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最終章 We are Free !
次期龍神と生贄皇子 #Epilog
しおりを挟む「ぷはぁ~~~~~!つっかれた!」
演説が終わったその夜、アルティアはいつもの如くベッドにダイブした。今までの部屋ではない。皇妃の部屋だ。しかし、ベッドだけは今まで持ち歩いていた黒いベッド。……………ガーランドの遺品だ。
私は、生きた。
みんなの力で復活したのだ。
ただ、どうしても寿命だけは元通りにならなかった。
初代龍神が居なくなったが、未だにワールドエンドにある人柱の呪いは解かれていなかった。
それだけではなく、ゼグスやハデスに魔力を与えた時に寿命も縮んでたらしく、神々に見てもらったら、1万歳の寿命が3000歳まで落ちているらしい。…………それでも長いけどね。
で、私の力はというと、簡潔に言っちゃうと引き継いでます。普通1度死んだらチート機能ってなくなりませんかね?13本の屈服印も未だに健在なんで強くてニューゲームの気分ですよ。
とはいえ、もう旅をする気は無い。
ラフェエルとのんびり田舎で畑でも耕してようと思ったら、周りがそれを許してくれなかったわけで。
結局ラフェエルは皇帝になった。確かにね、あんなにハイスペックな農民が居たら普通に怖いですよええ。ただの農民に剣を持たせたら新たな伝説ができるでしょう。
…………で、そんなラフェエルを置いて私だけ平々凡々と生きるのは無理なわけで。そもそも、ラフェエルが好きで、一緒に生きたい!と思って生き返ったのに、ラフェエルと離れ離れになったら生き返った意味がない。
そんなこんなで私は皇妃という大層な肩書きを得たのである。龍神から皇妃って、これは進化なのか退化なのか………………
「どうした、アル」
「あ、ラフェエル」
そんなことを考えてたら、いつの間にか部屋にラフェエルがいた。物凄く疲れた顔をしている。………そりゃあ"世界最終日"から自国のみではなく他国の世話まで見てたらこうもなりますって。
そんなお疲れラフェエルは、ツカツカと靴を鳴らして私のベッドに来ては隣に寝そべった。…………信じられます?あの、『位が高い者がだらだらするな』って言ってた人が!今では着替えもせずにベッドに倒れるんですよ!
いや~好きな人の趣味趣向が移るっていうけど、まさか私の怠け癖が移ってしまうとは…………でも、私の存在でラフェエルが変わるのはとっても嬉しい。
「ふふ、お疲れ、ラフェー」
「……………ん」
ラフェーはそう言って、私の唇に自分のそれを重ねる。何度も何度も重ねられ、それらは徐々に甘く、深くなる。
いや、まてまてまてまて?ベッドの上で?こんなキスしてたら?
「っふ、ラフェ、やめ………」
「……………やめない。お前は今日から私の妃だろう?」
「は、い…………?」
ぐるん、と視界が一回転して、天井とラフェエルのイケメン顔が広がった。ラフェエルは熱の篭った瞳で、しゅるり、と自分の首元のリボンを解きながら言う。
「……………今日私は皇帝になり、お前は妃となった。そして、龍神ですら無くなったお前は、ただの"私が愛する女"となり、生涯を共にするのだ 。
つまり…………言いたいことはわかるな?」
「あ、えと、そ、そうだけど、普通は花嫁修業とかで、婚約者的な……………」
「何度も同じことを言わせるな。
______名実共に真の夫婦になろう」
「ちょ、あっ……………んん~~~~!」
私が何かを言う前に、唇を塞がれた。
それはもう、いつもの理不尽な所業が嘘のように、甘く蕩けるほど愛されました。
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