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第4章
未来を育む城
しおりを挟むレオナルドが騎士団総長として復帰してから半月後。
ついに、医師からユリウスの退院の目安が告げられた。
あと半月ほど経過観察を見て、体調に問題がなければ退院となる。
先が見えたことで、ユリウスとレオナルドは、退院後の生活について具体的な話を始めた。
その夜も、仕事を終えたレオナルドは屋敷には帰らず、病室へと直行していた。
レオナルドはベッドの上に上がり、ユリウスを後ろから包み込むように、自分の膝の間にすっぽりと収めて座っていた。
まるで子供みたいに抱き込まれた状態だが、ユリウスはこのスキンシップにだんだん慣れてきていた。
レオナルドは、よほどユリウスと離れている時間が寂しいらしく、仕事終わりにはこうしてバッテリーを充電するかのように、限りなく密着しようとする。
最初はユリウスも看護師に見られたらと恥ずかしがっていたが、今はもう諦めて、レオナルドの広い胸に背中を預け、リラックスして本を読んだり話をしたりしていた。
「……今、俺が住んでいる屋敷は、帰還した際に俺個人への褒美として与えられたものだが」
レオナルドはユリウスの肩に顎を乗せ、低い声で話し始めた。
「カイエンから、『友人としての結婚祝いで資金援助もするから、その屋敷を好きに改築・増設してくれ』と言われているんだ。
……ユリウスが良ければ、あの屋敷を『ジークヴァルト公爵家』の本邸として正式に定め、退院後はあそこで二人で暮らそう」
レオナルドはそう提案した。
ユリウスは卒業後も実家であるローゼンタールの屋敷に住んでいて、王宮に召し上げられてからは、あの鳥籠のような部屋に軟禁されていた。
帰るべき実家もなく、屋敷を持たないユリウスにとって、それは願ってもない申し出だった。
「ああ、もちろん構わないよ。……レオと共に暮らせるなら、どこへでも行く」
ユリウスは素直に頷いた。
「だが、改築と増設とは……具体的に何をするつもりなんだ?今のままでも十分立派な屋敷だろう?」
「ああ。だが個人的には、使用人をもっと雇って、馬を屋敷内で育成できる設備を整えたいんだ。
獅子騎士団の本拠地も近いから、あの場所なら訓練にも連れて行きやすい。
良い馬をたくさん育てたいんだよ」
レオナルドは夢を語る少年のように言った。騎士である彼にとって、愛馬との生活は欠かせないものなのだろう。
ユリウスが「それはいいな」と相槌を打つと、「あと」とレオナルドは続けた。
「あと……ユリウスとこれから一緒に過ごす寝室も、もっと大きくて広いものを作りたいしな。
……とにかく、君との生活をより良くするためなら、費用は惜しみたくないんだ」
ユリウスは、「これから一緒に過ごす寝室」と改めて言われて、カッと顔を赤くした。
同じ部屋で、同じベッドで眠る。恋人として、伴侶として。その甘い響きに心臓が跳ねる。
耳まで赤くなったユリウスを見て、レオナルドは愛おしそうに目を細めた。
後ろから抱き込んだ腕に力を込め、ユリウスの敏感な耳を、イタズラするように舌先でちろりと舐めた。
「ぁっ……」
「……君と、一晩中愛し合える日が、待ち遠しい」
耳元で、熱っぽい吐息と共に囁かれた言葉。
舐められた刺激と、その言葉の意味に、ユリウスは甘い声を漏らしてしまった。
背中に感じるレオナルドの体温が熱い。
ただ揶揄われているのではない。
レオナルドが本気で、今すぐにでも自分を押し倒したいほど欲情していることを肌で感じてしまい、ユリウスは彼の腕の中でとろりと脱力してしまった。
「……レオ、だめだ……まだ、……病院だから」
「分かっている。だから……退院したらな」
レオナルドはくすりと笑い、力の抜けたユリウスの首筋に、所有を示すように何度もキスを落とした。
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