死んだことにした悪役令嬢、 辺境で騎士団長に溺愛されつつ帝国を建て直します

桃我タロー

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第一章 ヴァルム試験国家編

第七話 焼かれた記録(2)

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 帳簿の束の角が、腕の内側に鈍く食い込む。抱え直すたびに、紙と革がこすれる音が胸の前で小さく鳴った。

 シュアラは執務棟へ向かう石段を一段ずつ上っていく。踏みしめるたび、靴底越しの冷えが膝のあたりまでせり上がった。

 昼間ゲルトに案内された廊下は、今はほとんど音がない。石壁に掛けられた燭台の炎だけが、小さく揺れている。灯りの届かない継ぎ目には、夜の闇が細長く溜まっていた。

 一番奥の扉の前で立ち止まり、帳簿をいったん脇に寄せてから、両手を握る。指先がこわばっている。廊下の冷えだけでは説明できない震えが、掌の中で小さく跳ねた。

(これは、「診断結果」の第一報です)

 指の骨を一本ずつ軽く折り伸ばしてから、扉を二度、控えめに叩く。

 しばらく何の気配もなかった。沈黙が、木板と石壁のあいだに薄く積もっていく。やがて、椅子を引く音と何かを床に引きずる音がして、低い声が扉越しに漏れた。

「……ああ。入れ」

 許可の一言を聞いてから、シュアラはゆっくり取っ手を押し下げた。

 昼間と同じ部屋。窓から入る光はすでに頼りなく、代わりに机の上と壁際の燭台が、黄色い炎で紙と地図を照らしている。机は相変わらず書類の雪崩の縁に立っていて、その隙間に空になった酒瓶と、まだ半分ほど残っている瓶が二本、無造作に紛れ込んでいた。

 カイ・フォン・ヴォルフは鎧をすべて外し、粗末なシャツ一枚の姿で椅子にもたれていた。髪は昼間よりも乱れ、顎には短い無精髭が影を作っている。眠気の残る森色の瞳が、扉の方へ重く向いた。

「もう真夜中だぞ、文官」

 声には、酔いよりも単純な疲労の重みが乗っている。

「申し訳ありません」

 謝罪の言葉と一緒に、吐いた息が少し震えた。自分の声が耳に返ってくるまでの間に、シュアラはそっと扉を閉める。

 腕に抱えていた帳簿を机の端へ運ぶ。積み上げた瞬間、山の一部が崩れそうになり、とっさに手のひらを滑り込ませて押さえた。紙と紙が擦れる音が、やけに大きく響く。

 カイが、目だけでその動きを追い、長く息を吐いた。

「そんなに急いで見なくていいと言ったはずだがな」

 一拍置いてから返す。

「急がなければ、間に合わない数字がありました」

 椅子を勧められる前に、自分で椅子を引き、机を挟んで向かいに腰を下ろす。座面の板がきしみ、その振動が尻の骨から背骨へゆっくり伝わった。

「団長」

 名を呼んだだけで、喉の奥が少し乾く。

「なんだ」

 カイはマグカップを指で弄びながら、視線だけを彼女へ向けた。

 言葉を喉まで出しかけて、そこで引っかかる。

(どう言えばいいでしょう)

 「この砦は」と口にしてしまいかけた言葉を、いったん飲み込む。息を一度吸い、吐く。

「この砦は……」

 違う。足りない。数字として正確でも、意味が足りない。

 喉に引っかかった言葉を噛み直し、もう一度。

「この砦は、ただの不始末ではありません」

 ようやく出てきた一文は、自分の耳にも少し硬く聞こえた。

 カイの眉が、わずかに動く。

「どういう意味だ」

 問いに即座には答えず、シュアラは胸の前で帳簿を一度抱え直す。紙の角が腕に冷たく当たった。

「放置されて壊れたのではなく、『意図して壊されている』砦です」

 穀物の帳簿を開き、いくつかの数字を指先で示す。

「兵の数が減っている月に、兵糧の出庫量だけが跳ね上がっている月があります。村への支援や避難民の受け入れといった備考は、一切ありません」

 ページをめくり、別の帳簿を机の上に滑らせる。

「武器修繕費の帳簿です。どの月も支出が同じ額。現物の武器の状態と、明らかに合致しません」

 さらに馬の飼料費の帳簿。必要量と支給量の差を指でなぞる。

「必要量と支給量の差分は、現場でやりくりされています。数字に載らない『負担』が積み重なっている」

 最後に、倉庫の裏で拾ってきた焦げた紙片を、机の中央へそっと置いた。

 紙片は指の跡がつくほどもろく、触れるたびに黒い灰が少しずつ剝がれていく。辛うじて判別できるのは、「出庫」と「三十」の文字、そして赤い線の断片だけだ。

「倉庫の裏で見つけました。焼かれた別の出納簿の残骸だと思われます」

 部屋の空気が、深く沈む。蝋燭の炎が、煙の通り道を探すように細く揺れた。

「帝都からの補給が絞られていることは、帳簿から分かります。そのうえで、この砦の内側でも、数字と現物のあいだに意図的なズレが作られている」

 シュアラは視線を上げ、カイをまっすぐ見た。

「今のヴァルム砦は、出血を止められない患者に似ています」

「……患者、ねえ」

 カイは、机に肘をつき、片手で額を押さえる。指の間から覗く目が、一瞬だけ天井を仰いだ。

 彼はマグカップを持ち上げようとした。だが縁にかけた指が、そこで止まる。木の表面をなぞる指先が、わずかに震えた。

 蝋燭の炎が揺れ、その影が机の上の地図と紙と、彼の指をゆっくり横切る。

 遠くで、誰かが笑う声が微かに聞こえた。その音だけ、別の世界のものみたいに遠い。この部屋だけ、時間が少し遅れて流れている。

「昼間言っていた七割って数字が、その“診断”か」

 問われて、喉がひとつ鳴る。

 言うか、言わないか。数字にしてしまえば、それは現実になる。頭の中でぼんやりと揺れていた可能性が、線で囲まれた結果になる。

 それでも、数字を言葉にするのが、彼女の役割だった。

「冬までに――」

 そこで一度、言葉が止まる。舌の上で「六」と「七」が一瞬だけ並び、結局、より重いほうを選んだ。

「冬までの死亡率は、およそ七十パーセントです」

 自分の声が、空気の中をゆっくり落ちていく。

 他人が読み上げた数字のように聞こえた。それなのに、言ってしまった瞬間、胸の中で何かが固まる。

 心臓が、妙に大きな音で打った。

 七十、という数字を口にしたことで、それが世界のどこかに刻まれてしまったような感覚。帳簿の端に赤い線で引かれた数字のように。

 数秒遅れて、カイの喉仏が上下した。

「……何の数字だ、それは」

「砦にいる兵と、周囲の村人。そして通商路を通る民間人」

 喉の渇きを無理やり飲み込み、続ける。

「この土地に縛られている人間すべてを分母としたとき、今の運用を続けた場合に死ぬ可能性の高い人数の割合です」

 自分で言いながら、「人間」という言葉がひどく抽象的に聞こえた。そこには、昼間中庭で笑っていた兵士たちも、倉庫の裏で灰を踏んだ自分自身も含まれているのに。

 手帳を開き、びっしりと描き込んだ棒グラフと×印、矢印を一度見返す。

「今日、砦の帳簿と倉庫を確認した結果――」

 そこでまた、言葉が躓く。

(本当は、「七割でも甘い」と書いた)

 それを口にすべきか迷って、一拍だけ黙る。その沈黙の間に、蝋燭が小さく爆ぜた。

「七割でも、まだ甘いかもしれないと判断しました」

 部屋の中に、短く乾いた沈黙が落ちる。外の風の音すら届かない。聞こえるのは、蝋燭が芯を噛むわずかな音と、カイの指がマグカップを叩く小さな衝動だけだ。

「……楽しい話じゃねえな」

「面白くはありません」

 自分でも分かるほど淡々とした声が出る。感情を切り離したつもりなのに、ペンを握る指先だけがじんわり汗ばみ、紙に滲んだ。

「ですが、『どこから死ぬか』は分かります」

 簡易の図を机の上に広げる。砦と三つの村、周辺の地形を丸と線で示しただけの粗い図だが、倉庫の在庫推移や兵の配置と重ねると、弱い部分が浮き彫りになる。

「倉庫の在庫の減り方、兵糧の跳ね上がり、修繕費の固定額。どこを止血すれば、少なくとも『死ぬ順番』を遅らせられるか」

 彼女は一本の線をゆっくりなぞった。

「冬までの三ヶ月は、この患者にとって『猶予期間』です。そのあいだに止血を試みるか、それとも、このまま静かに出血させ続けるか」

 カイの手が、机の端を握りしめる。指の背に白く骨が浮かび上がった。

「……で」

 乾いた声だった。

「治せると思ってるのか、その患者とやらを」

 問いの重さに対して、答えは一つではない。

 シュアラは視線を図からカイへ戻し、わずかに首を傾ける。

「『治す』という言葉は、状況に対して楽観的すぎます」

「なら、どう言う」

 カイがわずかに身を乗り出した。酒の匂いよりも、覚めきらない焦りの匂いが近い。

「試験的に、死亡率を下げることは可能です」

 言い切った瞬間、自分の心臓がひとつ余計に跳ねた。

「条件が三つあれば」

「条件?」

 繰り返された単語が、部屋の中でゆっくり反響する。

「はい」

 それ以上を続けかけて、言葉を飲み込む。今ここで全部を並べれば、話は交渉に変わる。交渉は、本来なら盤面の全体図を共有してから行うべきだ。

 代わりに、手帳の端に小さく書き込む。

『ヴァルム砦 診断名:慢性的失血状態』
『猶予:冬まで三ヶ月』
『治療方針:試験的運用案(三条件提示予定)』

 ペン先が紙を引っかく音だけが、しばし部屋に残った。

「団長」

 もう一度、名を呼ぶ。

「帝都では、あなたは『敗軍の将』として、ここに送られたと聞いています」

 カイの目が、ゆっくりこちらを捉える。その奥から、眠気と酒の霞が完全に引いていた。

「ですが、この砦の帳簿と、北境戦線の残された記録を照らし合わせる限り――」

 喉に引っかかる言葉を、あえて押し出す。

「敗軍の責任のすべてを、一人の現場指揮官だけで説明するのは、数字の上では不自然です」

 カイは、マグカップへ伸ばしかけた手を途中で止めた。その拳が、空中でゆっくり握られる。

「誰かが、補給の段階で数字をいじった。誰かが、戦費の帳簿を破棄した。誰かが、あなたの敗北を、『都合のいい一行』にまとめた」

 それ以上は、あえて言葉にしない。

「ヴァルム砦も、同じです」

 声の調子だけを少し落として続ける。

「誰かが、ここを『支援切り捨て候補』にするために、じわじわと削っている」

 重い沈黙が降りた。蝋燭の炎が、呼吸の音に合わせてかすかに揺れる。

 しばらくしてから、シュアラは小さく息を吸った。

「団長。これは、診断の結果です」

 言葉を選びながら、一つ一つ置いていく。

「ここで何もしなければ、冬までに七割以上が死ぬ。どこから死ぬかの順番も、おおよそ検討がついています」

 胸の内側で、別の言葉がうごめいた。「誰から」ではなく「何を」守るか。その選別を自分がするという事実が、胃のあたりに鈍い重さを作る。

「ですが、まだ『手を打つ余地がある患者』でもあります」

 カイの喉仏が、かすかに上下した。飲み込みそこねた言葉か、古い記憶か。

「明日、条件を三つ、お持ちします」

 ペンを閉じ、代わりに両手を膝の上で組む。

「この砦を、三ヶ月だけ試験的に運用するための条件です。それを飲んでいただけるなら――」

 そこで言葉を切る。

 この先に続くのは、数字では表せないものだ。信頼。賭け。感情。帳簿に欄のない要素ばかり。

「……それを飲んだら、七割って数字は下がるのか」

 カイの声は、ひどくかすれていた。

「下げるつもりで条件を組みます」

 迷いなく答えが出た。喉の内側が、少しだけ熱くなる。

 カイは、しばらく彼女を見ていた。森の色をした瞳から、眠気だけはすっかり消えている。

 その変化を、シュアラは冷静に観察した。

(まだ、この人は「諦め」の数字だけで固まってはいません)

 そう結論づけてから椅子を立つ。

「今夜は、これで失礼します」

 軽く頭を下げ、帳簿を抱え直して部屋を出た。

 廊下に出ると、冷たい空気が肺に流れ込む。さっきよりも、少しだけ澄んだ味がした。

 自室へ戻る途中、懐の小さな手帳を指先で撫でる。まだ白いページが残っている。扉の前で立ち止まり、心の中で先に一行だけ書き込んだ。

『第0ゲーム予告:ヴァルム砦 三ヶ月試験運用案 条件三つ』

 今のヴァルム砦は、出血多量で倒れかけた患者だ。

 だが、まだ死亡診断書に署名するには早い。死人文官と敗軍の将――帝都の帳簿では切り捨てられた二つの駒が、同じ患者の枕元に並んでいる。

 ここから先に何を書き足すかは、明日の交渉次第だった。
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