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3、次期当主
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「ジャン。モンド辺境伯の次期当主をご存知かしら?」
「もちろんこの僕だろ?」
男臭くなった顔で自信満々答えるジャン。あ、後ろに並ぶ我が家の従者達の視線まで絶対零度になってますわ。
「何故そう思うのかしら?」
「君と僕が結婚して、辺境伯になるからだろ」
「何故、私とジャンが結婚するのかしら?」
「僕達が婚約者だからだろ?」
「違いますわ」
彼の言葉を否定すると、ジャンはお祖父様に視線を投げました。まるで変な事を言ってるから怒って下さいよ、と言わんばかりです。これ以上お祖父様の機嫌を悪化させないで頂きたいですわね…。
以前からどうもジャンは勘違いしている様子がありました。親から事前に伝えられているはずですのに…都合よく記憶を改変してしまっているのでしょうか。それでも途中で親切に訂正してくれるような方は傍にいなかったのでしょうか。こちらとしても突然両親が亡くなった事で色々と慌ただしくなり、ジャンの事を含めた婚約関係の話が後回しになってしまった。そのせいでもあるのでしょうね。ですが、これまで何度も、ジャンのご実家からも、私の祖父母からも、ジャン自身へ通達があった事も事実です。
私からの言葉なら通じるかしらと少し不安になりますが、この際はっきり伝えてあげましょう。
「ジャン、私こそが次期女当主としてモンド辺境伯を継ぐ者です。そして、貴方は正式な私の婚約者であった事は一度もありませんわ」
「はぁ、まだ冗談を続けるのか。両親からは辺境伯から来た婚約の話だって言われたんだぞ。両親も僕も受け入れたんだ。婚約者じゃないなら何だって言うのさ」
「申し入れは確かに我が家からですわ。しかし、それは婚約者の候補として、でした」
「長子である次期当主の婚約者は候補として選んだ若者数人の中から、一人を選ぶ。これは我がモンド家の仕来りでな。お前は、その候補の一人でしかなかった。当然、ボクス男爵も知っていた事だぞ」
私の言葉を笑って聞いていたジャンが、私に続いたお祖父様の言葉に固まります。女性の方も雲行きが怪しい事を感じてか、ジャンの腕を握っています。
「そもそもの話、何故、我がモンド家の正当な血を受け継ぐディアナを差し置いて、血の薄い分家筋でしかないお前が次期当主となれると思ったのだ。次期当主は昔から変わりなく、孫娘であるこのディアナ一人。国王陛下も次期女当主となる事を認めておるぞ。異議を唱えるなら王都へ向かい、国王陛下に奏上するのだな。なあに、今も貴族だと身分を偽っておるのだ、国家反逆罪が更に増えたところで大した差はないだろう」
「そうですわね、もし万が一、ディアナが貴方と結婚したとしても、当主はディアナだわ。貴方はあくまでも婿養子。子が生まれても、貴方が当主となる事なんてあり得ない事ですわね。ええ、本当に貴方のような身持ちが悪く、頭も悪く自己中心的で傲慢な方を我がモンド家に迎え入れるなんて、絶対にあり得ませんわね」
ここぞとばかりにお祖父様とお祖母様が畳みかけるように話します。直接話そうと呼び出しても、いつものらりくらりと避けて、手紙で伝えても読んだ形跡すらなかったそうですし。よほど鬱憤が溜まっておられるのでしょう。ジャンはどうやら私となら対話する気になるようですし、やはり、一度だけでも帰郷すべきだったかしら…。
「もちろんこの僕だろ?」
男臭くなった顔で自信満々答えるジャン。あ、後ろに並ぶ我が家の従者達の視線まで絶対零度になってますわ。
「何故そう思うのかしら?」
「君と僕が結婚して、辺境伯になるからだろ」
「何故、私とジャンが結婚するのかしら?」
「僕達が婚約者だからだろ?」
「違いますわ」
彼の言葉を否定すると、ジャンはお祖父様に視線を投げました。まるで変な事を言ってるから怒って下さいよ、と言わんばかりです。これ以上お祖父様の機嫌を悪化させないで頂きたいですわね…。
以前からどうもジャンは勘違いしている様子がありました。親から事前に伝えられているはずですのに…都合よく記憶を改変してしまっているのでしょうか。それでも途中で親切に訂正してくれるような方は傍にいなかったのでしょうか。こちらとしても突然両親が亡くなった事で色々と慌ただしくなり、ジャンの事を含めた婚約関係の話が後回しになってしまった。そのせいでもあるのでしょうね。ですが、これまで何度も、ジャンのご実家からも、私の祖父母からも、ジャン自身へ通達があった事も事実です。
私からの言葉なら通じるかしらと少し不安になりますが、この際はっきり伝えてあげましょう。
「ジャン、私こそが次期女当主としてモンド辺境伯を継ぐ者です。そして、貴方は正式な私の婚約者であった事は一度もありませんわ」
「はぁ、まだ冗談を続けるのか。両親からは辺境伯から来た婚約の話だって言われたんだぞ。両親も僕も受け入れたんだ。婚約者じゃないなら何だって言うのさ」
「申し入れは確かに我が家からですわ。しかし、それは婚約者の候補として、でした」
「長子である次期当主の婚約者は候補として選んだ若者数人の中から、一人を選ぶ。これは我がモンド家の仕来りでな。お前は、その候補の一人でしかなかった。当然、ボクス男爵も知っていた事だぞ」
私の言葉を笑って聞いていたジャンが、私に続いたお祖父様の言葉に固まります。女性の方も雲行きが怪しい事を感じてか、ジャンの腕を握っています。
「そもそもの話、何故、我がモンド家の正当な血を受け継ぐディアナを差し置いて、血の薄い分家筋でしかないお前が次期当主となれると思ったのだ。次期当主は昔から変わりなく、孫娘であるこのディアナ一人。国王陛下も次期女当主となる事を認めておるぞ。異議を唱えるなら王都へ向かい、国王陛下に奏上するのだな。なあに、今も貴族だと身分を偽っておるのだ、国家反逆罪が更に増えたところで大した差はないだろう」
「そうですわね、もし万が一、ディアナが貴方と結婚したとしても、当主はディアナだわ。貴方はあくまでも婿養子。子が生まれても、貴方が当主となる事なんてあり得ない事ですわね。ええ、本当に貴方のような身持ちが悪く、頭も悪く自己中心的で傲慢な方を我がモンド家に迎え入れるなんて、絶対にあり得ませんわね」
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