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2章

奴隷 2

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 先ほどの疑問をジャスパーさんに訊いてみた。

「ジャスパーさんここにいる人達は何で奴隷になったんですか?」
「そうですね。うちの奴隷達のほとんどが生活が出来なくなってここに来た者ですね。後は一時的に大金が必要になって自ら来た者もいます」
「え?えーっと、生活が出来ないって?」
「そうですね。不作の年が続いてしまったりした時とか、生活の為に奴隷になって家族をたすけたりです。奴隷として自らを売れば家族に金銭が渡されますからね」

「うーん、お金を貸してくれるような機関は無いのですか?」
「商人ギルドの取引では使われると聞きますが、個人に向けてお金を貸す様な機関は無いですよ」

 まあ、そりゃそうだよなー。担保とかないもんね、その為に自分を担保にしてるって事か。ん?そうするとこの奴隷商館が金貸しの機関か。で、担保は自分で返し終わると奴隷紋を消してもらって解放か。上手く出来てるな。

うーん、気になる事を訊いてみた。
「えーっと、そのーお仕事とかは自分で選べるのですか?なんて言うか奴隷を買って好き勝手にする人とかいないんですか?」

「好き勝手ですか?」
「手籠めにしてしまうとか」
「えーっと、手っ取り早く返したくて身売りをする人もいますからそういった人は交渉次第ですが……その他でしたら普通に犯罪ですよね?衛兵に掴まりますよ?」

「ん?身売り?」
「はい全額を払い込んでもらうのです。まあその時は本人の承諾も必要ですがね」

 ジャスパーさんが少し考えると胡散臭そうな笑顔のまま話し出す。
「ヒデ様は辺境から来られた方ですから最初からお話しましょう。まず、奴隷達は最初に自分でランクを選べます。そのランクで自分の金額が決まります。一番は賃金は少ないですが毎月のお給金から自分の売った金額を奴隷商に渡して決められた期間に返していくのですよ。最初に決めた金額が高いと期間中に返せる仕事となりますと決まってしまいますから……そこはご自分で決めてもらいます」

「期間中に払えないとどうなるんです?」

「そうですね。残念ながらお支払い出来ない時は犯罪奴隷になってしまいます」

「え?犯罪奴隷になるとどうなるんですか?」
「国の管理する鉱山で強制労働です。まあ、これはかなりの特殊な例ですがね。大体は期間に返せますし、少しの延長はしますから」

「なるほど、救済処置はあるんですね」
「まあ、その前に女性は娼館に男性は戦闘奴隷として自分を売り込む人が多いですね」

「ん?戦闘奴隷って前に聞いた事が……あ、自称イケメンの全裸先輩の時か」

「戦闘奴隷の時だけは残りの全額を納めてもらわないといけないのですが、期間とかは買った主人との話し合いになりますのでそこまでは口を出しませんが、この手の奴隷はなり手が少ないですから希少価値はありますね」

 ふーん、期間中に返さないといけないのとかもあるけど、考えてみれば仕事の斡旋所みたいなとこなのかな?

俺の考えていた奴隷と全然違うんですけど。


「じゃあ、仕事を斡旋とかしてるんですか?」
「こちらからはしてないですが、人手が欲しいとこなんかは何日間仕事してほしいとかもありますね。そこで認められれば雇ってもらえたりもします」

「仕事の割り振りなんかもジャスパーさんがしてるんですか?」

「割り振りと言うほどでは無いですが?ある程度の得手不得手はこちらで把握してますから、仕事を勧める事はしますね。後、望む者には文字や計算の教育なんかもしていますよ。出来た方が高く評価されますからね」

「教育までしてくれるんですか?」
「ええ、まあ私が教えてるんですがね」
 そう言うと少し照れた笑いをした。
 あれ?この人胡散臭そうな顔してるけどいい人なのか?

「凄いですね。確かに文字や計算出来た方がいいですからね」
「そうなんですよ。なかなか好評でしてね」

 ああ、この人いい人だね。顔が胡散臭いだけだ。心の中で胡散臭いとか言ってごめんなさいとあやまっておいた。

そんな話をしているとさっきのメイドさんが入って来てジャスパーさんに、小声で話しかけジャスパーさんが頷いた。

「準備が出来ました。お待たせして申し訳ありませんでした」
「いえいえ、大変勉強になりました。ありがとうございます」
「フフ、それは良かったです。では順番に来させますのでここで待っていてください」

 そう言うと俺達が入って来たのとは逆の扉が開き十数人の男女が入って来た。見た目だけだが、歳は恐らく十代前半から三十代くらいの間かな?

「随分と若いと言うか幼い子もいるんですね」
「やはり、家を出るのは働き手の長男や長女よりも下の子が多いものでこんな感じになってしまうんですよ」

 なんか、前にテレビで見た口減らしの為に奉公や養子いく子供達を思い出した。一番幼そうな子に近づいて話しかけてみる。

「君はどんな仕事をしたいんだい?」
「え?オラの事か?ご飯さえ食べさせてもらえば、オラは何でもやるよ。村じゃ食べもんが少なかったけど、ここじゃあ働けば食べれるんだもん幸せだよ。お兄ちゃんはオラ達を買いに来たのか?オラちいせえけど一生懸命働くぞ」

「そうか、えらいな。残念だけど今日はみんなの健康診断をしに来たんだ」
「健康診断ってなんだ?」
「病気や怪我をしてないかを調べに来たんだよ」

「オラ元気だぞ。痛いとこもないし」
「フフ、そのようだね。でも順番に見るから待っていてね」
最後に頭をなでてから席に戻った。

「あんな小さい子でも働き口あるんですか?」
「ありますよ。主に職人や商人なんかの弟子とかですね。小さいうちに教えられれば伸びますからね。本人にその気があれば独り立ちも出来ますからね」
「職人の弟子入りか、なるほど内弟子なら住み込みで働けるしな」

そんな話をしてから順番にスキルの診断を使いながら診ていく。ほとんどの人は健康で問題ない。いても少し怪我をしてるくらいだった。

「ここに居る人で全部ですか?」

 その言葉に若干暗い顔をして話し出す。
「後、離れにいるのですが移動してもらっていいですか?」
「はい、わかりました」

 動かせないのか?それとも表に出せないのか?

 しかし、この胡散臭い男に嫌な感情は浮かばなかった。さっきの子供の目を見ればわかる。孤児院の子供達と同じ目をしていたし、ご飯をいっぱい食べてるって言ってたしね。

ジャスパーさんの後について奥に進んでいく。

+++++++++++++++++++++

仕事が忙しくて遅れました_(_^_)_
短めです。(;'∀')
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