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医師の負担を減らすべく動く

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今日は久々の友人達とのお茶会。
とはいえ、ヘンリーは薬作りが忙しいらしく今回は欠席なのだけど、後でお土産を渡す事にしておく。

「ソユール様(兄)が想い人と婚約出来て良かったですわ!」
「そうね、宰相の娘と結婚していたら私暴れていたかもしれませんわ」
「うん、ユーリならやりそうだね(笑)」
「あははは!言えて妙だ!」
「ホープ…お帰りになる?」

まぁ否定はしないですよ?でもね、親しき仲にも礼儀ありという言葉を叩き込んだ方がいいかもしれませんね?

今回のお茶会でも互いの近況などを話し合っていたんだけど、キャリーにお願いがあったのだ。ジョシュにも提案があるのでこの機会に話しておこうと思ってる。

それと言うのも、作りたいものが検査キットでね。子爵領の流行り病が起きた時に仲良くしてくれている医師と連携をとっていて遺伝子の存在までは認知してもらえたので、今は血縁による魔力の相違や遺伝子との関係を調べてもらっているの。ある程度のデータを集計出来たので後は遺伝性の病気の解析鑑定や特定の病気を判定する細菌の種類を分別、それらへの薬物検査などをしている段階。医師達も最初こそ懐疑的ではあったものの、調べ始めると人にはそれぞれ遺伝子というメモリーのようなものがあると分かり出すや否や調査を進んで行ってくれている。もちろん医師としての仕事を優先にしてもらっているけど、4人程は医師を辞めてまでのめり込んでいる…いいのでしょうか?と聞くと後の世に必ず必要になると豪語していたので大丈夫なのでしょう。

そういったこともあり、父に頼み4人の元医師は私に雇われる形で研究者として色々と働いてくださっている。ちなみに遺伝子はプレートに魔法陣が刻まれたものに髪を置き魔力を流すと立体ホログラム化される仕組み。これは父の友人に教えてもらったものを改良した陣で出来上がるまで1週間の徹夜生活をしたのも懐かしい思い出ですわ…。

ここまでは自力でできたので後は錬金術を使えるキャリーにキット制作をお願いすることに。
お願いすると「勿論作りますわ!」と元気よく返事を返されたので、その流れを切らさずジョシュへも私の雇用している研究員と連携して体型に見合った適切な薬の分量の把握とどの病に何の薬草が合うのかを調べて欲しい旨を話すと、こちらも了承の返事。寧ろお願いしたいくらいだと喜んでいたので、後日研究員を送るのでヘンリーも交えて話をして欲しいと頼む。

これにはホープも「僕も何か手伝える?」と言っていたが、ホープには勉強を頑張って欲しい事と領地運営について調べて欲しいとお願いしておいた。大雑把な注文だけど、これだけでホープは色々と調べて資料としてまとめてこれる頭脳があるので多くは注文しない事にしている。



それから月日は流れて、気付けば私も13歳となり2つ上の兄が学園を卒業。婚約者であるリリス・ハーヴェスト様との結婚式が目前になった。私が『6月の花嫁とか幸せになるって言うわよね』と呟いたところ兄がその声を拾っていたらしく「それは何?本当なの?」としつこく聞かれたので説明。すると、式は6月にすると言い出したので準備期間がほんの少し伸びた。

この世界は結婚すると揃いのバングルに付与魔法で"生命感知"が付与されたものを交換するらしい。何故、生命感知なんでしょうね?それにバングル邪魔じゃないかしら?
そう思ったのもあり、兄夫婦へ結婚祝いとして私の前世では馴染みの深い指輪へ"場所特定"の付与を施したものを用意してプレゼントすることに。母はこれを見て「私も指輪が良かったわ」と零していたので両親へもプレゼントしておいた。

そして、式当日…あぁそういえば兄の友人に第2王子がいたんだったわね。
ご婚約者と共に参列されており、身内として挨拶をすると申し訳なさそうに「その節は弟がすまなかったね」と。はぁ?お前が家族に私の話をしたんだろうが!と内心悪態をつきつつ笑顔でスルー、今更なのである。聞けば後に第3王子は学園へ通い出すと男爵家の私生子(元平民)と良い仲になり、その言動行動ともに最早王家のものとは思えぬ粗暴な振る舞いに成り果て…え?もしかしてこの世界って乙女ゲームの世界か何かなの?と思ったがそれもまた今更なので意識を元に戻す。
第3王子は更生の見込みなしと判断され、学園卒業後は王籍を抜き男爵家へ臣籍降下さる予定なのだとか。
彼に領地経営は無理だろうと思うのだけど?知ったことでは無い、その内犯罪者にでもなるだろうと踏んでいる。

ここに来てもまだ第2王子から「婚約者はいないのかい?良ければ…」と言われたところで兄が「本人に決めさせますので」と声をかけてくれた。私を王家に取り込みたい理由でもありますの?実にうっとおしい。

その後、無事兄夫婦の結婚式も終わり新婚の2人に気を使わせ無いため。私は少し早いが子爵領へと居を移した。両親からは後2年位暮らしていても変わらないと言われたが「子爵領を見て回りたいので」と言うと渋々ではあるが納得してくれた。

ホープも2年後、学園を卒業したら子爵領へ移ってくる事にしているようでラクベリー家からはホープへ仕事を紹介してくれた事へのお礼状が届いた。内容はとてもホープへの愛に溢れたもので読んでいてホッコリするものであった。これは私の宝箱へIN。

そうそう検査キットは苦労しましたよ…。
キャリーと2人で泊りがけで半ベソになりながら作成したのよ?最初はかなり大きくなってたからキットを小さくするために何度も何度も失敗。あ、思い出すだけで涙が…

今は数を揃えてモニタリング中です。検査キットが返ってきたら研究員が分析、病の特定をしたら薬の処方をして経過観察の繰り返しをしている。これにはジョシュの所にいる薬師も協力してくれてて、ヘンリーも時々手伝っている。薬の適量を算出してくれて今では副作用の出る人も減っているそうだ。

これにはスコット伯爵(ジョシュの父親)からもお礼状が届き、今後も良い関係が築いていけそうで我が父もにっこり。

ここで分析員を増員した方がいいのでは?と思って父へ相談をすると数人の鑑定スキルが発現した若者を連れて子爵家へ来訪。その若者達を預けてくれることになったので面接をすることに。どなたも家督を継げない次男・次女以下の学園出身者で元は貴族、現在は公爵家で父の手伝いをしている方々。

知識もあり、父の手伝いをしていたなら仕事もできますし?ってことで試用期間として3ヶ月の雇用、研究員にこの方々を案内してもらい検査キットの分析方法を教えて貰うことにして送り出すと少し話があると父に声をかけられる。

「どうかされましたか?」
「検査キットは順調かい?」
「えぇ、いつでも使用可能です」
「そうか、それで宰相に1人分お願いしたいんだ」
「かしこまりました、恩が売れるのですか?」
「あぁ、何とかなるだろう」
「では、王家・高位貴族と縁づかせないで頂きたいです」
「そういうと思ってたよ(笑)」
「では検査キットをお送りすればいいのですか?」
「いや、内密だから私が持っていくよ」

という事で、検査キットは早めに送り返してもらう約束をし父に手渡しておいた。

返ってきた検査キットは口の硬い研究員と私で分析した結果。

"梅毒"

誰なのかしら?
詳しくは知らないので、父へ連絡をするとすぐに我が家に訪れたので結果を報告すると「そうかぁー…」となる。あら、治らないと思ってるのかしらね?ちゃんと性病の為に薬は沢山作っているのよね(笑)勿論、抗生物質も作ってもらいましたー!

「父様もしかして治らないと思ってます?」
「え?治るのかい?」
「どの程度、進行してるかによりますけど」
「なるほど、どうすればいい?」
「研究員と共に私も向かいましょう」
「いいのかい?」
「仕方ありませんわ」

という事で向かうことに、誰かと言うと宰相の息子なんだとか…娘も去ることながら息子まで好き者なのね。そして彼は領地で母親と共に療養中らしく、そちらへ向かう事になった。

はぁ、何だか嫌な予感がしますわ。
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