44 / 103
24② ー目覚めー
フィオナは歴史書も探していた。ブルイエ家は古い時代はしっかりとした家だったと聞いている。古い時代の王から賜った土地を代々守ってきたのだから、そんな記述の載った書などがあれば位置が特定できるのではと思ったのだ。
今朝の夢のことを考えると、フィオナの体がどうなっているのかあまり考えたくないが、それを言っている場合ではない。
フィオナがヴァルラムの代わりにセレスティーヌの体を奪ったとしても、どうしてそうなるに至ったのかも分からない。
今は何も分からないのだから、分かることがあればなんでもいい。
それでわざわざクラウディオが呼んでくれるとも思わなかったが、クラウディオは束ねられた書物を用意してくれていた。少しだけ恥ずかしそうにして、字が汚いですか、と言ってくる。
「すべて旦那様が書かれたんですか??」
「自分で書き写したものなんです。古いので状態は良くないですが」
幼い頃に王宮にある特別な書庫にある本を書き写させてもらったらしく、表紙にインクをこぼした跡もあった。ぼうっとしていた時に垂らしてしまったと、照れながら頬をかく。
幼い頃というが、文字がとても綺麗で丁寧に書かれ読みやすい、フィオナよりずっと綺麗な字で、見本のようだと思った。文字を書くことまで優秀だとは。
しかも、量が多い。何日かけて書き写したのか。頭が下がる思いだ。
「これは禁書ではないのですが、数が少ない本なので一般に出ていないんです。もしこちらで良ければ」
「ありがとうございます。拝見します」
フィオナは慎重にその書物を手にする。本と違って装丁されておらず、紐で束ねてあるだけのものだったが結構厚みがある。
古い時代の国の本は新しい国になる際に処分されたものも多いようだ。王宮の特別な書庫に所蔵されており、ほとんどが一般に出ていないらしい。
(何百年前の書を書き写したのかしら……)
「この国ができる前の大国について知りたいと言っていましたが、なにか特別知りたいことでもあるんですか?」
「……国の成り立ちを、アロイスに教えられたらと思いまして」
アロイスをダシにして、フィオナは軽くごまかす。自分のいた土地を探しているだなんて、言えるわけがない。
また嘘が増える。居心地の悪さを感じつつもちらりとクラウディオを見遣ると、感心したように瞳を瞬かせて見せた。
いや、信じていないのかもしれない。フィオナは軽く笑っておく。
「大国の歴史はとても短いですが、土地が広大でしたので大きな都市が分散されています。その都市を中心とした国がいくつもできていますから、地図を見ながら確認した方がいいかもしれません」
「地図もあるんですか!?」
つい大声を出してしまい、クラウディオが再びターコイズブルーの瞳を瞬かせた。
立ち上がりそうになったのを抑えて、フィオナは椅子に座り直し、小さく咳払いをする。
ヒステリックに思われただろうか。そっと確認すると、クラウディオは笑いを堪えていた。
「子供のようですね。そんなに見たかったのですか?」
フィオナは顔が赤くなるのを感じた。クラウディオがそれこそ子供を見るような視線を向けて笑うからだ。フィオナがアロイスを見てほのぼのとするあれである。
(そんなに子供っぽい顔をしたかしら。ちょっと嬉しかったから、大声を出してしまったし)
なんだか恥ずかしい。そもそもフィオナはセレスティーヌに比べて子供っぽいのかもしれない。実年齢はフィオナの方が年下だ。
セレスティーヌに比べたらフィオナの家は名ばかり貴族だ。フィオナの家が古い時代名家だったとしても、没落寸前だったのは間違いない。所作が高位貴族のそれではないのかもしれない。
「すみません、大声を出しました」
フィオナは澄まして見せたが、クラウディオは謝ることはないと言いつつ、くすくす笑う。
今朝の夢のことを考えると、フィオナの体がどうなっているのかあまり考えたくないが、それを言っている場合ではない。
フィオナがヴァルラムの代わりにセレスティーヌの体を奪ったとしても、どうしてそうなるに至ったのかも分からない。
今は何も分からないのだから、分かることがあればなんでもいい。
それでわざわざクラウディオが呼んでくれるとも思わなかったが、クラウディオは束ねられた書物を用意してくれていた。少しだけ恥ずかしそうにして、字が汚いですか、と言ってくる。
「すべて旦那様が書かれたんですか??」
「自分で書き写したものなんです。古いので状態は良くないですが」
幼い頃に王宮にある特別な書庫にある本を書き写させてもらったらしく、表紙にインクをこぼした跡もあった。ぼうっとしていた時に垂らしてしまったと、照れながら頬をかく。
幼い頃というが、文字がとても綺麗で丁寧に書かれ読みやすい、フィオナよりずっと綺麗な字で、見本のようだと思った。文字を書くことまで優秀だとは。
しかも、量が多い。何日かけて書き写したのか。頭が下がる思いだ。
「これは禁書ではないのですが、数が少ない本なので一般に出ていないんです。もしこちらで良ければ」
「ありがとうございます。拝見します」
フィオナは慎重にその書物を手にする。本と違って装丁されておらず、紐で束ねてあるだけのものだったが結構厚みがある。
古い時代の国の本は新しい国になる際に処分されたものも多いようだ。王宮の特別な書庫に所蔵されており、ほとんどが一般に出ていないらしい。
(何百年前の書を書き写したのかしら……)
「この国ができる前の大国について知りたいと言っていましたが、なにか特別知りたいことでもあるんですか?」
「……国の成り立ちを、アロイスに教えられたらと思いまして」
アロイスをダシにして、フィオナは軽くごまかす。自分のいた土地を探しているだなんて、言えるわけがない。
また嘘が増える。居心地の悪さを感じつつもちらりとクラウディオを見遣ると、感心したように瞳を瞬かせて見せた。
いや、信じていないのかもしれない。フィオナは軽く笑っておく。
「大国の歴史はとても短いですが、土地が広大でしたので大きな都市が分散されています。その都市を中心とした国がいくつもできていますから、地図を見ながら確認した方がいいかもしれません」
「地図もあるんですか!?」
つい大声を出してしまい、クラウディオが再びターコイズブルーの瞳を瞬かせた。
立ち上がりそうになったのを抑えて、フィオナは椅子に座り直し、小さく咳払いをする。
ヒステリックに思われただろうか。そっと確認すると、クラウディオは笑いを堪えていた。
「子供のようですね。そんなに見たかったのですか?」
フィオナは顔が赤くなるのを感じた。クラウディオがそれこそ子供を見るような視線を向けて笑うからだ。フィオナがアロイスを見てほのぼのとするあれである。
(そんなに子供っぽい顔をしたかしら。ちょっと嬉しかったから、大声を出してしまったし)
なんだか恥ずかしい。そもそもフィオナはセレスティーヌに比べて子供っぽいのかもしれない。実年齢はフィオナの方が年下だ。
セレスティーヌに比べたらフィオナの家は名ばかり貴族だ。フィオナの家が古い時代名家だったとしても、没落寸前だったのは間違いない。所作が高位貴族のそれではないのかもしれない。
「すみません、大声を出しました」
フィオナは澄まして見せたが、クラウディオは謝ることはないと言いつつ、くすくす笑う。
あなたにおすすめの小説
嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。
しあ
恋愛
目が覚めるとお腹が痛い!
声が出せないくらいの激痛。
この痛み、覚えがある…!
「ルビア様、赤ちゃんに酸素を送るためにゆっくり呼吸をしてください!もうすぐですよ!」
やっぱり!
忘れてたけど、お産の痛みだ!
だけどどうして…?
私はもう子供が産めないからだだったのに…。
そんなことより、赤ちゃんを無事に産まないと!
指示に従ってやっと生まれた赤ちゃんはすごく可愛い。だけど、どう見ても日本人じゃない。
どうやら私は、わがままで嫌われ者の皇后に憑依転生したようです。だけど、赤ちゃんをお世話するのに忙しいので、構ってもらわなくて結構です。
なのに、どうして私を嫌ってる皇帝が部屋に訪れてくるんですか!?しかも毎回イラッとするとこを言ってくるし…。
本当になんなの!?あなたに構っている時間なんてないんですけど!
※視点がちょくちょく変わります。
ガバガバ設定、なんちゃって知識で書いてます。
エールを送って下さりありがとうございました!
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
貴方達から離れたら思った以上に幸せです!
なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」
信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。
私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。
「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」
「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」
「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」
妹と両親が、好き勝手に私を責める。
昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。
まるで、妹の召使のような半生だった。
ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。
彼を愛して、支え続けてきたのに……
「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」
夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。
もう、いいです。
「それなら、私が出て行きます」
……
「「「……え?」」」
予想をしていなかったのか、皆が固まっている。
でも、もう私の考えは変わらない。
撤回はしない、決意は固めた。
私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。
だから皆さん、もう関わらないでくださいね。
◇◇◇◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。