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第三章 波乱
40.責任の所在
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隼人の家に案内された祈と瑠璃ちゃんは、これでもかと目を開いてはしゃいでいた。
隼人の自宅は研究所兼自宅だが、その広さはマンションの最上階ワンフロア丸ごとという規格外さ。
年収などは聞いた事が無いし、あまり興味もない。
だが我が家と違っていい家具や家電を使っているだけあって、居心地は非常に良い。
「二人共自由にしててね。冷蔵庫の中も好きに飲み食いしていいから――あ、シャワーもね」
「ありがとうございます隼人さん」
「瑠璃、ここに住みたい……」
「あぁ、瑠璃ちゃんいのりん、その事なんだけど提案があるんだ」
「提案ですか?」
「このお菓子、銀座の高級菓子、いただきます」
二人は棚にあったお菓子をぱくつきながら小首をかしげた。
隼人はソファに腰を落ち着け、淹れたてであろうコーヒーをすすった。
「二人共、しばらくはここに泊まるといい。部屋は余っているからね」
「「えぇ!?」」
二人は隼人の提案に驚いて、俺と隼人を交互に見た。
「俺が隼人に頼んだんだ。翆ちゃんは必ず助け出すとして、その間としばらく落ち着くまで、ここで匿ってもらうのが一番安全なんだ」
「でも……」
「瑠璃は名案だと思う。その間贅沢できる、むふ」
「自分で言うのもなんだけど、僕の家ほど安全な場所は無いと断言出来るよ」
隼人の言う通り、この家はかなりのセキュリティが施してあるし、何よりタワマンの最上階だ。
ここに立ち入るには文字通り飛んで来るしかない。
「分かりました」
「よろしい。それじゃコノミ、これからどうする?」
「ククク……決まっている。我が眷属に手を出した事を後悔させてやるさ」
「それじゃコノミ、指示をくれ」
「ならば隼人よ、今すぐダンジョン関連の掲示板をクラッキングして例のアレを貼り付けろ。断罪の捕食者が裁きを下す、とな」
「オーキードーキー」
そう言って隼人は手を振りながら研究室へと向かって行った。
後は――。
「ね、ねぇ、コノミ。裁きって、どういう事?」
「コーチ、顔こわ」
「その前に俺は二人に謝らなきゃならない。すまなかった」
「え!? なぜに!?」
「コーチが謝る? 理由は?」
目を丸くする二人に、俺は深くお辞儀をした。
「翆ちゃんが拉致されたのは俺をおびき出す為、それはつまり、俺が君達を巻き込んでしまったという事だ」
「それは! 違うよコノミ!」
「でもお願いしたのは私達であって、コーチが悪い事は無いと思うんだけど」
「そうだよ! コノミはきちんと警告してくれた! こんな事になるなんて思っても無かったけど、コノミが悪いんじゃない!」
「二人共……」
「それ以上言うなら私、怒るから」
「祈が怒るとめんどくさいから、コーチ、それくらいにしておいて」
「……分かった。ありがとう」
てっきり二人は怒っているものとばかり考えていたけれど、どうやら俺の勘違いだったようだ。
だが俺を狙っていた連中が、翆ちゃんを利用したのは事実なのだから少なくない責任があるのは確かだ。
この子達に怒りをぶつけられる覚悟をしていただけに、二人の優しさが身に染みる。
隼人の自宅は研究所兼自宅だが、その広さはマンションの最上階ワンフロア丸ごとという規格外さ。
年収などは聞いた事が無いし、あまり興味もない。
だが我が家と違っていい家具や家電を使っているだけあって、居心地は非常に良い。
「二人共自由にしててね。冷蔵庫の中も好きに飲み食いしていいから――あ、シャワーもね」
「ありがとうございます隼人さん」
「瑠璃、ここに住みたい……」
「あぁ、瑠璃ちゃんいのりん、その事なんだけど提案があるんだ」
「提案ですか?」
「このお菓子、銀座の高級菓子、いただきます」
二人は棚にあったお菓子をぱくつきながら小首をかしげた。
隼人はソファに腰を落ち着け、淹れたてであろうコーヒーをすすった。
「二人共、しばらくはここに泊まるといい。部屋は余っているからね」
「「えぇ!?」」
二人は隼人の提案に驚いて、俺と隼人を交互に見た。
「俺が隼人に頼んだんだ。翆ちゃんは必ず助け出すとして、その間としばらく落ち着くまで、ここで匿ってもらうのが一番安全なんだ」
「でも……」
「瑠璃は名案だと思う。その間贅沢できる、むふ」
「自分で言うのもなんだけど、僕の家ほど安全な場所は無いと断言出来るよ」
隼人の言う通り、この家はかなりのセキュリティが施してあるし、何よりタワマンの最上階だ。
ここに立ち入るには文字通り飛んで来るしかない。
「分かりました」
「よろしい。それじゃコノミ、これからどうする?」
「ククク……決まっている。我が眷属に手を出した事を後悔させてやるさ」
「それじゃコノミ、指示をくれ」
「ならば隼人よ、今すぐダンジョン関連の掲示板をクラッキングして例のアレを貼り付けろ。断罪の捕食者が裁きを下す、とな」
「オーキードーキー」
そう言って隼人は手を振りながら研究室へと向かって行った。
後は――。
「ね、ねぇ、コノミ。裁きって、どういう事?」
「コーチ、顔こわ」
「その前に俺は二人に謝らなきゃならない。すまなかった」
「え!? なぜに!?」
「コーチが謝る? 理由は?」
目を丸くする二人に、俺は深くお辞儀をした。
「翆ちゃんが拉致されたのは俺をおびき出す為、それはつまり、俺が君達を巻き込んでしまったという事だ」
「それは! 違うよコノミ!」
「でもお願いしたのは私達であって、コーチが悪い事は無いと思うんだけど」
「そうだよ! コノミはきちんと警告してくれた! こんな事になるなんて思っても無かったけど、コノミが悪いんじゃない!」
「二人共……」
「それ以上言うなら私、怒るから」
「祈が怒るとめんどくさいから、コーチ、それくらいにしておいて」
「……分かった。ありがとう」
てっきり二人は怒っているものとばかり考えていたけれど、どうやら俺の勘違いだったようだ。
だが俺を狙っていた連中が、翆ちゃんを利用したのは事実なのだから少なくない責任があるのは確かだ。
この子達に怒りをぶつけられる覚悟をしていただけに、二人の優しさが身に染みる。
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