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2章

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「私はまだ、殿下の性格を詳しく存じ上げないから、どこまで動いていいのか分からなくて、普段からお側にいるあなた方のご意見を伺いたいのよ」


2人が座ったのを確認して、私はそう切り出した。
  

「妃殿下に何かあったのか?」

すぐに2人の表情が引き締まったの確認して、私はうなずいた。







私の話を聞いて2人とも、それぞれ顔を歪めた。


「やっぱりかぁ~」

天を仰ぐラッシュバルト卿に対して、

ブラッドは無言で眉間を摘んで項垂れた。


「ラッシュバルト大尉は何となくお察しでしたか?」

やはり夕食の時ブラッドが言いかけた事と繋がっていたのだろうか。


「ヴィンでいいですよ。いや~懸念してたくらいで。しかしまさかこんな悲惨な状況とは、、、」

ははは困ったねぇと、遠い目をしている。

「たしかに、そう言う事なら説明がつくな」

不意にブラッドがポツリと呟いた。
そして2人の視線を受けて、言いづらそうに頭を掻いた。

「いや、最初、馬車から降りてきて妃殿下が王太子殿下を見た時、殿下を一瞬だけ睨みつけた気がしたんだ」

気のせいだと思ったのだが、とつけ加えたその言葉を、私とヴィンはぽかんとしながら聞いた。


「それ殿下は?」

恐る恐る聞いたのは、私だったかヴィンだったのか、、、。

「多分お気づきかもしれない。一瞬だけ動きが止まったように感じたので、だがすぐに笑顔でご挨拶されたので殿下もその笑顔にごまかされたのだと、思う。」


「はぁ~、あの人舞い上がってるからね~
きっと大して気にもとめてないよ~」

ヴィンが手を挙げて、また天を仰いだ。

その言葉に、ブラッドがうなずいている。



「しっかし、最悪な状況だなぁ。
確かに、今思うと、殿下の取った手段は妃殿下にとっては強引な手だっただろうね。
まぁ国際的な手順としては間違っていないのだけどね。」

乾いた笑いを漏らすヴィンに対して、わたしは首を捻る。

「でも事前に調べなかったのでしょうか?」

その問いには、目の前の男性2人が同時に首を振る。

「おそらくは、、運命の女神を見つけたって相当に舞い上がっていたからね~」

勝手に突っ走ったらしい。

「殿下っておモテになるとは聞いていたけど、失恋とかってした事はないのかしら?」

もう一度首を傾げた私の問いに、

彼ら2人が顔を見合わせる。

「我々の知る範囲では?秘書官のエドガーは幼い頃から殿下と一緒にいるから知っているかもしれないけど、、、」

聞いた事はないなぁと言うヴィンの言葉を受けて、わたしは妙に納得してしまった。

「ないのであれば、今回のこれも分かる気がするのよね~」

その言葉にヴィンも頷いた。

「きっとあの人、自分のところに彼女が嫁ぎたくなかったと微塵も思ってなかっただろうね。
もしそうした恐れの気持ちがあるのなら、普通は調べるだろうしね。
婚約者がいる事を知った上で力ずくで奪おうと思うほど、酷い人ではないから」



「もしかしたら、生まれて初めて自分を拒絶する女性に出会ったのでは、、、」

そこまで口に出して、3人で顔を見合わせる

さーと背筋が寒くなる。

それぞれ嫌な考えを振り切るように、先ほどリラが置いて行った、暖かい茶を一口飲んだ。
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