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魔力の使い方

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 レオンが目を覚ますと、ベッドの上だった。自分は一体何をしていたんだろう。記憶があいまいでぼんやりしていると、突然思い出した。

 レオンはアルスを締め殺してしまったのだ。

「アル!」

 レオンは悲鳴をあげながら、身体を起こした。

「起きたようじゃな。レオン」

 レオンの目の前に、可愛いアルスの顔がぴょこんと飛び込んできた。アルスは無事だったのだ。レオンはアルスをぎゅうぎゅう抱きしめ、泣きながら言った。

「良かった!良かった!アル。アルを殺してしまったかと思った」
「オレ様はあれごときでは死にはせん。レオン、そんなに泣くでない。少々薬が効きすぎてしまったの。じゃがこれでツタ魔法のコントロールはつかめたのではないか?」
「・・・。うん、あれ以上力をこめると、人は死んでしまうってわかった」
「うむ。攻撃を怖がっていては、何にもならんからな。どれ、レオン。立って身体を動かしてみろ」

 レオンは言われた通り、ベッドから身体を起こし、動かした。とても身体が軽かった。それまで感じていた、重だるさがすっかりなくなっていたのだ。レオンが驚いていると、アルスは困った顔で言った。

「レオンは睡眠不足と疲労で身体がクタクタだったのじゃ。オレ様が回復魔法をしてやったぞ?ありがたく思え」
「ありがとう!アル」
「これにこりて、夜の特訓は少し加減するのじゃぞ?」

 レオンはアルスの言葉に素直に返事ができなかった。アルスに植物ツタ魔法のこつを教えてもらったからといって、自分で納得できる状態ではなかったからだ。

 レオンのだんまりに、アルスはため息をつきながら言った。

「仕方ないのぉ。レオン、昨夜お前は魔力を使い果たして倒れたのじゃ。じゃが朝には魔力が回復している。何故じゃと思う?」
「えっ?魔力が回復するのは夜ゆっくり寝たからじゃない?」
「まぁ、それもある。じゃがな、魔力回復に重要なのは休息よりも、呼吸なのじゃ」
「呼吸?」
「ああ、レオン。魔力の源は何じゃ?」
「うんと、ウィリディスが、大地からもらうって言っていた」
「ああ。ウィリディスは植物の精霊じゃからな。レオン。魔力とは、地球上の様々な生命からもらっているのじゃ。大地じゃったり、空気じゃったり、太陽じゃったり。じゃからの、レオンは夜中に無理に魔法の訓練をしなくても、呼吸法と瞑想で、空いている時間に、いつでも魔法の訓練ができるのじゃ。レオンは母者と同じ植物魔法じゃから、ウィリディスと同じように大地からの魔力を意識するのが良いぞ」

 それからアルスは、レオンに呼吸法と瞑想のやり方を教えてくれた。これで魔法のコントロールが良くなるのかわからないが、睡眠時間を削っての特訓はもうやらないようにしようと思った。
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