恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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交際スタート…でも…

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幸恵の部屋で一晩お世話になった。
部屋に着いてから幸恵が色々話をしてくれた。
私は落ち着きを取り戻し幸恵と色んなことを話した。


会社での出来事。会社を辞めた後の事。そして彼と会った時の事。
幸恵は私の話を全て黙って聞いてくれていた。


「夜は眠れた?」
「うん。何とかね」
「そっか。それで彼とはどうするつもり?」
「う~ん……どうしよう、かなぁ~」
「一度連絡取ってみる? それとも、今日も泊ってく?」


幸恵にこれ上迷惑を掛けるわけにはいかない。
自分で自分の事はちゃんとけじめをつけなければ……。


「私、彼と話してみる。何だかよく分からない事もあるし。それに時間が無いの」
「時間? どうして?」
「ああ~……また今度話すよ。幸恵本当に有難うね」
「それはいいけど。送るよ?」
「ああ、うん、いいや。彼に連絡するから」
「そっかぁ~。またなんかあったら直ぐ連絡してね。協力はするからさ」
「有難う」


幸恵に本当にお世話になってしまった。
朝食を彼女家の近くにある喫茶店ですることになりモーニングを頼んだ。
流石名古屋だけあって朝の9時過ぎになると多くのお客さんでお店が満員になっていた。
待ちの人も出るくらい繁盛していた。
普通のコーヒーとパンとゆで卵だけなんだけどなぁ~、私はそう思った。


「ここ、結構混むんだよ。人気のサンドイッチがみんなのお目当て」
「へぇ~。でもそれくらいだったら自分の家でも作れるんじゃないの」
「名古屋の人は喫茶店で朝食を摂るのがセオリーなのよ」
「そんなもんかねぇ~」


名古屋に越してきてからまともに喫茶店に入るうことも無く過ごしてきた私にとってはとても不思議な光景に見えた。
私なんてボッチだったからこんなところに一人で来る勇気なんてない。


「あ、そろそろ彼が迎えに来る時間だ」
「茜、しっかりやんなよ」
「うん。有難う。落ち着いたらまた連絡するね」
「うん。待ってる」


幸恵にお礼を言って喫茶店を出ると既に彼が車から降りて私を待っていてくれた。
彼は私の姿を見つけると歩み寄って来た。
カバンを持つと言ってくれて車のトランクへ運んでいた。


「茜さん。お久しぶりです」


車に乗り込むと彼がそう言って私の方を見つめた。
何だかほっとした表情のように見える。


「……お久、ぶりです」
「元気でした? ちゃんとご飯は食べました?」
「食べましたよ。もう…子供じゃないんだから……」
「あ、すみません。僕らのマンションに帰りましょうか」
「はい……」


むすっとした表情の私に気を使っている彼。
ちょっとは私の有難みが分かった?
でもでもでも、私だってすごくすっごく寂しかったんだからっ!
帰ったらあの女の事を徹底的に訊きまくってやるんだ……。

あ、そう言えば、お母さん達に言われてた事も彼に伝えないと。

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