死んだことにした悪役令嬢、 辺境で騎士団長に溺愛されつつ帝国を建て直します

桃我タロー

文字の大きさ
39 / 70
第一章 ヴァルム試験国家編

第二十三話 開戦の狼煙(2)

しおりを挟む
 正午にはまだ早い。
 けれど、空はすでに白くぼやけていた。

 曇り空の下、谷全体が薄い光で一様に照らされる。影が短く、方向の感覚が掴みにくい。

 荷車は予定通り、谷の手前の平らな場所で止めた。
 ここからなら、東の村も、谷に沿って伸びる道も、丘の上の「変な木」も、全部一度に見渡せる。

 丘の上には、小さな点がいくつか動いていた。
 弓兵隊。リオを含む数人が、黒い木の影に身を寄せているはずだ。

「……見えるか?」

 フィンが目を細めて、谷の向こうを睨んだ。
 彼の馬は雪の中でも足取りが軽い。蹄が固い場所を選んで歩く癖がついている。

「敵ですか?」

「いや、まだ」

 フィンは首を振る。

「でも、煙の匂いが変わった」

「匂い、ですか」

「ほら」

 言われて、シュアラも鼻腔に意識を向ける。

 燻製小屋の煙は、普段は脂と木の匂いが混ざった重たい匂いだ。
 今、風に乗って届いているのは、それに少しだけ焦げた藁の匂いが混ざっている。

(狼煙の準備を始めた、ということですね)

 村の男たちが、約束通り、丘の中腹の焚き場に火を入れている。
 敵の姿が見えたら、そこから高い煙を上げる。それが今日の「最初の一手」だ。

「軍師殿」

 ラルスが、荷台の影から半分だけ顔を出した。

「ほんとに、ここから全部見えるんですか」

「全部は無理です」

 即答する。

「だから、見張りを何か所かに分けています」

 丘の上。谷の入口。村のはずれ。
 そのそれぞれに、目のいい兵を置いた。彼らの目と足が、シュアラの盤面の延長になる。

「フィンさん」

「おう」

「谷の入口まで、一度見てきてください。敵の列の長さと、荷車の有無。可能なら、旗の数も」

「了解」

 フィンは軽く敬礼し、馬の腹を蹴った。
 雪煙を上げて、谷の方へ駆けていく。細い背中が、すぐに木々の間に紛れた。

 その背中を見送りながら、シュアラは懐から手帳を取り出す。

『開戦前確認』

 見出しの下に、空白の行がいくつも並んでいる。
 そこに一つだけ、先に言葉を埋めた。

『目標:砦側死者ゼロ(暫定→本番へ)』

 インクが紙に染みていく様子を見ていると、不思議と手の震えは収まった。
 代わりに、胸の奥で何かが静かに膨らんでいく。

(帳簿の数字を塗り替える作業と、本質的には同じです)

 違うのは、ここでは「予算」ではなく「命」という単位を使っているだけ。

 そう言い聞かせても、父の会議室とは比べものにならないほど喉は乾いた。

 遠くで、かすかな音がした。

 土を叩くような鈍い音。
 何かが整列を始める足音。

 谷の向こうの斜面に、黒い点がぽつぽつと現れ始める。

「……来ました」

 ラルスが、思わず声を落とした。

 最初は、人なのか木の影なのか判別がつかない。
 だが、動き出せばすぐに分かる。雪を踏むリズムは、木では再現できない。

 黒い点が線になり、線が帯になる。
 谷を横切るように、ゆっくりと進んでくる。

 その上に、いくつかの色が揺れていた。

「旗、三つ……いや、四つか?」

 ラルスが目を凝らす。

 シュアラも、手で額に影を作って斜面を見た。

 赤い帯と、青い菱形と、黒い牙のような印。
 いずれも、帝都の系譜書で見慣れた紋章の簡略版だ。

(今朝の斥候の報告と、数は一致)

 懐の手帳の別のページに書いた数字が、頭の中で並び替わる。戸数、兵役免除者数、借財。全部合わせて弾き出した「動員可能兵数」が、目の前の列の長さと重なった。

 最前列の足並みが揃っている。
 斜面を降りる時、歩幅が乱れていない。少なくとも、完全な素人ではない。

「……“冬越せるかどうかぎりぎりの家計が、最後の一稼ぎに来た”という感じですね」

 思わず口から出た言葉に、ラルスが目を丸くする。

「そんな家計、見たことねえです」

「帝都の帳簿上には、いくらでもあります」

 シュアラは、淡々と答えた。

「そいつらが、“胃袋”を狙っている」

 谷の奥で、燻製小屋の煙が、先ほどよりわずかに濃くなった気がした。
 村の腹の中にある肉の量を、そのまま数えているような気がして、胃のあたりがきゅっと縮む。

 そのときだった。

 丘の上の「変な木」の近くで、ぱん、と乾いた音がした。
 矢が弦を離れる音に似ている。いや、実際そうなのだろう。

 次いで、丘の中腹から白い煙が立ち上った。

「狼煙だ」

 ラルスが息を呑んだ。

 昨日、自分たちが説明した通りの場所で、説明した通りの高さの煙が上がっている。
 弓兵の誰か――ほぼ確実にリオが、最初の矢を焚き場の薪に通したのだ。

(人ではなく、火に)

 昨夜、彼に言った言葉が、遅れて胸の内で反響する。

『馬を倒し、剣を弾き、旗を折る。それだけでも、戦場の形は変わります』

 今は、煙を上げるための矢。
 それでも、その矢が一本放たれた瞬間、盤面の状態は変わる。

 丘の狼煙に応じて、谷の入口近くでも別の煙が上がった。
 前進中の敵の列が、一瞬だけ足を止める。

 その間隙を縫うように、谷の右側の森から黒い影が出てきた。

 鉄の音。
 雪を蹴る蹄の音。

 カイの隊だった。

 狼の紋章を掲げた旗が、谷の右手の斜面を駆け下りる。
 重騎士たちの鎧が、鈍い光を反射した。

 距離があるせいで、声は届かない。
 けれど、旗の動きと馬の流れで、何が起きているかは分かる。

 敵の列が、慌てたように形を変えた。
 前に向いていた槍が、横へ向きを変える。

「……挟まれたな」

 ラルスがぽつりと言った。

 谷の中央で、小領主軍の隊列が、右側からの突撃に押されて膨らむ。
 そこへ、谷の正面からもう一つの影が現れた。

 歩兵。
 盾と槍を前に出したカイの歩兵隊が、村との間に厚い壁を作るように広がっていく。

「予定通りです」

 シュアラは、手帳の端に小さく記した。

『敵主力:谷中央に固定。村との間に味方壁形成』

 字のインクが紙の上で乾く前に、谷の中で鉄と木がぶつかる音が響いた。
 剣と槍。盾と盾。

 声は、まだここまでは届かない。
 ただ、空気の密度だけが変わる。谷全体が一つ息を呑んだような、奇妙な静止のあと、遅れて喧噪が押し寄せた。

 狼煙が、二本、三本と増える。
 それぞれが、違う高さと濃さで空に線を描いた。

「軍師殿」

 フィンが、雪煙を上げて戻ってきた。

 頬に霜を貼りつけたまま、馬から飛び降りる。

「敵は、全部で四列。先頭は槍、真ん中が盾と歩兵、その後ろに弓持ち。荷車は谷の手前に置きっぱなしだ」

「旗は?」

「四つ、全部いる。さっきの狼煙で、半分は谷の真ん中に釘付けになった」

 息を整える間も惜しんで、フィンは雪の上に指で簡単な図を描いた。

「ここが谷で、ここが村。カイの奴がここから突っ込んで、敵がこう……」

 ざっくりとした線だが、方向は分かる。

 シュアラは、その図を手帳の盤面に重ねた。

 帝都の会議室で動かしていた木片とは違う。
 ここで動いているのは、人間の列だ。剣の届く距離、弓の射程、馬の疲労。

「……予測と、大きな差はありません」

 口から出た言葉に、フィンが片眉を上げた。

「嬉しいのか、怖いのか、どっちだそれ」

「両方です」

 即答する。

「こちらの想定通りに敵が動くということは、“こちらの想定通りにしか動かないように押し込めている”ということですから」

「聞けば聞くほど怖いな、あんたの頭の中」

 フィンは額の汗を手袋で雑に拭った。

「で、俺はそろそろ若んとこ戻るが……“引き際”の相談はどうする?」

 その言葉に、シュアラは一瞬だけ口を閉ざした。

 昨夜の団長室。
 紙と革と人の体温で満ちた部屋。
 机の上の地図の上に置かれた拳。

『俺が引けと言ったら、その時点で全部捨てて帰ってこい。荷でも、計画でも、数字でもだ』

 その声の低さと、紙を押しつぶす指の力だけが、妙に鮮明だった。

「フィンさん」

「ん?」

「あなたの口から、『終わり』が来たとき」

 シュアラは、荷台の縁を握りしめた。

「その瞬間、この荷車は坂も橋も全部捨てて、砦に向けて走ります」

「坂も橋も?」

「はい。噛ませどころとして使う余裕があっても、その合図が来たら全部切り捨てます」

 自分で言いながら、胸の奥で何かがきしんだ。
 それは、すでに計算に入れていたはずの「損切り」の感覚だ。

「……団長と約束しましたから」

 フィンは、しばらくシュアラの顔を見ていた。
 冬の光のせいで、彼女の顔はいつにも増して血の気がない。

「若が、“第五ゲームやるなよ”って言ってたやつか」

「聞いていたんですね」

「扉の外まで声が聞こえてたからな」

 フィンは苦笑した。

「損得勘定で自分の命の削りどころ考えるゲームは、俺もあんまり好きじゃねえ」

「好き嫌いで言えば、私もです」

 即答すると、フィンは少しだけ目を丸くした。

「ただ、そのゲームをしないで済む盤面を作れるなら、そちらを選びたい」

 声に出してから、自分でもそれが本音だと気づく。

 父の帳簿では見たことのない種類の「利益」だ。
 損失を減らすのではなく、削る必要のない場所そのものを作る利益。

「……了解」

 フィンは、軽く肩をすくめた。

「じゃあ俺は、“終わり”の印を運ぶ役だ。若が『まだいける』と言ってるうちは、あんたは好きに噛ませろ」

「“好きに”という表現は適切ではありませんが」

「そういうとこだよ、お前」

 ラルスがぼそりと挟んだ。

 その薄い笑いが、ほんの少しだけ緊張を削いだ。

 フィンは馬に飛び乗る。

「じゃ、行ってくる。あんたらはその辺で、“おいしそうに見えるように”待ってろ」

 軽口を残して、谷の方へ駆けていった。

 その背中が小さくなるのを見送りながら、シュアラは手帳を閉じ、懐に戻した。

 谷の中では、戦いが本格的になりつつあった。
 狼煙は、すでに三本から四本に増えている。高さと濃さの組み合わせで、斜面ごとの状況が伝わってくる。

 丘の上から、再び矢の音がした。
 今度は、敵の旗のあたりで布が大きく揺れる。

(馬か、旗か)

 どちらにせよ、「人そのもの」ではない。
 それでも、その一本の矢で、誰かが倒れ、誰かが助かる。

 リオの指が、今、どれだけ震えているか。
 それを想像した瞬間、自分の指の震えは完全に止まっていた。

 かわりに、胸の奥で別の感覚がじわじわと膨らんでいく。

(――まだ、盤面は想定の範囲内)

 それは事実だ。
 小領主軍は、東の村の「胃袋」を目指して谷を進み、カイの隊に正面から噛まれている。

 村と砦の両方を守るための、「最初の条件」は満たされている。

 ただ、その「範囲内」という線が、どこまで延ばせるかは、まだ誰にも分からない。

 谷の奥、煙の向こう側で、敵の列の一部がほんのわずかに膨らんだ気がした。
 ひとつの旗が、他の列から半歩ほど遅れて動く。

 風のせいか、錯覚か。
 判断するには、まだデータが足りない。

 シュアラは、あえて目を細めた。

「……ラルスさん」

「はい」

「ロープの結び目の確認を、もう一度お願いします」

 ラルスは黙って頷き、荷台に登り直した。
 指先で一本一本、結び目を確かめていく。

 坂道。橋の手前。重い荷車。
 ここが、二つ目の「噛ませどころ」になる。

 狼煙はなおも空に伸びていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!

ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。 なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』

鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」 幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された 公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。 その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、 彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。 目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。 だが、中身は何ひとつ変わっていない。 にもかかわらず、 かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、 「やり直したい」とすり寄ってくる。 「見かけが変わっても、中身は同じです。 それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」 静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。 やがて彼女に興味を示したのは、 隣国ノルディアの王太子エドワルド。 彼が見ていたのは、美貌ではなく―― 対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。 これは、 外見で価値を決められた令嬢が、 「選ばれる人生」をやめ、 自分の意思で未来を選び直す物語。 静かなざまぁと、 対等な関係から始まる大人の恋。 そして―― 自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。 ---

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

処理中です...