恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ！！

ホントの婚約者！？

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お昼を済ませて掃除機で部屋の掃除をしていると再び家電が鳴り出した。
今日はよく鳴るなぁ～、と思いながら電話の受話器を取った。


「はい、もしもし」
『あ、茜さん！？』
「あ、りょ、涼太さん！？　どうしたんです？」
『あ、えっと……今から出られますか？』
「はい……？　どこにですか？」
『あーっと……駅前まで……』


何だろう。
歯切れ悪い。
何か企んでるのかな。
それとも言えない事情でもあるのかな。
そうだ、さっきい会社から電話があったこと言っとかなきゃ。


「分かりました。準備していきます。後、午前中に会社の方から電話ありましたよ。一度会社に連絡が欲しいそうです」
『あ～。そちらに電話がいきましたか。分かりました。後で連絡入れときます。では後ほど』
「あっ……。切れた……」


何があったのか知らないけど、こんな平日の昼過ぎに呼び出しとか、何かあったに違いない。
多分彼の両親に結婚についての話があったとか、若しくは結婚式場に私を連れ出すつもりなのか。
一応普通の普段着よりはいい服着てこーっと。
何があるか分からんからね。

彼に買って貰ったチェックのプリッツスカートと紺のシャツに上着を羽織って出掛けた。
若作りって思われるかな。
結構この方が楽ちんなんだよ……てかまだ若いしっ！！
あ、一応ストッキング履いてるし。
いいよね、問題ないない。

駅前に着くと彼が入り口付近で立って私の事を待っていた。
私は手を軽くひらひら振って彼に近づいた。
彼も恥ずかしそうな表情を浮かべながら手を振り返してくれた。
何か可愛い……。


「突然、どうしたんですか？　こんなところで」
「あ、すみません。ちょっとお願いがありまして」
「何でしょう」
「取り合えず車に乗って下さい」
「はい……」


助手席のドアを開けてくれた彼の顔を見つめながら少し首を傾げる私。
そのまま助手席へ乗り込んだ。
彼も運転席のドアを開けて乗ると車を動かしどこかへ向かって走り出した。
車中何も語ろうとしない彼と何も聞こうとしない私。
沈黙の時間が目的地らしき場所に着くまで続いた。


「ここは？」
「えーっと。式場です」
「見ればわかります。何でここに？」
「あははは。と、取りあえず降りましょう、か」
「………」


どういうつもり？　
やっぱり式場視察に私を動向させるつもりだったの？
それならそうと言えばいいじゃない。
一体何考えてんのよ、イケメン童貞ってば……。