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22.逃亡

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「それでは行ってくる」


「………」


 私は旦那様と玄関への向かう途中に昨日のローレンさんの言葉を思い出しました。


「どうしたんだユユ?」


「………」 


 ど、どうしましょう…。朝食を取り終わった辺りからなんだか旦那様の雰囲気が柔らかくなっています。なので、なんだか今ならアレをしても大丈夫なような気がします。で、ですが…なかなか勇気が出ません。


「ユユ?どうしたんだ?」


「……」


「…ユユ?……ユユ!!」


「ビクッ!!は、はい!すみません!!」


「あ、いや、すまない…大きな声を出してしまって…」


 私が驚いたからか旦那様はしょんぼりしてしまいます。


「い、いえ!すみません。少し考え事をしてしまっていて…」


「いや、大丈夫か?……考え事とは…もしかしてやはり私との食事が…」


「え?」


「……いや、何でもない。それでは行ってくる」


 そう言って旦那様は私から顔を背け、仕事に向かおうとします。…どうすれば……本当に旦那様は嫌ではないでしょうか?…いえ、悩んでいても仕方がありません。旦那様ともっと仲良くなるためなのです!勇気を出すのですユユ!!


「あ、あの旦那様!!」


「ビクッ!な、何だ?」


「「「?」」」


 私が突然大きな声を出したため、今度は旦那様が驚いてしまいます。


「…どうしたんだユユ?」


 ドキドキと心臓が音を立て、皆さんが不思議そうに私を見ている中、私は旦那様に近づくと服を掴み精一杯背伸びをして旦那様の頬にキスを落としました。…が背が足りず首筋にキスをしてしまいます。


「チュ」


「!?!?!?」


「お、お仕事頑張ってくださしゃい!!///…い、いってらっしゃいませっ」


 その言葉を言った後、恥ずかしさのあまり走って逃げてしまいます。


 や、やってしまいました。どうして私はこういう時に失敗するんでしょうか。で、でも執事さんはどこにとは言っていませんでしたし、首でもセーフでしょうか?でも旦那様はポカンとしてらしたし!それに「しゃい」って何ですか!!ああああ~///




「…………………え?今何をされた?」


「キスですね。チッ首だったか…」


「ローレン様」


「舌打ち聞こえていますよ」


「……………キス?…………夢か?」


「夢じゃないですね。もう気絶しないで下さいよ。運ぶの面倒だし、仕事の時間なので」


「………………」


「「もう遅いですね」」


「……こいつこんなんでこれから大丈夫なのかよ?」


「「知りません」」


 私が逃げ去った後、まさか旦那様が立ったまま気絶しているとは夢にも思いませんでした。



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