。ルーカスとラウラは僕の自慢の友達なんだ」
レオンもアルスを見て微笑んで答えた。
しばらくして審判が闘技場に戻って来た。試験はやはり失格になった。レオンと戦った三人の冒険者たちは、口々にレオンの魔法をほめてくれた。五十代くらいの魔法使いは、レオンを息子を見るようなあたたかい目で見て言った。
「君の魔法はすごい。私ですらあんな植物生成魔法は使えないよ。君が冒険者になる事を楽しみにしている」
レオンは現役の冒険者たちから、あたたかな言葉をもらい、嬉しくなった。それまで精霊族の村で暮らしていたレオンは、自分の魔法はたいした事ないと思っていたからだ。
レオンとルーカス、ラウラたちは闘技場を出て、冒険者試験本部に行った。本部には審判から話を聞いていたらしい試験官の男性が応対してくれた。彼はレオンを見て言った。
「君は精霊族なんだね?」
「はい」
「そして君が今抱っこしている子供が精霊なのかい?」
試験官の言葉に、抱っこされているアルスは怒って言った。
「オレ様は精霊ではない!神じゃ!」
レオンはアルスの背中をポンポンと叩いてから答えた。
「はい、そんなような感じです。だけどアルは戦う前に食べ物を食べないと魔法が使えなくて。今朝はご飯を食べすぎて、食べ物が食べられなくなってしまったんです」
「それで逃げているだけだったのか。それでは、逃げる際に使った植物生成魔法は君自身の魔法という事かね?」
「はい。僕は戦闘向きの魔法は使えませんので」
試験官の男性は考えるそぶりをしてから、口を開いた。
「冒険者試験は十五歳になれば誰でも受けられる。だがそれは建前であって、本来ならば君たちのような子供は確実に最初の試験は落ちるのだ。もっと経験を積んで、年齢を重ねてから合格させる。冒険者という職業は、それだけ危険がともなうからだ。だが君たちのように、強い魔法が使え、さらに精霊の加護を受けている者は例外だ。いち早く試験に合格したカッタという少年も含めてね」
どうやら十五歳で冒険者試験に合格した者は、ルーカスにラウラ、そしてカッタだけのようだ。
試験官の男性は、視線をレオンに向けて言った。
「レオン。君の場合だが、君の契約精霊は食事を食べないと魔法が使えない限定的な状態だ。そこで特例措置として、これから冒険者レベル1の簡単な依頼をこなしてきてもらいたい。できるかね?」
「はい!やらせてください!」
どうやらレオンとアルスは、首の皮一枚つながったようだ。レオンは試験官が差し出した十枚の依頼書から、適当に一枚引き抜いて読んだ。その依頼書は、山賊退治の依頼だった。
山賊退治とは物騒だが、レベル1の依頼なら、そこまで難しい事もあるまい。レオンははやる気持ちをおさえきれず、すぐに依頼に出発する事にした。
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