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ステラⅣ
お姉ちゃんとお姉さん(前世のステラ)
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変だなって思ったのは、知らない間にたくさんの内出血をしていたり、繰り返し鼻血が出てしまった時だった。
変だなってずっと思っていたけど、お父さんとお母さんは“そんなに気にしなくても大丈夫よ”と私に言うと、忙しいからか、すぐに仕事に行った。
そうは言われても、だんだんと体がだるくなって学校に行くのがつらかった。
歩いている最中でも、時々めまいがして。
そんな私の体調の変化に気付いたお姉ちゃんが、学校を休んで一緒に病院に行ってくれた。
私は、いつの間にか病気になっていたらしい。
もうすぐ小学校の三年生が終わるという時にそれがわかって、私はすぐに入院になった。
毎日毎日点滴ばかりで、ずっと同じ場所にいないといけないのは退屈だった。
だから、その日は点滴スタンドを押して売店に行ってみようと部屋の外に出た。
初めて一人で売店に行くから方向がわからなくて、廊下の真ん中でキョロキョロしていた。
「どうしたの?」
そんな私に声をかけてくれた人がいた。
中学生くらいのとっても可愛いお姉さんで、髪が肩くらいの長さの人だった。
松葉杖をついてて、足が悪いのかもしれない。
「売店に……」
「ああ、こっちよ。一緒に行く?」
知らない人に声をかけられて緊張していた私に、お姉さんは優しそうに微笑んでくれた。
お姉さんの笑顔に安心して、一緒に売店に向かっている途中の会話の中で知ったことがあった。
お姉さんは、お姉さんかと思ったらお兄さんでちょっとだけビックリしたけど、でも、お姉さんって呼んでほしいと言われたから、そうした。
お姉さんは何度も入退院を繰り返してて、病気で足を切ったと話して、私が不安そうな顔をしたからお詫びだと、可愛いモルモットのフェルト人形をくれた。
ぷいぷいと泣きマネもして、私を笑わせてくれた。
お姉さんとの“お買い物”はその日だけではなかった。
それから、お姉さんとはよく売店に一緒に行ったり、部屋でお話をするようになった。
お姉さんはオシャレが大好きで、よく私の髪もアレンジしてくれた。
入院中にできた、最初で最後のお友達だった。
私が薬の影響でベッドから起き上がれない時も、お姉さんは部屋を訪れて、代わりに売店に行ってお買い物をしてくれたり、ファッション雑誌を貸してくれたりと、たくさん構ってくれた。
一緒に過ごしてくれたお姉さんがいたから頑張れたことがたくさんある。
そんな生活を数ヶ月続けた。
でも、秋の足音が聞こえると、お姉さんは会いに来れなくなった。
お姉さんはまた手術を受けて、お部屋で過ごさなければならなくなったと看護師さんから聞いた。
お姉さんには、それからはもう会えなかった。
私は、そこから死を意識するようになったのだと思う。
それが間も無く私にも訪れるのだと悟った時、
死ぬのは怖いわよね
嫌よね
可哀想
私の弟子になる?
そうすれば永遠に生きられる
怖い声が聞こえた。
冷たい響きの、女の人の声。
とっても怖くて、すぐに嫌だと言った。
その声に従ったら、悪い事が起こる気がして。
苦しくても怖くても、その声に従ってはダメだと思っていた。
勘の良い子ね
ますます欲しいわ
私と契約しましょうよ
死んで一人になるのは嫌でしょ?
誰にも会えずに孤独の中で死ぬの
あなたはとっくの昔に両親に見捨てられてる
あなたはいらない子だもの
ああ可哀想
誰からもすぐに忘れられて
必要とされないだなんて
あなたの方こそいらない。
私は一人じゃない。
もうすぐお姉ちゃんがきてくれるもの。
そこでちょうど扉がノックされると、お姉ちゃんが会いに来てくれて、声は消えていた。
「どうしたの!?泣いてたの!?」
「お姉ちゃん、こわい声、こわい夢を見たの」
私がお姉ちゃんにしがみつくと、お姉ちゃんは安心させるように抱きしめてくれた。
「遅くなって、ごめんね。一人で心細かったのね」
お姉ちゃんはいつも優しかった。
仕事を理由に会いに来てくれないお父さんとお母さんの代わりに、お姉ちゃんは毎日会いに来てくれた。
お勉強が大変なはずなのに。
お姉ちゃんは、薬剤師を目指している。
私の病気を治す薬を開発するって。
いつだってお姉ちゃんがいてくれたら心強くて、頼もしい存在だった。
その日だけで怖い声は聞こえなくなったけど、代わりに繰り返し夢を見始めた。
好きになった人に私が殺されて、その人も死んでしまう夢。
何か意味があるような気がして、私はそれをウェブ小説の投稿サイトに書いた。
下手な文章だったけど、お姉ちゃんが読んでくれて、面白いけど悲しい話ねって言ってくれた。
私のお話を読んでもらったのは、お姉ちゃんだけではなかった。
お部屋では会えなかったけど、お姉さんには手紙を書いて、その返事を看護師さんが届けてくれていたから、手紙だけじゃなくて、お姉さんにはノートに書いた小説を読んでもらえた。
全部読んだよって、お手紙に書かれていた。
私が書いたものを、ちゃんと覚えておくよって。
お姉さんとは、お手紙のやり取りはほぼ毎日していた。
でも、お正月を迎える前に、お姉さんは先に旅立って行った。
泣きじゃくる私を、お姉ちゃんは慰めてくれた。
私が死ぬ時、お姉ちゃんもこんな風に悲しがるのかな。
人が死ぬと、どうなるのかな。
私が書いた物語の主人公はお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんが新しく生きる世界で体験するかもしれないことだ。
あの世界で、お姉ちゃんはどうなるのか。
私もあの世界に行くのだと思う。
どの選択が正しいのかは私にはわからない。
でも、お姉ちゃんなら、一番良い道を選んでくれる。
私が死んで、でも、お姉ちゃんとまた会えた時に、夢に出てきた人にもちゃんと会える気がする。
あなたを助けますって、言ってあげたい。
殺される事を受け入れるくらいに、苦しんでいたあの人を。
私の運命に巻き込まれないように、助けてあげたい。
それに、病気で苦しんでいる人に、お姉ちゃんがお薬を届けてたくさんの人を助けるって約束してくれた。
怖い声の誘いを断ってよかった。
もう、死ぬのは怖くないし、寂しくもなかった。
お姉さんの最後の手紙にも書いてあった。
怖くないよって。
先に行って待っててあげるから大丈夫だよって。
お姉さんの言葉だと安心できた。
でも、できればゆっくり来てねって書いてあったけど……
大丈夫。
お姉ちゃんとお姉さんが、私の道標になってくれる。
「桜、散っちゃったわね」
お姉ちゃんが寂しそうに窓の外を見ている。
「いつか、お姉ちゃんとお弁当を持ってお花見に行くのを楽しみにしてるね。それにね、桜が散ったら、次はツツジが楽しめるんだよ。一緒に見に行こうね」
それは強がりではなく、心からの言葉だった。
そんな日が、いつか必ず訪れると。
変だなってずっと思っていたけど、お父さんとお母さんは“そんなに気にしなくても大丈夫よ”と私に言うと、忙しいからか、すぐに仕事に行った。
そうは言われても、だんだんと体がだるくなって学校に行くのがつらかった。
歩いている最中でも、時々めまいがして。
そんな私の体調の変化に気付いたお姉ちゃんが、学校を休んで一緒に病院に行ってくれた。
私は、いつの間にか病気になっていたらしい。
もうすぐ小学校の三年生が終わるという時にそれがわかって、私はすぐに入院になった。
毎日毎日点滴ばかりで、ずっと同じ場所にいないといけないのは退屈だった。
だから、その日は点滴スタンドを押して売店に行ってみようと部屋の外に出た。
初めて一人で売店に行くから方向がわからなくて、廊下の真ん中でキョロキョロしていた。
「どうしたの?」
そんな私に声をかけてくれた人がいた。
中学生くらいのとっても可愛いお姉さんで、髪が肩くらいの長さの人だった。
松葉杖をついてて、足が悪いのかもしれない。
「売店に……」
「ああ、こっちよ。一緒に行く?」
知らない人に声をかけられて緊張していた私に、お姉さんは優しそうに微笑んでくれた。
お姉さんの笑顔に安心して、一緒に売店に向かっている途中の会話の中で知ったことがあった。
お姉さんは、お姉さんかと思ったらお兄さんでちょっとだけビックリしたけど、でも、お姉さんって呼んでほしいと言われたから、そうした。
お姉さんは何度も入退院を繰り返してて、病気で足を切ったと話して、私が不安そうな顔をしたからお詫びだと、可愛いモルモットのフェルト人形をくれた。
ぷいぷいと泣きマネもして、私を笑わせてくれた。
お姉さんとの“お買い物”はその日だけではなかった。
それから、お姉さんとはよく売店に一緒に行ったり、部屋でお話をするようになった。
お姉さんはオシャレが大好きで、よく私の髪もアレンジしてくれた。
入院中にできた、最初で最後のお友達だった。
私が薬の影響でベッドから起き上がれない時も、お姉さんは部屋を訪れて、代わりに売店に行ってお買い物をしてくれたり、ファッション雑誌を貸してくれたりと、たくさん構ってくれた。
一緒に過ごしてくれたお姉さんがいたから頑張れたことがたくさんある。
そんな生活を数ヶ月続けた。
でも、秋の足音が聞こえると、お姉さんは会いに来れなくなった。
お姉さんはまた手術を受けて、お部屋で過ごさなければならなくなったと看護師さんから聞いた。
お姉さんには、それからはもう会えなかった。
私は、そこから死を意識するようになったのだと思う。
それが間も無く私にも訪れるのだと悟った時、
死ぬのは怖いわよね
嫌よね
可哀想
私の弟子になる?
そうすれば永遠に生きられる
怖い声が聞こえた。
冷たい響きの、女の人の声。
とっても怖くて、すぐに嫌だと言った。
その声に従ったら、悪い事が起こる気がして。
苦しくても怖くても、その声に従ってはダメだと思っていた。
勘の良い子ね
ますます欲しいわ
私と契約しましょうよ
死んで一人になるのは嫌でしょ?
誰にも会えずに孤独の中で死ぬの
あなたはとっくの昔に両親に見捨てられてる
あなたはいらない子だもの
ああ可哀想
誰からもすぐに忘れられて
必要とされないだなんて
あなたの方こそいらない。
私は一人じゃない。
もうすぐお姉ちゃんがきてくれるもの。
そこでちょうど扉がノックされると、お姉ちゃんが会いに来てくれて、声は消えていた。
「どうしたの!?泣いてたの!?」
「お姉ちゃん、こわい声、こわい夢を見たの」
私がお姉ちゃんにしがみつくと、お姉ちゃんは安心させるように抱きしめてくれた。
「遅くなって、ごめんね。一人で心細かったのね」
お姉ちゃんはいつも優しかった。
仕事を理由に会いに来てくれないお父さんとお母さんの代わりに、お姉ちゃんは毎日会いに来てくれた。
お勉強が大変なはずなのに。
お姉ちゃんは、薬剤師を目指している。
私の病気を治す薬を開発するって。
いつだってお姉ちゃんがいてくれたら心強くて、頼もしい存在だった。
その日だけで怖い声は聞こえなくなったけど、代わりに繰り返し夢を見始めた。
好きになった人に私が殺されて、その人も死んでしまう夢。
何か意味があるような気がして、私はそれをウェブ小説の投稿サイトに書いた。
下手な文章だったけど、お姉ちゃんが読んでくれて、面白いけど悲しい話ねって言ってくれた。
私のお話を読んでもらったのは、お姉ちゃんだけではなかった。
お部屋では会えなかったけど、お姉さんには手紙を書いて、その返事を看護師さんが届けてくれていたから、手紙だけじゃなくて、お姉さんにはノートに書いた小説を読んでもらえた。
全部読んだよって、お手紙に書かれていた。
私が書いたものを、ちゃんと覚えておくよって。
お姉さんとは、お手紙のやり取りはほぼ毎日していた。
でも、お正月を迎える前に、お姉さんは先に旅立って行った。
泣きじゃくる私を、お姉ちゃんは慰めてくれた。
私が死ぬ時、お姉ちゃんもこんな風に悲しがるのかな。
人が死ぬと、どうなるのかな。
私が書いた物語の主人公はお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんが新しく生きる世界で体験するかもしれないことだ。
あの世界で、お姉ちゃんはどうなるのか。
私もあの世界に行くのだと思う。
どの選択が正しいのかは私にはわからない。
でも、お姉ちゃんなら、一番良い道を選んでくれる。
私が死んで、でも、お姉ちゃんとまた会えた時に、夢に出てきた人にもちゃんと会える気がする。
あなたを助けますって、言ってあげたい。
殺される事を受け入れるくらいに、苦しんでいたあの人を。
私の運命に巻き込まれないように、助けてあげたい。
それに、病気で苦しんでいる人に、お姉ちゃんがお薬を届けてたくさんの人を助けるって約束してくれた。
怖い声の誘いを断ってよかった。
もう、死ぬのは怖くないし、寂しくもなかった。
お姉さんの最後の手紙にも書いてあった。
怖くないよって。
先に行って待っててあげるから大丈夫だよって。
お姉さんの言葉だと安心できた。
でも、できればゆっくり来てねって書いてあったけど……
大丈夫。
お姉ちゃんとお姉さんが、私の道標になってくれる。
「桜、散っちゃったわね」
お姉ちゃんが寂しそうに窓の外を見ている。
「いつか、お姉ちゃんとお弁当を持ってお花見に行くのを楽しみにしてるね。それにね、桜が散ったら、次はツツジが楽しめるんだよ。一緒に見に行こうね」
それは強がりではなく、心からの言葉だった。
そんな日が、いつか必ず訪れると。
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