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2章
奴隷 1
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鉛白の騒ぎから少し経ってのんびりした日々を送っていた。そんな時マルーツから荷物が着いた中にはマルーツの新製品の一式セットが入っていた。
「本当に送って来たのか?律儀だな」
「ヒデ兄師匠なにこれ?綺麗な入れ物だね?」
「ん?多分これお化粧品だな」
二人で箱を覗いていたら。開けっ放しのドアからノックの音が聞こえた。
「ヒデちょっといいか?」
ギルマスが入り口から覗き込んで話しかけてきた。ギルマスの方を見ると右手でコイコイと手を振っている。
呼ぶほどの距離でもないのだが内緒話かな?
ギルマスの近くまで来ると小声で話し始めた。
「お前に依頼が来てるんだよ」
「俺に?名指しで?」
「名指しってわけじゃないんだけど多分ヒデの事だと思ってな」
「多分?どんな依頼なの?」
「ああ、奴隷商からの依頼で奴隷達の健康診断をして欲しいんだとよ」
「奴隷の?」
「ああ、大抵この手の依頼は教会にいくんだが、お前少し前にスラムで健康診断しただろう?その評判を聞いてお前を探していたんだと」
「なるほどねー、そうか遂に来てしまったか。このイベントが!」
「ん?イベント?何の事だ?」
「いや、わかっているよギルマス俺はこの依頼を引き受けないといけないのだろう?」
「ん?いや?嫌なら他を当たってもらうから別にいいぞ?」
「あれ?俺に悪の奴隷商を潰せとかの裏依頼とかじゃなくて?」
「は?なんだその裏依頼って?」
「じゃあ、どこかの姫様が囚われてるかもしれないから救って来いとか?」
「何を言ってるんだ?」
「じゃ、じゃあ、希少な獣人とかハイエルフとか?」
「んー?ヒデ働き過ぎか?」
「えー?じゃあ何の依頼なの?」
「だから、健康診断だよ!国が年一回は必ず行なうようにって義務付けられているんだよ!」
「えーっと、そうなんだ?じゃあ姫様や希少な獣人は?」
「知らん。そもそも、それを言い出したのはヒデだろうが?」
「……確かに、じゃあ本当に健康診断だけなんだ」
「そう言ってんだろ最初から」
「うーん、そうかミラやキャリーさんは連れていけないしな、一人で行くかな?」
「ん?ミラはわかるがなぜキャロラインがダメなんだ?」
「何言ってんの?女性を奴隷商なんかに連れていけないでしょ?」
「お前、奴隷商をどういうとこだと思ってるんだよ?まったく、キャロラインにも依頼しとくから一緒に行って来い。お前一人だと不安になってきた」
「ムー、平気なのに。まあいいかその依頼引き受けるよ」
「ああ、頼むよ。社会勉強だと思て行って来い」
そんなこんなで依頼の日になった。
「じゃあ今日はミラ一人で残ってもらうけど大丈夫か?一応ゲン達も居るからね難しい病気の時は明日また来てもらうようにね。決して無理せずに。どうしてもの時には呼びに来ていいからね」
「わかってるよ、ヒデ兄師匠は心配性だな。その話はもう何度もしてるでしょ?」
「そうだけど……やっぱり、キャリーさんに残ってもらおうかな?」
「もお、いいから早く行ってきなさい。私だってヒデ兄師匠の一番弟子なんだから大丈夫だもん」
「う、わかったよ。でも無理すんなよ?」
こうして後ろ髪を引かれる思いで奴隷商館に向かった。
「お師匠様、心配なのはわかりますがもう少しお姉様を信用してあげてもいいのでは?」
「信用も信頼もしてるけど何か予想外の事が起こった時に、あの子が落ちこんだり自信を無くしたりしないかが心配で」
「ふぅ、お姉様を、いえ、ご自分の一番弟子ですよ?そんなに弱くないですわ。そばには仲間もいますしどんな事が起こっても平気ですわ」
「う、わかってるけどさー」
「そんな事よりお師匠様はご自分のお仕事をキチンとこなしてくださいませ」
そんな話をしながら奴隷商館に向かって歩いて行くと奴隷商館が見えてきた。場所は商店街のほぼ一番奥の方にあった。
「ここがそうなの?何かもっと悪の本拠地みたいな感じの店かと思ってたけど」
「奴隷商をどんな商売と思っているのですか?国の認可が無いと営業できないですのよ?」
「え?そうなんだ?俺のイメージではね。借金が返せなくなったり、村からさらわれた子供とか獣人とかが押し込められてるようなのをイメージしてた」
「ふぅ、いつの時代の奴隷商ですか?確かにいくつかの国では未だにそう言った事をしている所もあると聞きます。今やほとんどの国はキチンとした法があって各国多少の違いはあれど本筋は同じはずです」
「え?自分で言った事だけど本当にそんな所もあるの?」
「あるそうですわ。あまりそういう国には行かないようにしてますから詳しくは知らないですが」
そんな話をしていたら扉が開いて中から胡散臭そうなちょび髭の男が出てきた。
その男は持っているハンカチで汗を拭きながら話し出した。
「間違いでしたらすみません。もしかして冒険者ギルドで依頼を受けて下さった回復師様ですか?」
見た目は合格だ!いかにも胡散臭そうな小物臭がする。イメージぴったりだ。
「あ、はい、ギルドから健康診断の依頼を受けてやってきました。ヒデといいます。こちらは助手のキャロラインです」
「おお、やはりそうでしたか。時間通りで助かります。中に入ってください」
そう言われて中に入って行くと中は意外に広く待合のロビーと受付がある。
「診察してもらう部屋は奥になりますのでこちらにどうぞ」
男の後ろについて歩いて行く。少し歩くと大きなドアが見えてきた。そのドアを開けると豪華な応接間とその奥にもう一つのドアがあった。
「今、奴隷達を連れてくる準備をしてますのでこちらにお座りになってお待ちください。今お茶を持ってこさせますから」
そう言って腰を下ろすとお茶が運ばれてきた。
「ああ、自己紹介が遅れました。私ここの責任者をしております。ギャスパーといいます。以後お見知りおきをヒデ様」
「ヒデ様はやめてください。せめてさんで呼んでください。ギャスパーさん」
「そうですか?でもこれは癖の様なものでしてね。奴隷たち以外はこうして呼ぶ事にしてるんですよ」
「そうなんですか?少し落ち着かないですが了解しました」
テーブルにお茶を置いてくれた人の首に似合わない刺青の様なものが目に入った。あまり似つかわしくないのでつい凝視してしまった。
「お師匠様少し無粋ですわよ」
「え?えっと?」
「ハハ、ヒデ様はもしかして奴隷紋を見かけるのは初めてでしたかな?」
「あ、はい、そうなんですよ。私の故郷はここからずーっと離れてまして、その奴隷制度じたいがなかったので」
「ほほー、そうなんですか?奴隷制度がないとはよほど辺境ですね」
「そうなんですよ。だからこちらの生活には驚くことばかりで」
「なるほど、なるほど、そうでしたか。それではこの奴隷紋を知らないのも無理ないですな。この奴隷紋は奴隷になった者に義務付けられているのです。買われる前の者は大体首に付けますね。買って下さいとアピールにもなるので。買ってもらった後は主人の意向もありますが、大体目立たない腕や脚に移します」
「フム、やはりこの奴隷紋には何か魔法がかけられているんですよね?」
「ええ、場所の探知ですね。年期をが終われば消しますがそれまでは規則ですので消すことはできません」
「え?それだけなんですか?もっとこうー逆らったら痛みを発するようになったり、ご主人様から離れたら同じ様に痛みが走るとかないのですか?」
右手でこめかみを抑えながらキャリーさんが呟く
「……お師匠様……」
「えっと、ヒデ様何でそんな機能が必要なんですか?」
「え?言うこと聞かない奴隷にお仕置きしたり?後奴隷が逃げ出さない為にとか?」
「……ヒデさんの故郷は奴隷制度がなかったと聞きましたが、なかなかの想像力ですね。まず最初に言う事を聞かないのなら首にしてここに戻してくだされば他の奴隷をご紹介します。後、逃げ出したら場所探知があるので直ぐにわかりますし、何よりペナルティーが課せられるのと、奴隷紋は特殊な魔法でしか消せないので逃げ出しても良い事無いですよ?」
「あれ?確かにそうだな?」
ん?じゃあ今まで読んできた小説の中でヒロイン達が痛めつけられていたのは何故だ?…………あ、根本が違うのか。さらわれて来たり、だまされて連れてこられたりしたわけじゃないからか?じゃあ何でここの人達は奴隷になったんだろう?
ムムム、このままでは俺のイメージの奴隷商が。いや、まだ大丈夫だ。ジャスパーさんは胡散臭そうだしきっと何か隠しているに違いない?きっと……多分……だと良いなー。
「本当に送って来たのか?律儀だな」
「ヒデ兄師匠なにこれ?綺麗な入れ物だね?」
「ん?多分これお化粧品だな」
二人で箱を覗いていたら。開けっ放しのドアからノックの音が聞こえた。
「ヒデちょっといいか?」
ギルマスが入り口から覗き込んで話しかけてきた。ギルマスの方を見ると右手でコイコイと手を振っている。
呼ぶほどの距離でもないのだが内緒話かな?
ギルマスの近くまで来ると小声で話し始めた。
「お前に依頼が来てるんだよ」
「俺に?名指しで?」
「名指しってわけじゃないんだけど多分ヒデの事だと思ってな」
「多分?どんな依頼なの?」
「ああ、奴隷商からの依頼で奴隷達の健康診断をして欲しいんだとよ」
「奴隷の?」
「ああ、大抵この手の依頼は教会にいくんだが、お前少し前にスラムで健康診断しただろう?その評判を聞いてお前を探していたんだと」
「なるほどねー、そうか遂に来てしまったか。このイベントが!」
「ん?イベント?何の事だ?」
「いや、わかっているよギルマス俺はこの依頼を引き受けないといけないのだろう?」
「ん?いや?嫌なら他を当たってもらうから別にいいぞ?」
「あれ?俺に悪の奴隷商を潰せとかの裏依頼とかじゃなくて?」
「は?なんだその裏依頼って?」
「じゃあ、どこかの姫様が囚われてるかもしれないから救って来いとか?」
「何を言ってるんだ?」
「じゃ、じゃあ、希少な獣人とかハイエルフとか?」
「んー?ヒデ働き過ぎか?」
「えー?じゃあ何の依頼なの?」
「だから、健康診断だよ!国が年一回は必ず行なうようにって義務付けられているんだよ!」
「えーっと、そうなんだ?じゃあ姫様や希少な獣人は?」
「知らん。そもそも、それを言い出したのはヒデだろうが?」
「……確かに、じゃあ本当に健康診断だけなんだ」
「そう言ってんだろ最初から」
「うーん、そうかミラやキャリーさんは連れていけないしな、一人で行くかな?」
「ん?ミラはわかるがなぜキャロラインがダメなんだ?」
「何言ってんの?女性を奴隷商なんかに連れていけないでしょ?」
「お前、奴隷商をどういうとこだと思ってるんだよ?まったく、キャロラインにも依頼しとくから一緒に行って来い。お前一人だと不安になってきた」
「ムー、平気なのに。まあいいかその依頼引き受けるよ」
「ああ、頼むよ。社会勉強だと思て行って来い」
そんなこんなで依頼の日になった。
「じゃあ今日はミラ一人で残ってもらうけど大丈夫か?一応ゲン達も居るからね難しい病気の時は明日また来てもらうようにね。決して無理せずに。どうしてもの時には呼びに来ていいからね」
「わかってるよ、ヒデ兄師匠は心配性だな。その話はもう何度もしてるでしょ?」
「そうだけど……やっぱり、キャリーさんに残ってもらおうかな?」
「もお、いいから早く行ってきなさい。私だってヒデ兄師匠の一番弟子なんだから大丈夫だもん」
「う、わかったよ。でも無理すんなよ?」
こうして後ろ髪を引かれる思いで奴隷商館に向かった。
「お師匠様、心配なのはわかりますがもう少しお姉様を信用してあげてもいいのでは?」
「信用も信頼もしてるけど何か予想外の事が起こった時に、あの子が落ちこんだり自信を無くしたりしないかが心配で」
「ふぅ、お姉様を、いえ、ご自分の一番弟子ですよ?そんなに弱くないですわ。そばには仲間もいますしどんな事が起こっても平気ですわ」
「う、わかってるけどさー」
「そんな事よりお師匠様はご自分のお仕事をキチンとこなしてくださいませ」
そんな話をしながら奴隷商館に向かって歩いて行くと奴隷商館が見えてきた。場所は商店街のほぼ一番奥の方にあった。
「ここがそうなの?何かもっと悪の本拠地みたいな感じの店かと思ってたけど」
「奴隷商をどんな商売と思っているのですか?国の認可が無いと営業できないですのよ?」
「え?そうなんだ?俺のイメージではね。借金が返せなくなったり、村からさらわれた子供とか獣人とかが押し込められてるようなのをイメージしてた」
「ふぅ、いつの時代の奴隷商ですか?確かにいくつかの国では未だにそう言った事をしている所もあると聞きます。今やほとんどの国はキチンとした法があって各国多少の違いはあれど本筋は同じはずです」
「え?自分で言った事だけど本当にそんな所もあるの?」
「あるそうですわ。あまりそういう国には行かないようにしてますから詳しくは知らないですが」
そんな話をしていたら扉が開いて中から胡散臭そうなちょび髭の男が出てきた。
その男は持っているハンカチで汗を拭きながら話し出した。
「間違いでしたらすみません。もしかして冒険者ギルドで依頼を受けて下さった回復師様ですか?」
見た目は合格だ!いかにも胡散臭そうな小物臭がする。イメージぴったりだ。
「あ、はい、ギルドから健康診断の依頼を受けてやってきました。ヒデといいます。こちらは助手のキャロラインです」
「おお、やはりそうでしたか。時間通りで助かります。中に入ってください」
そう言われて中に入って行くと中は意外に広く待合のロビーと受付がある。
「診察してもらう部屋は奥になりますのでこちらにどうぞ」
男の後ろについて歩いて行く。少し歩くと大きなドアが見えてきた。そのドアを開けると豪華な応接間とその奥にもう一つのドアがあった。
「今、奴隷達を連れてくる準備をしてますのでこちらにお座りになってお待ちください。今お茶を持ってこさせますから」
そう言って腰を下ろすとお茶が運ばれてきた。
「ああ、自己紹介が遅れました。私ここの責任者をしております。ギャスパーといいます。以後お見知りおきをヒデ様」
「ヒデ様はやめてください。せめてさんで呼んでください。ギャスパーさん」
「そうですか?でもこれは癖の様なものでしてね。奴隷たち以外はこうして呼ぶ事にしてるんですよ」
「そうなんですか?少し落ち着かないですが了解しました」
テーブルにお茶を置いてくれた人の首に似合わない刺青の様なものが目に入った。あまり似つかわしくないのでつい凝視してしまった。
「お師匠様少し無粋ですわよ」
「え?えっと?」
「ハハ、ヒデ様はもしかして奴隷紋を見かけるのは初めてでしたかな?」
「あ、はい、そうなんですよ。私の故郷はここからずーっと離れてまして、その奴隷制度じたいがなかったので」
「ほほー、そうなんですか?奴隷制度がないとはよほど辺境ですね」
「そうなんですよ。だからこちらの生活には驚くことばかりで」
「なるほど、なるほど、そうでしたか。それではこの奴隷紋を知らないのも無理ないですな。この奴隷紋は奴隷になった者に義務付けられているのです。買われる前の者は大体首に付けますね。買って下さいとアピールにもなるので。買ってもらった後は主人の意向もありますが、大体目立たない腕や脚に移します」
「フム、やはりこの奴隷紋には何か魔法がかけられているんですよね?」
「ええ、場所の探知ですね。年期をが終われば消しますがそれまでは規則ですので消すことはできません」
「え?それだけなんですか?もっとこうー逆らったら痛みを発するようになったり、ご主人様から離れたら同じ様に痛みが走るとかないのですか?」
右手でこめかみを抑えながらキャリーさんが呟く
「……お師匠様……」
「えっと、ヒデ様何でそんな機能が必要なんですか?」
「え?言うこと聞かない奴隷にお仕置きしたり?後奴隷が逃げ出さない為にとか?」
「……ヒデさんの故郷は奴隷制度がなかったと聞きましたが、なかなかの想像力ですね。まず最初に言う事を聞かないのなら首にしてここに戻してくだされば他の奴隷をご紹介します。後、逃げ出したら場所探知があるので直ぐにわかりますし、何よりペナルティーが課せられるのと、奴隷紋は特殊な魔法でしか消せないので逃げ出しても良い事無いですよ?」
「あれ?確かにそうだな?」
ん?じゃあ今まで読んできた小説の中でヒロイン達が痛めつけられていたのは何故だ?…………あ、根本が違うのか。さらわれて来たり、だまされて連れてこられたりしたわけじゃないからか?じゃあ何でここの人達は奴隷になったんだろう?
ムムム、このままでは俺のイメージの奴隷商が。いや、まだ大丈夫だ。ジャスパーさんは胡散臭そうだしきっと何か隠しているに違いない?きっと……多分……だと良いなー。
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