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第八話
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ナティの12歳の誕生日は、何もなかった。1年前の誕生日とは真逆だ。
パーティーもプレゼントも花束も笑顔もなかった。
婚約解消とナティの孤児院行きが決まりそうだった。
ファラン夫妻は、実の子ができても、ナティを孤児院に帰す気はなかった。
けれど、祖母をはじめとする一族がナティの存在を邪魔に思った。
ファラン侯爵は母に弱い。ナティをこのまま娘としたいと何度か訴えたが、すべて却下されてしまう。
「実の子がいるのによその子は必要ありません。だいたい平等に育てられるの?
孤児だった娘を本気で可愛がれるの?」
事情が変わったのだから、よその子はいらない、その一点張りだ。
ファラン夫妻は結局説き伏せられてしまった。ナティは、すぐに孤児院に帰ることになった。
「ナティ、お父様もお母様も一緒に暮らしてなくても、ナティを思っているよ」
ふたりはそう言った。
ナティは頷いた。
ルダを連れて行くことを侯爵夫妻は許した。念のため問い合わせた孤児院も、一つだけなら許可するとの回答が来た。
ナティは、ルダに向けて言った。
「お引っ越しよ、ルダ。優しいスカーレットが待っていてくれるから安心して」
孤児院に戻ると、スカーレットは以前と同じで、優しく抱きしめてくれた。
「スカーレット、私いつまでここにいられるの?」ナティは泣きながら、気丈に尋ねた。
「14歳になるまで。ナティはすぐにでも、自分の働きたい場所で見習いに出なくてはならないわ」
ナティは考えた。自分のしたいこと。
できたら、自分のようなお金をあまり持ってない人でも訪れることができて、人の役に立つ場所で働きたかった。
修道院はどうだろう。簡単には働けないかもしれないけれど、人の役に立てる。
結婚は、レンバルト様とできないなら、しなくてもいいなと思った。
パーティーもプレゼントも花束も笑顔もなかった。
婚約解消とナティの孤児院行きが決まりそうだった。
ファラン夫妻は、実の子ができても、ナティを孤児院に帰す気はなかった。
けれど、祖母をはじめとする一族がナティの存在を邪魔に思った。
ファラン侯爵は母に弱い。ナティをこのまま娘としたいと何度か訴えたが、すべて却下されてしまう。
「実の子がいるのによその子は必要ありません。だいたい平等に育てられるの?
孤児だった娘を本気で可愛がれるの?」
事情が変わったのだから、よその子はいらない、その一点張りだ。
ファラン夫妻は結局説き伏せられてしまった。ナティは、すぐに孤児院に帰ることになった。
「ナティ、お父様もお母様も一緒に暮らしてなくても、ナティを思っているよ」
ふたりはそう言った。
ナティは頷いた。
ルダを連れて行くことを侯爵夫妻は許した。念のため問い合わせた孤児院も、一つだけなら許可するとの回答が来た。
ナティは、ルダに向けて言った。
「お引っ越しよ、ルダ。優しいスカーレットが待っていてくれるから安心して」
孤児院に戻ると、スカーレットは以前と同じで、優しく抱きしめてくれた。
「スカーレット、私いつまでここにいられるの?」ナティは泣きながら、気丈に尋ねた。
「14歳になるまで。ナティはすぐにでも、自分の働きたい場所で見習いに出なくてはならないわ」
ナティは考えた。自分のしたいこと。
できたら、自分のようなお金をあまり持ってない人でも訪れることができて、人の役に立つ場所で働きたかった。
修道院はどうだろう。簡単には働けないかもしれないけれど、人の役に立てる。
結婚は、レンバルト様とできないなら、しなくてもいいなと思った。
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