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この世で一番最初の娘たちと、その婿たちの話。
世界を見張る者たち。
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昔々のその昔。
天の御国の御使いが、天と地と人のために空と大地の間で舞い飛んでいた頃のこと。
広い広い大地には、人が最初の夫婦の二人と、最初の夫婦の最初の娘と、最初の双子の娘と、この世で最初の逆子の娘と、この世で最初の掌に乗るほどに小さな体で生まれた娘と、この世で最初の大人のように大きな体で生まれた娘と、この世で最初のお母さんのお腹を裂いて取り出した最後の娘しかおりませんでした。
最初の夫婦の最初の子どもより前には人はおらず、最初の夫婦の最後の子どもより後には人は生まれてきませんでした。
広い広い広い、果てなく広い大地には、小さな一つの家族だけがおり、それぞれおのおのの仕事をしてようやく暮らしておりました。
さてこの頃、天と地との間には、いつも一つの大きな雲が浮かんでおりました。
雲のその上はならされた地面のように平らで、銀の柱が立ち並ぶ立派な神殿が建っておりました。
神殿は、見張りの天使たちの住処でした。
神殿の床には金が敷き詰められ、壁は白い玉髄でできていました。
玉髄の壁には十二の窓が開いていて、それぞれの窓枠は、|碧玉(ジャスパー)と、|青玉(サファイア)と、|瑪瑙(アゲート)と、|緑玉(エメラルド)と、|縞瑪瑙(サードニクス)と、|赤瑪瑙(カーネリアン)と、|橄欖石(ペリドット)と、|緑柱石(ベリル)と、|風信子石(ヒヤシンス)と、|緑玉髄(クリソプレイズ)と、|瑠璃(ラピスラズリ)と、|紫水晶(アメシスト)で縁取られていました。
その十二の窓のそれぞれを覗けば、居ながらにして世界の総てが見渡せたのです。
見張りの天使たちは夜も眠らず世界を見渡し、世界で起きた総てのことを見聞きしておりました。そのようにして、起きたこと総てを記録し、記録した総てを天に運ぶのが、見張りの天使たちの役目でありました。
見張りの天使が運んできた記録は、天の一番高いところにおられる、最も尊い御方がご覧になって、良い行いを良いとし、悪い出来事を悪いとお裁きになられるのです。
ですけれども、何分、大地と天の一番高いところは大変遠く離れております。
大地の端の片隅でなにやら事が起きたとしたら、その度毎に天に戻り、最も尊い御方より対処の術を授けてもらっておりましたなら、事が大事になるやも知れません。
ですから最も尊い御方は、見張りの天使たちに「自分で考え、自分で行う」ことを許されました。
この世で「自分で考え、自分で行う」ことができるのは、唯一無二なる最も尊い御方と、大地の上の人間たちと、見張りの天使たちだけでありました。
天の御国の御使いが、天と地と人のために空と大地の間で舞い飛んでいた頃のこと。
広い広い大地には、人が最初の夫婦の二人と、最初の夫婦の最初の娘と、最初の双子の娘と、この世で最初の逆子の娘と、この世で最初の掌に乗るほどに小さな体で生まれた娘と、この世で最初の大人のように大きな体で生まれた娘と、この世で最初のお母さんのお腹を裂いて取り出した最後の娘しかおりませんでした。
最初の夫婦の最初の子どもより前には人はおらず、最初の夫婦の最後の子どもより後には人は生まれてきませんでした。
広い広い広い、果てなく広い大地には、小さな一つの家族だけがおり、それぞれおのおのの仕事をしてようやく暮らしておりました。
さてこの頃、天と地との間には、いつも一つの大きな雲が浮かんでおりました。
雲のその上はならされた地面のように平らで、銀の柱が立ち並ぶ立派な神殿が建っておりました。
神殿は、見張りの天使たちの住処でした。
神殿の床には金が敷き詰められ、壁は白い玉髄でできていました。
玉髄の壁には十二の窓が開いていて、それぞれの窓枠は、|碧玉(ジャスパー)と、|青玉(サファイア)と、|瑪瑙(アゲート)と、|緑玉(エメラルド)と、|縞瑪瑙(サードニクス)と、|赤瑪瑙(カーネリアン)と、|橄欖石(ペリドット)と、|緑柱石(ベリル)と、|風信子石(ヒヤシンス)と、|緑玉髄(クリソプレイズ)と、|瑠璃(ラピスラズリ)と、|紫水晶(アメシスト)で縁取られていました。
その十二の窓のそれぞれを覗けば、居ながらにして世界の総てが見渡せたのです。
見張りの天使たちは夜も眠らず世界を見渡し、世界で起きた総てのことを見聞きしておりました。そのようにして、起きたこと総てを記録し、記録した総てを天に運ぶのが、見張りの天使たちの役目でありました。
見張りの天使が運んできた記録は、天の一番高いところにおられる、最も尊い御方がご覧になって、良い行いを良いとし、悪い出来事を悪いとお裁きになられるのです。
ですけれども、何分、大地と天の一番高いところは大変遠く離れております。
大地の端の片隅でなにやら事が起きたとしたら、その度毎に天に戻り、最も尊い御方より対処の術を授けてもらっておりましたなら、事が大事になるやも知れません。
ですから最も尊い御方は、見張りの天使たちに「自分で考え、自分で行う」ことを許されました。
この世で「自分で考え、自分で行う」ことができるのは、唯一無二なる最も尊い御方と、大地の上の人間たちと、見張りの天使たちだけでありました。
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