42 / 70
第一章 ヴァルム試験国家編
第二十五話 死者報告(1)
しおりを挟む
矢羽根が、冬の空気を二つに割った。
音はほとんどない。張り詰めた弦がわずかに鳴ったきり、あとは風の中に溶けていく。
代わりに、耳の奥で自分の鼓動がうるさかった。
(……右に半歩)
リオは息を殺したまま、視界の端で黒い影の動きだけを追った。
丘の上の「変な木」。
途中から折れて、横に伸びた枝。
その枝にまたがるようにして、彼は伏せていた。尻の下の樹皮がじりじり冷たい。
斜面の下には、白い雪原が広がっている。
橋と、その手前の坂道と、荷車二台。
さらに向こう、谷から回り込んできた敵の別働隊が、黒い帯になって坂を駆け下りてくる。
(もう一歩)
息を止める。
矢の先が、黒い帯の中の一か所をなぞった。
馬と人と槍と旗。
それぞれが揺れながら混ざり合っている。
どこを狙えば一番「止まる」かを考えた。
(旗じゃない。……馬だ)
リオは、弓をほんのわずかに引き直した。
軍師殿の言葉が頭の中で繰り返される。
『馬の脚と旗と槍の木の部分。今はそこまでです』
人の胸ではなく、馬の胸。
それなら、まだ狙える。
自分の矢で、誰かの顔から血の色を抜く光景だけは、まだ想像したくなかった。
(それでも、誰かの脚は止める)
リオは、指を離した。
矢が、雪原に向かって落ちていく。
時間の感覚が、一瞬だけ伸びる。
(当たれ)
祈りとも命令ともつかない言葉が、喉の奥で転がった。
黒い帯の中の、一頭の馬が崩れた。
胸のあたりを撃ち抜かれたのか、前脚から折れたのか。
そこまで細かくは見えない。
ただ、馬と騎手と、その周囲の数人がまとめて雪に沈むのだけは分かった。
列が乱れる。
後ろから来ていた馬が、避けきれずにぶつかる。
旗が揺れ、槍の向きがばらばらになる。
リオは、弦を握り直した。
指先の感覚が、さっきよりもほんの少し軽い。
(……一本目)
喉の奥で数える。
矢筒には、まだ何本も矢が残っている。
丘の上の空気は、ひどく静かだった。
自分の吐く白い息と、遠くの金属の音だけが、世界のすべてみたいに思える。
「よし」
小さく呟き、次の矢をつがえた。
斜面の向こうでは、狼の旗が動き始めている。
谷の底から、味方の列がにじみ出るように前へ出てきていた。
(団長の道を、軽くする)
自分でそう決めた以上、やることは単純だった。
馬の胸。
旗の棒。
槍の木の部分。
矢を放つたびに、雪原の一部が少しずつ欠けていく。
その欠けた部分が、守りたかった誰かの立つ場所になればいい――そう思いながら。
矢を三本目まで放ったところで、指先の感覚が鈍くなってきた。
(まだだ)
リオは、自分の指に言い聞かせる。
「まだいける。まだ撃てる」
声に出すと、少しだけ楽になった。
雪原の向こう側で、別の旗が揺れた。
狼の紋章。谷の底から、カイたちの隊が前へ出てくる。
リオは、その旗の少し右側に矢先を向けた。
団長の進む道を、少しでも軽くするために。
*
雪が、鉄の蹄に踏み潰されていた。
カイは、馬の首筋に身を伏せたまま前を見ていた。
谷の中央で敵の槍をいなし、その勢いのまま右へ切り込む。
足元の感覚が一瞬で変わる。斜面。雪。泥。
「右、開けろ! ボルグ、ついてこい!」
喉が焼けるほど叫ぶ。
肩口の傷が軋んだが、構わず腕を振る。
重騎士の列が、盾の壁の間を抜けた。
鉄と馬と人間がひと塊になって、別働隊と本隊の間の細い隙間へ突っ込んでいく。
敵の槍がこちらに向き直る前に、馬の体当たりで列を割る。
盾に当たる衝撃が、腕の骨まで響いた。
(あの別働隊を放っておいたら、雪原のほうに抜けられる)
リオの矢で乱れた列。
そこに、自分たちの塊を無理やりねじ込んでいく。
視界の端で、黒い外套が雪に転がるのが見えた。
その周囲で、敵の列がさらに乱れている。
「……リオか」
短く呟く。
あいつの矢の癖は、もう何度も見てきた。人の胸ではなく、馬の胸を狙う矢だ。
崩れた列の隙間を、狼の紋章を掲げた旗が駆け抜ける。
カイはその少し前に出た。
転がった黒外套の男が、なんとか身体を起こそうとしていた。
膝が雪に沈み、片腕で地面を押さえている。兜は脱げて、顔が露わになっていた。
敵将――ヴォルフ。
砦の情報で顔だけは知っていた。
真っ直ぐな鼻筋と、癖のない髪。
帝都生まれの貴族によくある顔立ちだ。
ここ数年、ああいう顔の奴らに散々な目に遭わされてきた記憶が、喉の奥で苦く笑う。
「よく来たな、辺境の狼」
ヴォルフが、血の混じった息を吐きながら言った。
「“死人”を飼ってるって噂は、本当だったらしい」
その言葉に、カイの頬の筋肉がぴくりと動いた。
「噂より口が回るな。死に損なったくせに」
剣先を、男の喉元寸前で止める。
ヴォルフの喉が、ごくりと動いた。
「殺すか?」
ボルグが隣で問う。馬上からでも、重騎士の視線は鋭い。
「砦に連れて帰る」
カイは短く答えた。
「死んだ奴の口は開かねえ。生きてる奴の口は、場合によっちゃ金貨より役に立つ」
「生かしといて、あとで噛ませるってわけか」
「……さあな」
ヴォルフの腕を、とりあえず馬の腹帯に縛りつける。
敵将を縛る麻縄の感触が、指にざらついて残った。
背後では、まだ剣と槍の音がしている。
鉄同士がぶつかる音。
人の叫び。
雪が抉れる音。
カイは、息を吐いた。
(……帳簿の数字、守ってやるよ)
自嘲気味に鼻を鳴らした。
この一戦で、仮に十や二十、敵の首を取ったところで。
冬のあいだに腹を空かせて死ぬ子どもの数のほうが多くなるかもしれない。
それなら、今は「守りたい腹」のほうを優先する。
「ボルグ!」
「おう!」
重騎士隊長が鉄の塊みたいな声で応じた。
「何人か選んで、あの黒外套の護衛につけろ! 逃がすな、殺すな!」
「へいへい、“客人様”だもんな!」
ボルグがニヤリと笑う。
その笑いの裏に、ようやく戦が終わりつつある実感が混じり始めていた。
音はほとんどない。張り詰めた弦がわずかに鳴ったきり、あとは風の中に溶けていく。
代わりに、耳の奥で自分の鼓動がうるさかった。
(……右に半歩)
リオは息を殺したまま、視界の端で黒い影の動きだけを追った。
丘の上の「変な木」。
途中から折れて、横に伸びた枝。
その枝にまたがるようにして、彼は伏せていた。尻の下の樹皮がじりじり冷たい。
斜面の下には、白い雪原が広がっている。
橋と、その手前の坂道と、荷車二台。
さらに向こう、谷から回り込んできた敵の別働隊が、黒い帯になって坂を駆け下りてくる。
(もう一歩)
息を止める。
矢の先が、黒い帯の中の一か所をなぞった。
馬と人と槍と旗。
それぞれが揺れながら混ざり合っている。
どこを狙えば一番「止まる」かを考えた。
(旗じゃない。……馬だ)
リオは、弓をほんのわずかに引き直した。
軍師殿の言葉が頭の中で繰り返される。
『馬の脚と旗と槍の木の部分。今はそこまでです』
人の胸ではなく、馬の胸。
それなら、まだ狙える。
自分の矢で、誰かの顔から血の色を抜く光景だけは、まだ想像したくなかった。
(それでも、誰かの脚は止める)
リオは、指を離した。
矢が、雪原に向かって落ちていく。
時間の感覚が、一瞬だけ伸びる。
(当たれ)
祈りとも命令ともつかない言葉が、喉の奥で転がった。
黒い帯の中の、一頭の馬が崩れた。
胸のあたりを撃ち抜かれたのか、前脚から折れたのか。
そこまで細かくは見えない。
ただ、馬と騎手と、その周囲の数人がまとめて雪に沈むのだけは分かった。
列が乱れる。
後ろから来ていた馬が、避けきれずにぶつかる。
旗が揺れ、槍の向きがばらばらになる。
リオは、弦を握り直した。
指先の感覚が、さっきよりもほんの少し軽い。
(……一本目)
喉の奥で数える。
矢筒には、まだ何本も矢が残っている。
丘の上の空気は、ひどく静かだった。
自分の吐く白い息と、遠くの金属の音だけが、世界のすべてみたいに思える。
「よし」
小さく呟き、次の矢をつがえた。
斜面の向こうでは、狼の旗が動き始めている。
谷の底から、味方の列がにじみ出るように前へ出てきていた。
(団長の道を、軽くする)
自分でそう決めた以上、やることは単純だった。
馬の胸。
旗の棒。
槍の木の部分。
矢を放つたびに、雪原の一部が少しずつ欠けていく。
その欠けた部分が、守りたかった誰かの立つ場所になればいい――そう思いながら。
矢を三本目まで放ったところで、指先の感覚が鈍くなってきた。
(まだだ)
リオは、自分の指に言い聞かせる。
「まだいける。まだ撃てる」
声に出すと、少しだけ楽になった。
雪原の向こう側で、別の旗が揺れた。
狼の紋章。谷の底から、カイたちの隊が前へ出てくる。
リオは、その旗の少し右側に矢先を向けた。
団長の進む道を、少しでも軽くするために。
*
雪が、鉄の蹄に踏み潰されていた。
カイは、馬の首筋に身を伏せたまま前を見ていた。
谷の中央で敵の槍をいなし、その勢いのまま右へ切り込む。
足元の感覚が一瞬で変わる。斜面。雪。泥。
「右、開けろ! ボルグ、ついてこい!」
喉が焼けるほど叫ぶ。
肩口の傷が軋んだが、構わず腕を振る。
重騎士の列が、盾の壁の間を抜けた。
鉄と馬と人間がひと塊になって、別働隊と本隊の間の細い隙間へ突っ込んでいく。
敵の槍がこちらに向き直る前に、馬の体当たりで列を割る。
盾に当たる衝撃が、腕の骨まで響いた。
(あの別働隊を放っておいたら、雪原のほうに抜けられる)
リオの矢で乱れた列。
そこに、自分たちの塊を無理やりねじ込んでいく。
視界の端で、黒い外套が雪に転がるのが見えた。
その周囲で、敵の列がさらに乱れている。
「……リオか」
短く呟く。
あいつの矢の癖は、もう何度も見てきた。人の胸ではなく、馬の胸を狙う矢だ。
崩れた列の隙間を、狼の紋章を掲げた旗が駆け抜ける。
カイはその少し前に出た。
転がった黒外套の男が、なんとか身体を起こそうとしていた。
膝が雪に沈み、片腕で地面を押さえている。兜は脱げて、顔が露わになっていた。
敵将――ヴォルフ。
砦の情報で顔だけは知っていた。
真っ直ぐな鼻筋と、癖のない髪。
帝都生まれの貴族によくある顔立ちだ。
ここ数年、ああいう顔の奴らに散々な目に遭わされてきた記憶が、喉の奥で苦く笑う。
「よく来たな、辺境の狼」
ヴォルフが、血の混じった息を吐きながら言った。
「“死人”を飼ってるって噂は、本当だったらしい」
その言葉に、カイの頬の筋肉がぴくりと動いた。
「噂より口が回るな。死に損なったくせに」
剣先を、男の喉元寸前で止める。
ヴォルフの喉が、ごくりと動いた。
「殺すか?」
ボルグが隣で問う。馬上からでも、重騎士の視線は鋭い。
「砦に連れて帰る」
カイは短く答えた。
「死んだ奴の口は開かねえ。生きてる奴の口は、場合によっちゃ金貨より役に立つ」
「生かしといて、あとで噛ませるってわけか」
「……さあな」
ヴォルフの腕を、とりあえず馬の腹帯に縛りつける。
敵将を縛る麻縄の感触が、指にざらついて残った。
背後では、まだ剣と槍の音がしている。
鉄同士がぶつかる音。
人の叫び。
雪が抉れる音。
カイは、息を吐いた。
(……帳簿の数字、守ってやるよ)
自嘲気味に鼻を鳴らした。
この一戦で、仮に十や二十、敵の首を取ったところで。
冬のあいだに腹を空かせて死ぬ子どもの数のほうが多くなるかもしれない。
それなら、今は「守りたい腹」のほうを優先する。
「ボルグ!」
「おう!」
重騎士隊長が鉄の塊みたいな声で応じた。
「何人か選んで、あの黒外套の護衛につけろ! 逃がすな、殺すな!」
「へいへい、“客人様”だもんな!」
ボルグがニヤリと笑う。
その笑いの裏に、ようやく戦が終わりつつある実感が混じり始めていた。
11
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!
ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。
なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる