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3章 異世界技能編
第25話 夜が明けて
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飲み会の次の日の朝だというのに、随分とスッキリ目が覚めた。
転生前は大抵二日酔いに襲われていたが、コレも若い体の為せるものなのだろうか。疲れもしっかりと取れており、清々しい朝である。
しばらくしてルリアを起こすが、案の定昨夜の酒が祟っており、頭を抑えながらゆらゆらと立ち上がり、水を飲んでいた。
髪もボサボサのままで、唸り声まであげており、いつもの立ち振るまいはどこへやら、見る影もない。
「うぅ…きょぉ、休もうかな…」
「酒が理由で休めんのか?」
「むりだよねぇ…ったたた…」
乾いた笑いをこぼすが、それが頭に響いたのか両手でこめかみ辺りを抑えている。
「酔いを覚ます魔法でも使えれば、使ってやるんだけどな」
「レイちゃんは、元気そう、だねぇ…」
「そうだな。酔いも疲れも残ってないみたいだ」
「頑丈、みたいなスキルでも持ってるのかな…」
「俺は自重してたからだろ。お前が調子にノリすぎただけだ」
「うぅ…」
本当に辛そうだが、いかんせんどうすることもできない。
出来ることといえば、せいぜい、冷やした濡れタオルを持ってきてあげる事か、水のおかわりを持ってきてあげるくらいだ。
食欲も無いようなので、朝食は一人で取ることになった。
買い置きのパンを貰い、ミルクと一緒に食した。
その間もずっと、テーブルに頭を垂らしていた。
「レイちゃぁ…着替えさせてぇ…」
「そのくらいは自分でしろって…」
「そこに畳んでるやつ、もってきてぇ…」
「聞けっての、…ったく」
仕方なく俺はルリアの部屋の隅に畳んであった服一式をルリアの前まで運んでやる。
すると、んっと両手をだらりと上げ、バンザイの状態を取る。
「脱がせてぇ…」
「子供かよ…」
「早くぅ…遅刻するぅ…」
「だったら自分でやれっての」
そう言うと、うるうるとした眼で上目遣いをしてくる。
バンザイをしたままなので、少し滑稽である。
「レイちゃぁ…」
「わかったわかった。今日だけだからな」
「わーい、へへへ…ったた…」
「笑うと響くぞ」
そう言いながら、ルリアの寝巻きをすぽっと脱がしてやる。
すると、下着が薄水色のキャミソールで少し驚く。
見えない所まで徹底して女装しているとは…、つまり下もか。そんな事を考えながらも、バンザイの姿勢のままのルリアに、上着を被せてやる。
途中からはズルズルと裾を引っ張りながら自分で着てくれたので、すぐに着せる事ができた。
「ん…」
そういって今度は、足をまっすぐと伸ばす。
下を脱がせろという意味だろう。
なんとなく、なんとなくだが、下を脱がせるのは躊躇われた。
というか、これが普通の男同士であっても、少し複雑である。
俺は深くため息をついてから、寝巻きのフリフリズボンの裾を引っ張ってやる。
すると、ルリアがその瞬間少しお尻を浮かせる。
そして、随分と可愛らしいフリフリのものが顔を出しはじめたので、思わず目をそらす。
全くコイツはと、その徹底ぶりに呆れながらも、右足・左足と順番に穴を通して、下も履かせてやる。
こちらも太ももくらいまで履かせてやると、後は自分で履いてくれた。
「ほら、着替え終わったなら、髪とか整えるんだろ?」
「くしもやってぇ…」
「……」
もう反論するのも無駄と思い、なんとなくでだが、髪をといてやる。
髪が引っかかったりしないか心配だったが、思いの外サラサラで、ボサボサしていた髪はあっというまに整えられた。
日頃から何かしら手入れをしているのだろうか。
「んー、ありがとー、あとはやるよぅ」
そう言うと、鏡の前までのそのそ歩いていき、自分で髪を結い始める。
歩ける元気があるのなら、着替えもしてもらいたかったが、後の祭りだ。
「レイちゃんのおかげで、朝起きた時よりはマシになったかもぉ。ありがとねぇ」
「どういたしまして。準備出来たなら出るぞ」
「うぃー」
そうして二人で家を出る。ルリアが家に鍵をかけているうちに、ペリに日課の挨拶をする。
相変わらずフンッと鼻息だけ返してくれる。
「んじゃ、いってくんねぇ」
「無理はすんなよ」
「ん、あんがとねぇ」
まだ若干辛そうではあるが、笑顔を向けて手を振りながら去っていく。
そんな様子を、道往くヒョロ眼鏡の男性に見られ頷かれながら、俺は俺でひとまず食堂へと向かうのだった。
転生前は大抵二日酔いに襲われていたが、コレも若い体の為せるものなのだろうか。疲れもしっかりと取れており、清々しい朝である。
しばらくしてルリアを起こすが、案の定昨夜の酒が祟っており、頭を抑えながらゆらゆらと立ち上がり、水を飲んでいた。
髪もボサボサのままで、唸り声まであげており、いつもの立ち振るまいはどこへやら、見る影もない。
「うぅ…きょぉ、休もうかな…」
「酒が理由で休めんのか?」
「むりだよねぇ…ったたた…」
乾いた笑いをこぼすが、それが頭に響いたのか両手でこめかみ辺りを抑えている。
「酔いを覚ます魔法でも使えれば、使ってやるんだけどな」
「レイちゃんは、元気そう、だねぇ…」
「そうだな。酔いも疲れも残ってないみたいだ」
「頑丈、みたいなスキルでも持ってるのかな…」
「俺は自重してたからだろ。お前が調子にノリすぎただけだ」
「うぅ…」
本当に辛そうだが、いかんせんどうすることもできない。
出来ることといえば、せいぜい、冷やした濡れタオルを持ってきてあげる事か、水のおかわりを持ってきてあげるくらいだ。
食欲も無いようなので、朝食は一人で取ることになった。
買い置きのパンを貰い、ミルクと一緒に食した。
その間もずっと、テーブルに頭を垂らしていた。
「レイちゃぁ…着替えさせてぇ…」
「そのくらいは自分でしろって…」
「そこに畳んでるやつ、もってきてぇ…」
「聞けっての、…ったく」
仕方なく俺はルリアの部屋の隅に畳んであった服一式をルリアの前まで運んでやる。
すると、んっと両手をだらりと上げ、バンザイの状態を取る。
「脱がせてぇ…」
「子供かよ…」
「早くぅ…遅刻するぅ…」
「だったら自分でやれっての」
そう言うと、うるうるとした眼で上目遣いをしてくる。
バンザイをしたままなので、少し滑稽である。
「レイちゃぁ…」
「わかったわかった。今日だけだからな」
「わーい、へへへ…ったた…」
「笑うと響くぞ」
そう言いながら、ルリアの寝巻きをすぽっと脱がしてやる。
すると、下着が薄水色のキャミソールで少し驚く。
見えない所まで徹底して女装しているとは…、つまり下もか。そんな事を考えながらも、バンザイの姿勢のままのルリアに、上着を被せてやる。
途中からはズルズルと裾を引っ張りながら自分で着てくれたので、すぐに着せる事ができた。
「ん…」
そういって今度は、足をまっすぐと伸ばす。
下を脱がせろという意味だろう。
なんとなく、なんとなくだが、下を脱がせるのは躊躇われた。
というか、これが普通の男同士であっても、少し複雑である。
俺は深くため息をついてから、寝巻きのフリフリズボンの裾を引っ張ってやる。
すると、ルリアがその瞬間少しお尻を浮かせる。
そして、随分と可愛らしいフリフリのものが顔を出しはじめたので、思わず目をそらす。
全くコイツはと、その徹底ぶりに呆れながらも、右足・左足と順番に穴を通して、下も履かせてやる。
こちらも太ももくらいまで履かせてやると、後は自分で履いてくれた。
「ほら、着替え終わったなら、髪とか整えるんだろ?」
「くしもやってぇ…」
「……」
もう反論するのも無駄と思い、なんとなくでだが、髪をといてやる。
髪が引っかかったりしないか心配だったが、思いの外サラサラで、ボサボサしていた髪はあっというまに整えられた。
日頃から何かしら手入れをしているのだろうか。
「んー、ありがとー、あとはやるよぅ」
そう言うと、鏡の前までのそのそ歩いていき、自分で髪を結い始める。
歩ける元気があるのなら、着替えもしてもらいたかったが、後の祭りだ。
「レイちゃんのおかげで、朝起きた時よりはマシになったかもぉ。ありがとねぇ」
「どういたしまして。準備出来たなら出るぞ」
「うぃー」
そうして二人で家を出る。ルリアが家に鍵をかけているうちに、ペリに日課の挨拶をする。
相変わらずフンッと鼻息だけ返してくれる。
「んじゃ、いってくんねぇ」
「無理はすんなよ」
「ん、あんがとねぇ」
まだ若干辛そうではあるが、笑顔を向けて手を振りながら去っていく。
そんな様子を、道往くヒョロ眼鏡の男性に見られ頷かれながら、俺は俺でひとまず食堂へと向かうのだった。
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