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第5章 聖女、聖の精霊と次期龍神
生贄皇子は眠り皇子になる
しおりを挟む「な、なんで喋れるの!?デバフがついてるのに!ねえ、カーバンクル、どういうこと!?」
フランは目に見えて慌てた。けど、そんなことはどうでもいい。声が出せるなら、アルティアを呼べる。
「アル…………ティア、…………!」
たどたどしく、アルティアの名前を呼ぶ。
だが……………アルティアが現れることは無かった。
代わりに、カーバンクルと呼ばれた聖の精霊が言う。
『無理だよ、ここはぼ、僕の結界が張ってあるし、僕の住処、だし……………契約印で、よ、呼べないよ』
「クッ……………」
「そんなことより!なんで動けるか説明しなさい!カーバンクル!」
『えと、………た、たぶんだけど…………この人間は、龍神と長く一緒にいるから、魔力が普通の人より、大きいんだと…………あ、元々すごい、魔力をもってるみたいだけど…………その、その上で、龍神の力も、もってて、…………効果が薄いと……』
徐々に小さくなるカーバンクルの声にあからさまにイライラするフランはち、と舌打ちを零してから私を見た。
「………アノドロボウリュウメ、ハジメテミタトキカラキニクワナカッタケド、トコトンジャマネ……………
___なら、完全にデバフが消える前にラフェエル様の契約印を取っちゃお!
カーバンクル!」
『は、はい!』
フランが呼ぶと、カーバンクルの姿が変わる。白いボブのくせっ毛に、金色の瞳、シンプルな白いワンピースを着た…………女とも男とも取れる顔立ちの人間になった。
カーバンクルは私の目の前_右目を中心に_で、掌を広げた。そして、歌うような声色で言葉を紡ぐ。
『________穢れた呪いをかけられし神の御子よ、魂の呪縛から解放されし時。
カーバンクルの名のもとに、神々の印から救済しよう』
「……………なにを……………ッ!」
白い光がキラキラと輝きながら、降り注ぐ。その中、次はフランがカーバンクルの手に自分の手を乗せて言う。
「聖なる力よ、聖女の私・フラン・ダリ・ジュエルズ・セイレーンに力を貸しなさい!」
そう言うと、多彩な色を照らしていた天井のステンドグラスを突き抜けて、金色の光の柱が生まれた。
「………………………クソが…………………!」
光の柱に飲まれると、右目に痛みを伴いながら再び意識が遠のいていく。光に飲まれていく中、脳裏にアルティアの顔が浮かんだ。
アルティア_____私はここに居る。
早く助けにこい。
早く_____いつもの笑顔を見せろ。
_______アルティア……………………
そこで意識まで、光に飲まれた。
* * *
おかしい。
アルティアは暗い部屋の中で思う。
窓の外には青白い三日月が浮かんでいる。もうすっかり夜も更けている。
なのに、ラフェエルは一向に戻ってこない。部屋を出ていってからもうかれこれ6時間以上経っている。6時間も話すことなんてある?
ラフェエルは婚約者を置いて、フランと甘いひとときを過ごす_____なんて、非常識なことをする人間ではない。人でなしではあるけれど、そこまで腐ってない。
天皇に呼ばれたとしても、夜の11時まで話すことなんて無いはずだ。
そりゃ、追い出したのは私だけど……………………流石に心配になる。私の知らないところでなにか起きているんじゃないか?と。
最初こそ、淑女らしく殿方が戻ってくるのを待っていよう………………なんて思っていたけれど、気が変わった。
「…………____ダーインスレイヴ」
そう呟くと、ぽぅ、と青紫色の剣が出た。私は剣を握らず言う。
「クリスティド、エリアス、リーブを呼んで。ラフェエルを探す」
『わかった』
剣はそう言ってふ、と消えた。
ラフェエルが無事見つかるといいけど……………なんだか、嫌な予感がする。
アルティアはぼんやりした不安を抱きながら、三日月を見た。
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