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9.露店2

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 ヨルト様が懐からお金を取り出し、当たり前のように2つ分のお金を払とするのに慌てて待ったをかけます。


「どうしたんだ?」


「……黄色いイヤリングの方は私がお金を払います」


「…は?あ、いや、何故だ?別に私が払っても…」


「ダメです!」


 頑固として譲らない私にヨルト様は困惑気なお顔をされますが、これは私がきちんとお金を払って買いたいのです。


「ユユ?」


「ふぉっふぉっふぉ。若いのは鈍いのぉ。これはあれじゃろ自分の色を愛する者にプレゼントしたいと言うことじゃろ」


「っ!?」


「あ、愛する!?そ、そうなのかユユ?」


 私の気持ちをおじいさんはすぐに見抜いてしまったようで、その言葉にヨルト様が勢いよく私の方を見ます。そんなヨルト様に頬が熱くなってしまいます。


「は、はい…」


「っ///」


 お互いまた顔を赤くして固まってしまいます。


「初いのぉ~初いのぉ~!見てるだけできゅんきゅんするわい!」


「「~///」


 そんな私達を見ておじいさんは笑っています。…いえあれはニヤニヤですね。さっきのランさん達みたいに揶揄うように笑っています。


「そ、そう言うことならこれはユユに…」


「はい…」


 そうしてそれぞれ自分の色のイヤリングの代金をおじいさんに支払います。


「…それではつけてもいいだろうか?」


「はい…ヨルト様も」


「ああ」


 ヨルト様は私に、私はヨルト様にお互いの耳にイヤリングを付けます。本当なら帰ってから付けるのがいいのかもしれませんがどうしても早く付けたかったのです。ヨルト様も同じ気持ちだったのか自分の耳についたイヤリングをとても嬉しそうに触りながら、私の耳にも触れました。


「ありがとうユユ」


「はい。ヨルト様もありがとうございます」


 そうして2人、しばらく見つめ合っていると


「いいのぉ~若いのぉ~。わしももう少し若ければのぉ~!」


「「っ!!」」


 その声に我に返り、ばっとお互いに少し距離をとります。そしておじいさんの方を見るとおじいさんも頬を赤くしてクネクネとしていました。


「~コホン!…ご老人とてもいい品をありがとう」


「なんのなんの、こちらこそ良いもの見せてもらって何だか心が若返った気分じゃわい。そのお礼に主に良い事を教えてやろう。お主にはなんだか厄介な物をつけられておる。一度調べてもらった方がよいぞ」


「厄介な物?」


「厄介な物ですか?」


 お爺さんの言葉に不安に思い、ヨルト様を見てしまいます。


「ああ。害がないといえば害がないものではあるが…まぁ安心せい然るべきところに見せればすぐに解消されるて。お嬢さんもそんな顔せんでよい。不安にさせたようならすまなかったのぉ」


「…はい」


「……わかった。忠告感謝する。一度見てもらうことにするよ」


「その方がよかろうて」


「ああ。では行こうかユユ」


「…はい。それでは失礼します、おじいさん」


「ああ。またの…「ああー!ヨルト様!!」…ぉ?」


 不安は感じるものの、ヨルト様と共におじいさんと別れようとしていたとき、おじいさんの声を誰かが遮りました。


「ヨルト様!こんな所で会うなんて奇遇ですね!」


「…ロゼリア」


 …どうしてロゼリア様がここに?


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