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暫くは学園生活を満喫していました。
皆さんとても良くしてくれて本当に楽しい毎日でした。

ある朝私が学園に向かっていると指導員の人が慌てた様子で私の所へやってきました。

「舞様。大変でございます。今すぐお屋敷にお戻りください!」
「どういうことでしょうか?」
「実は先程連絡がありましてキンバリー侯爵とアルフォンド侯爵との話し合いがあるそうです。舞様のご婚約について……」
「え……?どういう……」
「とにかく今すぐお屋敷へ戻るよう言い伝えが」
「分かりました」

私は急いで馬車に乗り込み屋敷へと向かいました。
一体何が起こっているのか分からぬまま。

屋敷に着いた私はお父様の居る書斎へ向かいました。
レンさんが私を迎えてくれてそのまま案内をしてくれました。

「レンさん。一体どういうことですか?」
「私も良く分からないのです。とにかく急ぎだということで」
「そう。レンさんも解らないのね…」

書斎に着いた私はノックをして扉に手を掛けました。

「お父様。今戻りました」

書斎の中央にある応接ソファに腰を下ろしていたお父様の表情が暗かったのです。
なにか悪い予感がしてきました。
私はお父様の心の中を少し覗かせて貰おうと思いました。

『一体…なぜ…』

お父様の心の声はそれしか聞こえませんでした。
私はソファに腰を掛けてお父様に話しかけました。

「お父様。お父様?」
「おお、舞か…済まない。急に呼び出してしまって」
「いえ。いったい何が?」
「あとでアルフォンド侯爵もこちらに到着するとの事。其方の婚約の事で話があると言われてな」
「いったい何でしょう?」
「分からぬ。ただ侯爵の妹君が其方の事を良く思っていないらしい。それで婚約の事で水を差したのだろう」
「そうなのですか…」

また私に対しての嫌がらせが始まったのだと感じました。

暫くするとアルフォンド侯爵が到着しました。
後には貴婦人の姿が見えます。
恐らくこの人が妹さんだと分かりました。
私の事を見ると眉を顰めて私の事を睨みつけていました。

「キンバリー侯爵。すまない。急な話になってしまって」
「いえ。此方こそ色々とご苦労をお掛けしていると聞きました」
「それで…貴女が、舞さん?」

貴婦人がそう言うと私の目の前に陣取り腰に手を当てて話し出しました。

「良いですか!?私は甥の結婚についてとやかく言うつもりはないのですが、聞けば貴女、王国の元侯爵の娘だそうね?如何わしいことをして追い出されたとか?そういう人間を甥の婚約者とは認められないわっ!!」
「……ですから、私は如何わしい事なんてしてません。王さまとの接見の時もそれは誤解だと分かって貰えていたはずです」
「いいえ!私は認めません!こんなどこの馬の骨かもわからない女を甥の嫁ですってっ!嗤わせないで」
「……」

とても勢いが凄くて私は口をつぐんでしまいました。
どうしたらこの貴婦人の気持ちが変わってくれるのかを考えなくてならなくなってしまいました。
私は目を閉じて貴婦人の心を読んでみました。

『全くっ!一体どういうことなの!?』

これは厄介なことになりました。
この人を説き伏せるにはどうしたらいいのか全く分かりません。
正直に話をして理解してくれそうにもありません。
私に新たな敵がやって来てしまったのです。


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