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12.怖いんだが sideヨルト
しおりを挟む公爵邸への乗り込みは驚く程上手く行った。
「おい」
「ひっ!は、はい」
「ここにロゼリアがいるだろう?どこにいる?」
捕まえたうちの1人にロゼリアの居場所を尋ねる。
「ロ、ロゼリア様なら、だ、旦那様の寝室に…」
「……そうか」
すると素直には答えてはくれたが…
「なんか嫌な場所にいるな」
「……そうだな」
ローレンの言葉に心底共感する。寝室ってことはそう言うことだよな?…本当にあいつはどの口で私のことが好きだと言っていたんだ?というか誰でもいいのか?
そのままローレンやラミ達と共に向かってくる者達を蹴散らしながらさっきの男が言っていた寝室へと向かう。
「ーーここか?」
「たぶんそうだな」
男の言う通りならこの先にロゼリアがいるはずだが…開ける前から憂鬱な気分になるな…。
「…開けるぞ」
ガチャ…
扉を開けた先には悪趣味な装飾品や家具などが広がり、その先のベッドには…
「ーーもうなんなんですか?さっきから外が騒がしいんですけど何かあったんですか?もしかしてやっと公爵様が帰って……きゃっ!ヨ、ヨルト様!?ど、どうしてここにいるんですか!?」
「「「「………」」」」
想像通り肌の露出が多いネグリジェを着たロゼリアがいた。…裸でなかっただけまだマシだったか…。
「…はぁぁ…なんでもなにもっ…「もしかして私を助けにきてくれたんですか!!」…はぁ?」
見たくもないロゼリアの姿に顔を歪めそうになるのを必死に耐えるも私の言葉を遮って叫んだロゼリアの言葉に呆気に取られてしまう。
…こいつは何を言っているんだろう?
そんな私を見て何を思ったのか知らないがロゼリアは驚いた表情から一変嬉しそうな表情になる。
「やっぱりそうなんですね!やっとユユ様より私の方がヨルト様の隣に相応しいとわかってくれたんですか!?」
「……何の話だ?それに助け?君は自分からここに来てそんな格好をしてそこにいるんだろ?」
意味がわからずロゼリアにそう問いかけるもロゼリアは「違いますよ!」と言って今度は怒ったように頬を膨らませた。
「もう!そうですけど違いますよ!これはヨルト様の目を覚ますためにも必要なことだからやっているんです!公爵様は昔から私がこうやって甘えるだけでなんでも私のお願いを聞いてくださるので、これも全てはヨルト様のためと思い、嫌ですけど仕方なくやっているんですよ?」
「…私のため?」
「ええそうですよ!私が公爵様の元にいるのもこの身を捧げているのも全てはヨルト様のためです。みんなみんなヨルト様の目を覚ますため。…でも、もうそんな生活も終わりです」
そう言ってロゼリアは一瞬俯くもすぐに顔を上げうっとりとした表情を浮かべる。
「…だってようやくヨルト様に私のこの健気な想いが伝わったのですから。ヨルト様は私を助けるために今日ここまで来て下さったんでしょう?こうやってあなたのために身体を差し出している私を救い出すために。ユユ様よりも私を愛しているということに気がついて。私、嬉しいです」
ころころと表情を変え、私に笑顔を向けてくるロゼリアにどんどん恐怖を覚える。ロゼリアが何を言っているのか理解ができない。
…何が私のためだ?ロゼリアはこんなにも頭がおかしな奴だっただろうか?
「……おい、ローレン。ラン、ラミ。ロゼリアは昔からこうだったか?」
「…めげない女だとは思っていましたがここまで頭がおかしいとは全く思わなかった」
「…ええ。それによく妄想も口に出されてはいましたが…」
「ここまで酷くはなかったと思います…」
「…だよな」
ローレン達もロゼリアの様子に驚いている。
…いつからこいつはこんなにもおかしくなってしまったんだろうか?
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