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第27章 冬はイベント盛り沢山!?
1つ男になった息子
しおりを挟む「………はい、アドラオテル様。
私はエンダー様を心より慕っております」
レイはそう言って綺麗にお辞儀をした。いつもの巫山戯た様子じゃない。けれども、俺の腕の中にいるアドラオテルは納得していないようだった。
「したっているってなんだっ!俺は好きかどうかをきいているんだっ!エンダーのことをすきなのか、ってきいているんだ!」
「アド………」
慕っている、という言葉さえ理解できないのに、それでも『好きかどうか』は気になるらしい。流石に鈍い俺でも、アドラオテルがエンダーのことを好きなのはわかった。元々、いつもエンダーに引っ付いているのもあるし。
………何がきっかけかわからないが、エンダーがレイのことを好きなのだということを知ったのだろう。
父親としても友としても複雑である。
アドラオテルにはこういう話はまだ早いと思うし、レイはアドラオテルより身分は低い。アドラオテルが我儘を言わないように食い止めはするが、『付き合うな』と言われたら、レイだって容易にエンダーと近づけなくなる。
俺が間に入ってなんとか___「好きでございます」………?
俺が言葉を発する前に、レイは静かに言う。そして、俺の腕に抱えられたアドラオテルの近くまで来て、顔を近づけた。
「___私は、エンダー様………いいえ、エンダーを心の底から愛しております」
「………どれぐらい、すきなんだ?」
「そうですね……………アドラオテル様がわかりやすいように言うと、セオドア様がアミィール様を想うくらい、いいえ、それ以上に好きでございます」
「……………」
アドラオテルはそれを聞くと俺の顔を見た。紅と黄金色の瞳が潤んでいる。その瞳をむけたまま、俺に聞いてきた。
「パパは………ママのこと、どれくらいすき?」
「……………そうだなあ………」
どれくらい、と聞かれると言葉につまる。だって、上限なんてないから。俺にとってのアミィール様はなくてはならない存在で、酸素くらい大事なもの………なんて、子供のアドラオテルにはわからないだろう。
でも、この真剣に聞いてくる子供の言葉に答えたかった。
「_____ママがいないと、死んじゃうくらいママが好きだよ。
ママがいないと、パパは笑えないし、ご飯も食べられないし、寝ることだって出来ない。
それくらい、大好きさ」
セオドアはそう言って、アドラオテルの頭を撫でた。アドラオテルは片目を閉じてそれを受けてから、少しだけ考えてするり、と腕から抜け出した。そして、器用に地面に着地して、再びレイを見た。
「…………レイも、そうなのか?」
「ええ。そうにございます。…………アドラオテル様のお父様とお母様のように、仲良くなりたいのです」
「………………………」
アドラオテルは1度だけ下を向いてからばっ、と顔を上げてレイに駆け寄る。そして____
「とうっ!」
「ッ!」
「アド!」
短い足で、レイの脛を蹴った。レイの顔が歪むのを見る前にアドラオテルはセラフィールの隣に来て、頭にクッションを乗せて怒鳴った。
「幸せにしなかったらッ、俺はお前をゆるさないからなッ!」
「こら、アド____「セオドア」………レイ、すまない。俺の息子が……」
アドラオテルを叱ろうと近寄ろうとしたのを、レイに止められた。レイに謝ると首を振って『大丈夫だ』と言った。
「これはきっと、お前の息子なりのエールだろう」
「暴力がエールってどういうことだ?」
「……………お前本当に鈍いわ。男には男の友情があるんだよ」
「?」
首を傾げるセオドアに、くつくつとレイは笑う。
「あーあ、アドラオテル様の方が男らしいなあ。父親のお前より」
「突然悪口言うな!どういうことなんだよ!」
「乙女には教えられませーん」
「なんだと…………!」
大人達が言い合いをしている中、セラフィールは隣でおしりを突き上げてクッションを被っているアドラオテルを撫でた。
「…………アド、痛い痛い?」
「…………こころが、いたいいたい………ぐずっ」
「そっか、…………泣いていいんだよ」
セラフィールは体を震えさせるアドラオテルに優しくそう言った。
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