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3◆カップ麺は引きこもりの強い味方

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一人で引きこもりしたいのに、なんか九尾の狐みたいな人が乗り込んできて居座られてる。

獣人っていう種族なんだって。

強制的に自己紹介をさせられて、今はなんか変なことほざかれている。

「ぜひ俺と結婚しよう!」

「ひえぇっ……お断りします………」

「何故!?」

アンリはグイグイ積極的だけど、何が目的かわからない。

結婚とか言ってるけど、好きでもない人に軽々とそんなことが言えるなんて、この人はきっと所謂チャラ男とかいう人種に違いない。

僕を好きになる人なんているわけないって、僕はわかってるんだから!

僕知ってるよ……チャラ男は誰彼構わずナンパして、エッチな意味で美味しく頂いたらポイする人なんでしょ?

………僕は仲良しの人なんていなかったから、いろいろな偏見を持っているのだ。

僕はこの人を警戒して、猫のようにベッドの下に潜り込んで弱々しい威嚇をしている。シャー…フシャー……ッ!

「可愛い♡」

「シャー…シャー……!」

「人間なのに小猫のような威嚇してる。俺のカンナ可愛い」

「出て行ってよ……ここは僕の家なのに………」

「俺、行く場所ないからこのまま結婚して番になろ♡」

「お断りします!フシャー……フシャー………ッ!」

話し合いは平行線。

出て行く気配が欠片もなくて、涙ながらに僕が折れるしかなかった………。

僕には引きこもるためのチートはあるけれど、敵を撃退するためのチートはないので、それがとても悔やまれるよ。



僕はチートでカップ麺を出して、お湯を注ぐ。

これが僕の主食なんだ。

僕に料理技術なんてものはないから、引きこもりの強い味方カップ麺をチートで出して食べているんだ。

栄養バランス?

………そんなこと気にしたことないよ。

手料理なんか縁のないものだったんだから………。

チートで出したカップ麺のゴミは、チートで消し去ることができるからゴミも溜まらないんだ。

原理はわからないけど、女神カティアの説明では【その気になれば不可能を可能にすることだってできる力】らしい。

………結局意味はわからなかった。

「カンナ、これは?」

「カップ麺。僕の主食。3分待ったらできるよ。フォークで食べてね」

アンリの分を用意しないほど僕は意地悪じゃないから、ちゃんとアンリのカップ麺も用意している。

きっと箸は使えないだろうからフォークを渡したんだ。

3分待ってできたカップ麺をどうぞと渡して、僕は箸でズルズルと麺を啜り食べる。

アンリはすごくビックリしているみたいで、耳を伏せた状態で恐る恐る麺をズルズル啜って食べだした。

ピコンッ!!

あ、アンリの耳が立った!

瞳がキラキラ輝いている。

………美味しかったんだね。

つい生暖かい目でみちゃったよ。

「美味しい!でも、身体に悪そうな味だね」

アンリの尻尾がご機嫌にゆらゆら揺れていた。

「食べ過ぎたら将来的には病気になる食べ物だよ」

「ふぁっ!?」

僕の言葉を聞いて、アンリの立派な九尾の尻尾が一斉に逆立って、ものすごいボリューミーになった瞬間だった。

………なんか、ごめんね。
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