112 / 298
第七章 ロンシャン撤退戦ー前編ー
二七三話 旧知の仲?
しおりを挟む「ドライゼン王とお知り合いなのですか?」
「言ってなかったか? ほれお前さんが初めて王宮に招致された時のことだ」
「ドライゼン王は話せる方だとしか……」
「そうだっけか? まぁいい。俺は昔世界を回ってた、あの森に居座るまでな」
クライシスはワンドで自分の肩を叩きながら話を続けた。
ドライゼン王は不思議そうな顔で俺とクライシスのやり取りに聞き耳を立てている、そして聞き耳を立てているのはドライゼン王だけではなく、シャルルとタウルスもさりげなく意識をこちらに向けているのがわかった。
「どこの国だっけかな? 獣人の国だったか亜人の国だったか、とりあえずランチアではないどこかだ。そこでそのドライゼンと色々あったのさ」
「そうなの? お父様」
「ううむ……思い当たる節はあるが……私が諸国を巡っていたのは数十年前の事、その時に出会ったとしても、貴殿は若すぎる。貴殿の御父上と何かしらあったのだろうか?」
「いや? 俺自身だぜ? クックック……」
クライシスの言葉でますます怪訝な顔をするドライゼン王だったが、俺にはわかる、クライシスは絶対に楽しんでる、断言できる。
「そろそろきちんと説明した方がいいんじゃないですか? クライシス」
「だっはっは! そうだなぁ! 分かるはずねーもんな!」
「く、クライシス!?」
俺が名前を呼んだことで、ドライゼン王は大笑いをしているクライシスを指さして立ち上がった。
ドライゼン王の目は大きく開かれ、信じられないという感情が色濃く感じられる。
そりゃあそうだよな。
「おう。俺がクライシスだ。思い出したか? 坊主」
「ば、ば、ばかな……! 私が知っているクライシス卿はかなりのご高齢、しかも数十年前の話だ。生きているはずがない」
「歳はとってたが、死んだわけじゃあないんだぜ? ましてや転生術なんかとも違う。ヒントは目の前にいるよく知った小僧とドライゼン、あんたの娘だ」
クライシスの言葉を受けて、ドライゼン王の視線が俺とシャルルを往復する。
シャルルも悪乗りしているのだろう、にやにやと楽しそうな微笑みを浮かべ、黙って事の成り行きを見守っている。
「わからん……降参だ」
脱力したように椅子に座り、大きなため息を吐いてドライゼン王は言った。
「正解は若返りだよ。フィガロの力の一端だ。どうだ? びっくりしたか?」
「な……だめだ、理解が追い付かん……くくく……夢でも見ているような心地だ」
口をぽっかりと開け、クライシスを見つめたドライゼン王はやがて小さく笑いだし、力強い眼差しを俺に向けた。
「フィガロよ。お前はどれだけの力を隠し持っているというのだ? 大悪魔を倒し、悪魔の将軍を打ち取り、迷宮を短時間で攻略、そして若返りの秘術だと? もはや笑いうしかあるまい」
「いやあ……はは……」
「お父様が諸国巡りをしていたなんて、私知らないわ? 色々お話聞きたいなー?」
俺を見つめてニヤリと笑うドライゼン王の横にシャルルが近寄り、ニコニコと笑っている。
「ぐむ……父上と母上に言いつけられたのだ。世界を回り見聞を広めよとな」
「おじい様とおばあ様ね? 私はお会い出来なかったけど……」
俯くシャルルの頭を撫で、ドライゼン王は静かに語りだした。
若き日の王とクライシスとの話を。
今から約三〇年前、前王と前妃が健在だった頃のことだ
ランチア魔道王朝から遙か南、海を越えた南方大陸。
南方大陸にある亜人の国へ渡り、亜人独自の文化や食生活を楽しんでいたドライゼン王は、とある村へ訪れた。
そこは亜人と人間が混住している村であり、村にいる医者だという老人と話をすることが出来た。
老人も長い間世界を周っているらしく、老人の話はとても面白い内容ばかりだった。
老人の名はクライシスと言った。
彼は村の亜人達にも色々な話を聞かせ、読み書きなども教えており、亜人の子供達も彼を先生、先生、と呼び慕っていた。
ドライゼン王もその村が気に入り、結構な日数を滞在したという。
滞在中は亜人の住みようを真似て様々な経験をした。
畑仕事をしたり、森で狩りをしたり、村の若い衆と湖畔でのんびり釣りに興じたりと実にスローな生活だったらしい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。