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15章:王弟の落日
12話:けじめ(アルブレヒト)
ラジェーナ砦。
再びここに足を踏み入れたアルブレヒトは、様子の違う平原を見回した。
帝国側の砦とラジェーナの間にあったそこには、簡易だが処刑台が設置された。多くの薪と、太い柱。当日そこにキルヒアイスは繋がれ、下から火が焚かれる。
これは生きながらにして行われる為、最も重い罪を犯した者の処刑だ。それと同時に悪しき魂が炎によって浄化されて、その後悪さをしないようにという清めの意味もある。
だが同じく生きながら炎に焼かれたサルエンがあれだ。炎による浄化など期待はできないだろう。
「アルブレヒト殿」
「カーライル殿!」
帝国側の砦へと赴くと、そこには穏やかな笑みを浮かべるカーライルが待っていた。側には近衛のオスカルが控えている。
「まずはお祝いを。無事に戴冠が叶ったこと、嬉しく思います」
「有り難うございます、カーライル殿。この度は数えきれぬ程のご迷惑をおかけしました」
「お互い様ですよ。それに、隣人とは平和的な関係であれるのが一番ですからね」
カラカラと笑うカーライルは、やはり安心できる空気がある。かつて馴染んだ空気のままで安心できる。
だがこれからは互いに王だ。国の為には対等な関係を築いて行かなければならない。
だがそんな緊張を察したのか、カーライルが柔らかく微笑み、手を握った。
「今日の所は何事もないのですから、友人として話をしませんか?」
「え?」
「いいではありませんか。王にも友人は必要で、休息も必要ですよ。ね?」
思いがけない人好きのする笑みを見ると、自然と緊張が和らぐ。フッと力が抜けて、アルブレヒトも穏やかに頷いた。
その夜、互いに近習を下げた状態で一つの部屋で酒を飲み交わしていた。
デイジー妃の経過は順調らしく、一時的に緊張した場面もあったらしいが体には問題もなかったらしい。今回も「いってらっしゃいませ」と、互いの頬にキスをしてから出てきたのだと、カーライルは嬉しそうに話している。
夫婦仲がいいのはいい事だ。だが、なんだか少し当てられる。胸の奥に風が吹くようで、少し寂しくなった。
「……そちらは、辛い事があったようですね」
「え?」
「良ければ、話してみませんか? ここでの事は他言無用にします。私だって妻の惚気なんて、ちょっと恥ずかしいですし」
「自覚がおありですか」
「だって、誰も聞いてくれないんですから」
「はははっ」
まぁ、赤面したくなるような夫婦のイチャイチャを聞いても部下としてはリアクションに困るだろう。
だが、そうか。誰かに話してみるのもいいかもしれない。同じ立場、王としても経験の長い彼なら何か、このどうしようもない寂しさを軽減する方法や心構えを知っているかもしれない。
少し怖かった。なにせ色々と気付いたのが最近だ。上手く話せるかも分からない。
ふと、手が触れる。そして穏やかに頷かれた。
「夜はまだ長いですから、じっくりとで構いませんよ」
「……分かりました。拙い話になるかもしれませんが、構いませんか」
「勿論!」
嬉しそうにするカーライルに、アルブレヒトはゆっくりと、ナルサッハとの事を話し始めた。
どのくらい話していたのだろう。だが、他人に話すということは悪い事じゃないらしい。拙いなりに考えて、整理して話をすると色々纏まってくるものだ。
そしてどうやら、この感情は恋情であり、寂しさは喪失感なのだと改めて認めた。失ってから知った恋情など救いようはないと、最後は自嘲してしまった。
けれどカーライルは隣からギュッとアルブレヒトの手を握り締め、今にも泣きそうな顔をしていた。
「辛い別れが、あったのですね」
「鈍くて、呆れるでしょ?」
「そんな! なんて、言っていいのか……。悲しくて……でも、最後はわかり合えたような気がします」
「私も、そう思います」
消えて行く前のナルサッハは、スッキリと笑っていた。自嘲気味でも、泣きそうでも、ニヒルでもない。柔らかな光を纏っていた。
「ナルサッハのした事は、王として許す事はできません。生きていたなら明日、あの柱に縛られていたでしょう。それを出来る私がいる一方で、私人の私はきっと躊躇った。自らの手で彼を殺す事を、悲しんだでしょう」
この場所からも、処刑用の柱が見える。ナルサッハが生きていたら、今頃あそこに立てられている柱は二本。一方には、ナルサッハが括り付けられる事となった。
想像して、ブルリと震える。その時、自分は耐えられただろうか。叫ばずにいられただろうか。泣かずにいられただろうか。
どれも、難しい気がした。
「どこで行き違ったのかと思案しても、過去には戻れない。今の私でなければこんな、胸を締め付ける感情は持ち得ませんでした。そしてこの感情はナルサッハが私に行った行為が元です。結局、何が欠けてもこの結末にはならなかったように思えています」
「……定めだった、というのは簡単なのですが。残酷な事ですね」
「そうですね」
運命だった。なんて都合のいい言葉だ。もしも何処かに共に生きられる定めがあったのなら……。そんなタラレバを思ってしまう。
「それでも、ナルサッハという者は今、穏やかで幸せだろうとは思います」
「え?」
「だって、死んだとは言え長年恋い焦がれた貴方に、こんなにも深く思われているのですから。もうそこに、他人は入らないのでしょ? 貴方の中で彼は、誰も替えのきかない場所にあるのでしょ?」
「それは、そうですが……」
「では、幸せだと思います。彼は貴方を占領できますから。私人アルブレヒトを、独り占めできているのですから」
独り占め。そんな言葉にちょっとだけ、ドキリとする。そしてアルブレヒトもまた、ナルサッハの心を長く縛る事ができたのかと思ってしまう。彼の事を、独り占めできていた?
ドキドキしているのは、少しだけ優越感を感じたから。他でもない自分が、彼の心に深く根を張り続けたのなら素敵だと、ほの暗い想いを感じたからだった。
「実は私にも、長くすれ違った幼馴染みがいるのです」
「え?」
「幸い私は失う寸前に、周囲の者の助力もあって助けられたのですが。でもずっと……幼い頃から一緒に未来を語り、夢を共有していた幼馴染みで、将来彼が隣にいることが当たり前だと思っていた人でした」
「どうして、すれ違ってしまったのですか?」
どこか似ている話に興味を持って、アルブレヒトは失礼かと思いながら問いかける。
カーライルは少し悲しそうな顔をしながらも、話してくれた。
「彼の父が謀反を起こし、私の暗殺を企んだのです。それで、一家離散に」
「あぁ、なるほど」
当人のせいではなかったのか。そうなると、余計に振り回される側は苦しいだろうと思う。
それでも、カーライルの側には戻って来た。羨ましいような気持ちがある。
「彼は私の元を離れ、テロリストとして私に牙を剥くフリをしていた。実際は国の問題を直視し、改善を求めていたのだけれど……それでも、袂を分かったのだと苦しく、生きて捕らえたのならこの手で彼の処刑を命じなければならないのだと、苦しい思いを抱いて過ごしていました」
「そうはならなかったのでしょ? どうなさったのです?」
「彼を死んだ事にして、別人として手元に残しました。そう、提案して動いてくれた者がいたのです。彼らがいなければ、今頃私は大事な幼馴染みを殺した苦しみに耐えられたか分かりません」
当時を思いだしたようで、瞳を揺らすカーライルを見つめ、これが当然なんだと少し安心した。
かつて、神に近い者であった頃は人の死を悲しみはしても、同時に自然の輪に戻ったのだと思え、こんなに長く感情を引きずることはなかった。自らの死さえそうなのだから、今考えると呆れてしまう。
愛情は広くなると、個々に対しては薄くなるらしい。そして今はたった一人へと、この感情の全ては向いていく。
「私は王です。民に仇を成した彼を認めてはなりません。ですが同時に、大切な者でもあるのです」
「アルブレヒト殿、我々は確かに王ではありますが、その前に人間です。感情があり、愛情があります。そこは誰も否定はさせません。思い悩む事は決して、悪い事ではありませんよ」
「貴方は重罪人である彼を想い続けても、いいと思いますか」
「何故いけないのですか? それだけ大切だったのでしょ?」
目を丸くするカーライルが、逆に問いかけてくる。そして次には、とても穏やかに笑った。
「私は全てを理性で割り切ってしまう様な人よりも、揺れながらも愛情を示してくれる王の方が好ましく思います。割り切るものではありませんし、切り捨てていいものではない。あまりに愛情が多いのも困りますが、いつか整理ができるまでは持ち続けていいと思います」
「甘いのですね」
「そうですね。でもこの甘さも、愛情も、国を治める者には必要なのです。引き締める事は家臣もできますし、聞き入れる耳さえ持っていれば間違いも修正できます。でも、上に立つ者が愛情深い方が、人に優しい国が出来ると思いませんか?」
ニコニコしながらそんな事を言うカーライルの、柔らかな空気。雄々しい金の気を持ちながらも、月光のように柔らかく人を包み込んでいくような。
やはり、学ぶ事は多いのだ。
楽になったのかもしれない。他者からの許しを得て、これでいいのかと思ってしまえば落ちてくる。いつか切り捨てて前に進まなければ、いつまでも思い煩ってはいけないのだと思っていたけれど……納得して、良きものに変わるまではこのまま、寂しさや愛しさを抱えても構わないのか。
カーライルがやんわりと笑い、グラスにワインを注ぐ。それを持って、互いに前よりちょっと親しげに笑った。
「王アルブレヒトは凜々しく正しく、個人の貴方は慈しんで。大丈夫、私はきっと出来ると思います」
「器用ではないのですが」
「玉座を離れてしまえば仕事はお終い! そう思えばいいのですよ」
「貴方は?」
「愛しい妻の前では、ただの人に戻ります」
「素敵ですね。でも……そうですね。私も彼を前にする時だけは、ただのアルブレヒトに戻りましょうか」
誰が何を言おうと、史実にどれだけの悪逆が刻まれようと、ナルサッハの真実をアルブレヒトは知っている。だからそれを、個人アルブレヒトは大事にしてやればいい。
そう、思える気がしていた。
翌日、多くの民衆がこの地へとおしかけてきた。砦から兵に捉えられ出されたキルヒアイスは暴れ、暴言を吐き続けている。
その様子を砦のテラスから見ているアルブレヒトは溜息ばかりだ。
見苦しい、としか言いようがない。確かに彼にも同情すべき部分はある。今の彼を作り上げたのは間違いなく旧主流派だ。自分に都合のいい愚王を作り出した彼らに一番の罪があるだろう。
それでも自らを省みて、道を正そうと思う事はできたのだ。それが出来なかったのはキルヒアイスの甘えであり、愚かさであり、横暴だったのだ。
背後にはダンが。隣りにいるカーライルの側にはオスカルがついている。他は下げさせた。
だがこちらへと、カツンカツンと穏やかな足音をさせながら近づいてくる者がある。
思わず振り向き誰かを確認しようとしたが、他の三名はこの音すらも聞こえていないようで首を傾げている。そして砦の暗がりより進み出た者を見たアルブレヒトもまた、この反応に納得した。
『まったく、最後までこの有様とは情けない。これでも一度は王冠を賜った者なのでしょうか』
「ナルサッハ……」
呟いた言葉に、傍らのダンはビクリとしながらも剣に手をかけた。オスカルも警戒するように剣に手をかけたが、こちらはカーライルが静かに右手を上げて制した。
ナルサッハは透けていながらも色彩を保っている。苦笑しながら近づいてきて、そっとアルブレヒトの足元に臣下の礼を取った。
『お約束通り、けじめを付けに参りました』
「けじめ?」
『あの男、このままでは死して尚この国に仇を成すでしょう。貴方を呪うなどおこがましい事ですし、返り討ちに合うことは疑いませんが、それでも憂いを断ちたいと思うのが当然のこと。私が引きずって、地獄の底まで連れてゆきます』
「そんな!」
思わず少し大きな声が出てしまう。人の賑わいにかき消されるだろうがそれでも、心臓が痛い思いに声が大きくなりそうだった。
ナルサッハはもの悲しく笑う。そして大切そうに、アルブレヒトの手に触れた。
『どのみち、私も地獄は通らねばなりません。あんなのでも一緒ならば、多少賑やかでしょう。もののついでと思っていください』
「ナル……」
『あぁ、泣きそうな顔などなさらないでください我が君』
労るような手が頬に触れる。そこには温度はないけれど、触れている事はちゃんと感じられている。
ナルサッハは色々な事を既に決めているようだった。だからこそ穏やかに笑っていられるのだと思えた。
『我が君アルブレヒト様、沢山のご迷惑をおかけしました。自ら作り上げた虚構の王は、私が責任をもって屠ります。貴方はどうかお気になさらず』
「無茶を言うな」
『優しすぎますよ、まったく。これでは少し心配になります。ですからコレは、私から貴方への置き土産といたします』
そう言って握られた手が、徐々に熱をもっていく。死んだ人間がこれほどまでに焼き付くような熱を持つなんて信じられなくて、それが引いた後もしばし驚いたままナルサッハを見ていた。
『試しにそこの彼に触れてみてください』
「え?」
ふと、傍らに立つダンを見る。驚いたままの彼に触れると、何やら今までとは感覚が違った。
「アルブレヒト様、一体なにが……」
『ナルサッハって……死んだよな? もしやココにいんのか! 勘弁してくれ、俺はそういうの苦手だっての!』
「!!」
耳で聞く声の他に、頭に響く声がある。驚いて手を離すと聞こえなくなった。
ナルサッハはそんなアルブレヒトを見つめ、クスクス面白そうに笑っている。だからこそ、驚きつつも少し睨んだ。つまりこれが、彼の持つエルの能力だったわけだ。
「お前が時に私を見て不安にしたり、楽しげだったりした理由が分かりました」
『怒らないでください、我が君。死んだ者をそう睨むものではありませんよ。水に流してください』
悪びれもせず片眉を上げ、楽しげに笑うナルサッハに溜息が出る。
話してもいない心配事が筒抜けだったり、悪戯がバレていたり。過去そんな事が多かった。洞察力の良さだと思っていたが、なるほど。彼にはアルブレヒトの心の声が触れるだけで筒抜けになっていたのか。バレて当然だ。
そっと、手に触れてくる。伝わってくるのは愛情と、穏やかな波。魂もまた同じように、穏やかなものだった。
『貴方なら使いこなす事ができると信じています。一つ経験者からアドバイスとしましては、振り回されない事です。コレは人の心の表面を知る事ができますが、表面は働きかけ次第で良くも悪くも変わるもの。貴方の導きの光で、踏み間違えそうな者を見つけ、照らして行く助けになれば幸いです』
「ナル……」
『私はこの力を悪用し、落ちる方向へと導きました。けれどそれが出来たのなら、逆もまたしかり。この力もまた、正しき事に使われれば浮かばれましょう』
やんわりと笑ったナルサッハの手が離れてしまう。同時に、処刑開始のドラの音が響いた。
「離せ!! 俺はこの国の王だぞ! 貴様等、ただで済むと思ってるのかぁぁぁ!!」
柱に括り付けられ、足元には沢山の薪が油をかけられているにも関わらず、キルヒアイスは尚も叫んでいる。
それを見るナルサッハの目には冷たさだけが印象的だ。
『さて、仕事をしましょう。我が君、これが最後の務めとなります。ですがどうか、悲しまれませんように。多くの事がありましたが、今の私は幸せです』
「ナルサッハ」
『願わくば次にどのような姿で産まれ落ちてもまた、貴方の側に。その時には再び、貴方を慕う友のようにありたいと思います』
離れ、ふわりと飛んで行きそうな彼を思わず追いそうになる。それを、ナルサッハは制した。
『貴方の治世が長く平穏でありますように。そして貴方にも、幸多い未来を』
「ナル!」
ナルサッハの体は死者であるのだと言いたげに宙に浮く。そうして処刑台へと向かった彼を、不思議な事にキルヒアイスも見ているようだった。
「ナルサッハ! 貴様、死んだはずじゃ……」
『残念ながら既に死んでおりますよ、陛下。それにしても見苦しい。民の前でなんたる無様な姿を晒すのですか』
キルヒアイスの前に浮く彼は嘲笑を浮かべ、艶やかに唇に指で触れる。途端、キルヒアイスは呻くことは出来ても意味のある言葉を紡げなくなった。
「ん゛!」
『心配召されるな、陛下。道行きは私が同行致しましょう。なに、大したものではありません。貴方が民にしてきた仕打ちに比べれば可愛いものでしょう』
「ん゛! うん゛!」
ナルサッハが両手を広げると、ボロボロに傷つき血を流す白い羽が現れる。それでも彼は笑い、炎に飲まれたキルヒアイスを抱え込んだ。
『我が名はネメシス。義憤の体現者であり、無礼者に罰を与える者。さぁ、参りましょう』
大きく口を開けるように、黒い穴が二人の下にぽっかりと開き、飲み込んでいく。あれは、地獄へと通じる穴。あそこに落ちた魂は、ちょっとの事では戻ってこない。
全てを見つめ、言葉がない。魂を失ったキルヒアイスの体は燃え尽くされるまでそのままだ。だがもうそれは器の問題であって、そこには二人の魂はもうない。
頬が濡れていく。思わず立ち上がり、テラスから乗り出すように見ていたアルブレヒトはそのまま泣いていた。
このままではいけない。こんな顔を民の前には晒せない。困っていると隣りから、スッとハンカチが差し出された。
「民の前で涙を見せてはいけませんよ、アルブレヒト王」
「カーライル殿……」
言葉は厳しく。だが、表情は見守るように穏やかなまま。差し出されたハンカチで目元を拭ったアルブレヒトを、彼は笑顔で迎えてくれた。
「お別れは、できましたか?」
「……えぇ。キルヒアイスを地獄に、引きずって行きました。私の世に、憂いは残さないと」
「最後まで、貴方を想う人だったのですね」
「……彼の罪がいつの日か許されるよう、彼を弔い、祈ります。彼が望む平穏な国を作り上げる事ができるよう、力を尽くします。私にはそれしかできませんが」
アルブレヒトも願っている。いつの日か、彼と再び道が重なっていくことを。その時にはしがらみなどなく、純粋に互いを思う者でありたい。
九月、帝国とジェームダルの戦争はこうして完全に幕を下ろしたのだった。
再びここに足を踏み入れたアルブレヒトは、様子の違う平原を見回した。
帝国側の砦とラジェーナの間にあったそこには、簡易だが処刑台が設置された。多くの薪と、太い柱。当日そこにキルヒアイスは繋がれ、下から火が焚かれる。
これは生きながらにして行われる為、最も重い罪を犯した者の処刑だ。それと同時に悪しき魂が炎によって浄化されて、その後悪さをしないようにという清めの意味もある。
だが同じく生きながら炎に焼かれたサルエンがあれだ。炎による浄化など期待はできないだろう。
「アルブレヒト殿」
「カーライル殿!」
帝国側の砦へと赴くと、そこには穏やかな笑みを浮かべるカーライルが待っていた。側には近衛のオスカルが控えている。
「まずはお祝いを。無事に戴冠が叶ったこと、嬉しく思います」
「有り難うございます、カーライル殿。この度は数えきれぬ程のご迷惑をおかけしました」
「お互い様ですよ。それに、隣人とは平和的な関係であれるのが一番ですからね」
カラカラと笑うカーライルは、やはり安心できる空気がある。かつて馴染んだ空気のままで安心できる。
だがこれからは互いに王だ。国の為には対等な関係を築いて行かなければならない。
だがそんな緊張を察したのか、カーライルが柔らかく微笑み、手を握った。
「今日の所は何事もないのですから、友人として話をしませんか?」
「え?」
「いいではありませんか。王にも友人は必要で、休息も必要ですよ。ね?」
思いがけない人好きのする笑みを見ると、自然と緊張が和らぐ。フッと力が抜けて、アルブレヒトも穏やかに頷いた。
その夜、互いに近習を下げた状態で一つの部屋で酒を飲み交わしていた。
デイジー妃の経過は順調らしく、一時的に緊張した場面もあったらしいが体には問題もなかったらしい。今回も「いってらっしゃいませ」と、互いの頬にキスをしてから出てきたのだと、カーライルは嬉しそうに話している。
夫婦仲がいいのはいい事だ。だが、なんだか少し当てられる。胸の奥に風が吹くようで、少し寂しくなった。
「……そちらは、辛い事があったようですね」
「え?」
「良ければ、話してみませんか? ここでの事は他言無用にします。私だって妻の惚気なんて、ちょっと恥ずかしいですし」
「自覚がおありですか」
「だって、誰も聞いてくれないんですから」
「はははっ」
まぁ、赤面したくなるような夫婦のイチャイチャを聞いても部下としてはリアクションに困るだろう。
だが、そうか。誰かに話してみるのもいいかもしれない。同じ立場、王としても経験の長い彼なら何か、このどうしようもない寂しさを軽減する方法や心構えを知っているかもしれない。
少し怖かった。なにせ色々と気付いたのが最近だ。上手く話せるかも分からない。
ふと、手が触れる。そして穏やかに頷かれた。
「夜はまだ長いですから、じっくりとで構いませんよ」
「……分かりました。拙い話になるかもしれませんが、構いませんか」
「勿論!」
嬉しそうにするカーライルに、アルブレヒトはゆっくりと、ナルサッハとの事を話し始めた。
どのくらい話していたのだろう。だが、他人に話すということは悪い事じゃないらしい。拙いなりに考えて、整理して話をすると色々纏まってくるものだ。
そしてどうやら、この感情は恋情であり、寂しさは喪失感なのだと改めて認めた。失ってから知った恋情など救いようはないと、最後は自嘲してしまった。
けれどカーライルは隣からギュッとアルブレヒトの手を握り締め、今にも泣きそうな顔をしていた。
「辛い別れが、あったのですね」
「鈍くて、呆れるでしょ?」
「そんな! なんて、言っていいのか……。悲しくて……でも、最後はわかり合えたような気がします」
「私も、そう思います」
消えて行く前のナルサッハは、スッキリと笑っていた。自嘲気味でも、泣きそうでも、ニヒルでもない。柔らかな光を纏っていた。
「ナルサッハのした事は、王として許す事はできません。生きていたなら明日、あの柱に縛られていたでしょう。それを出来る私がいる一方で、私人の私はきっと躊躇った。自らの手で彼を殺す事を、悲しんだでしょう」
この場所からも、処刑用の柱が見える。ナルサッハが生きていたら、今頃あそこに立てられている柱は二本。一方には、ナルサッハが括り付けられる事となった。
想像して、ブルリと震える。その時、自分は耐えられただろうか。叫ばずにいられただろうか。泣かずにいられただろうか。
どれも、難しい気がした。
「どこで行き違ったのかと思案しても、過去には戻れない。今の私でなければこんな、胸を締め付ける感情は持ち得ませんでした。そしてこの感情はナルサッハが私に行った行為が元です。結局、何が欠けてもこの結末にはならなかったように思えています」
「……定めだった、というのは簡単なのですが。残酷な事ですね」
「そうですね」
運命だった。なんて都合のいい言葉だ。もしも何処かに共に生きられる定めがあったのなら……。そんなタラレバを思ってしまう。
「それでも、ナルサッハという者は今、穏やかで幸せだろうとは思います」
「え?」
「だって、死んだとは言え長年恋い焦がれた貴方に、こんなにも深く思われているのですから。もうそこに、他人は入らないのでしょ? 貴方の中で彼は、誰も替えのきかない場所にあるのでしょ?」
「それは、そうですが……」
「では、幸せだと思います。彼は貴方を占領できますから。私人アルブレヒトを、独り占めできているのですから」
独り占め。そんな言葉にちょっとだけ、ドキリとする。そしてアルブレヒトもまた、ナルサッハの心を長く縛る事ができたのかと思ってしまう。彼の事を、独り占めできていた?
ドキドキしているのは、少しだけ優越感を感じたから。他でもない自分が、彼の心に深く根を張り続けたのなら素敵だと、ほの暗い想いを感じたからだった。
「実は私にも、長くすれ違った幼馴染みがいるのです」
「え?」
「幸い私は失う寸前に、周囲の者の助力もあって助けられたのですが。でもずっと……幼い頃から一緒に未来を語り、夢を共有していた幼馴染みで、将来彼が隣にいることが当たり前だと思っていた人でした」
「どうして、すれ違ってしまったのですか?」
どこか似ている話に興味を持って、アルブレヒトは失礼かと思いながら問いかける。
カーライルは少し悲しそうな顔をしながらも、話してくれた。
「彼の父が謀反を起こし、私の暗殺を企んだのです。それで、一家離散に」
「あぁ、なるほど」
当人のせいではなかったのか。そうなると、余計に振り回される側は苦しいだろうと思う。
それでも、カーライルの側には戻って来た。羨ましいような気持ちがある。
「彼は私の元を離れ、テロリストとして私に牙を剥くフリをしていた。実際は国の問題を直視し、改善を求めていたのだけれど……それでも、袂を分かったのだと苦しく、生きて捕らえたのならこの手で彼の処刑を命じなければならないのだと、苦しい思いを抱いて過ごしていました」
「そうはならなかったのでしょ? どうなさったのです?」
「彼を死んだ事にして、別人として手元に残しました。そう、提案して動いてくれた者がいたのです。彼らがいなければ、今頃私は大事な幼馴染みを殺した苦しみに耐えられたか分かりません」
当時を思いだしたようで、瞳を揺らすカーライルを見つめ、これが当然なんだと少し安心した。
かつて、神に近い者であった頃は人の死を悲しみはしても、同時に自然の輪に戻ったのだと思え、こんなに長く感情を引きずることはなかった。自らの死さえそうなのだから、今考えると呆れてしまう。
愛情は広くなると、個々に対しては薄くなるらしい。そして今はたった一人へと、この感情の全ては向いていく。
「私は王です。民に仇を成した彼を認めてはなりません。ですが同時に、大切な者でもあるのです」
「アルブレヒト殿、我々は確かに王ではありますが、その前に人間です。感情があり、愛情があります。そこは誰も否定はさせません。思い悩む事は決して、悪い事ではありませんよ」
「貴方は重罪人である彼を想い続けても、いいと思いますか」
「何故いけないのですか? それだけ大切だったのでしょ?」
目を丸くするカーライルが、逆に問いかけてくる。そして次には、とても穏やかに笑った。
「私は全てを理性で割り切ってしまう様な人よりも、揺れながらも愛情を示してくれる王の方が好ましく思います。割り切るものではありませんし、切り捨てていいものではない。あまりに愛情が多いのも困りますが、いつか整理ができるまでは持ち続けていいと思います」
「甘いのですね」
「そうですね。でもこの甘さも、愛情も、国を治める者には必要なのです。引き締める事は家臣もできますし、聞き入れる耳さえ持っていれば間違いも修正できます。でも、上に立つ者が愛情深い方が、人に優しい国が出来ると思いませんか?」
ニコニコしながらそんな事を言うカーライルの、柔らかな空気。雄々しい金の気を持ちながらも、月光のように柔らかく人を包み込んでいくような。
やはり、学ぶ事は多いのだ。
楽になったのかもしれない。他者からの許しを得て、これでいいのかと思ってしまえば落ちてくる。いつか切り捨てて前に進まなければ、いつまでも思い煩ってはいけないのだと思っていたけれど……納得して、良きものに変わるまではこのまま、寂しさや愛しさを抱えても構わないのか。
カーライルがやんわりと笑い、グラスにワインを注ぐ。それを持って、互いに前よりちょっと親しげに笑った。
「王アルブレヒトは凜々しく正しく、個人の貴方は慈しんで。大丈夫、私はきっと出来ると思います」
「器用ではないのですが」
「玉座を離れてしまえば仕事はお終い! そう思えばいいのですよ」
「貴方は?」
「愛しい妻の前では、ただの人に戻ります」
「素敵ですね。でも……そうですね。私も彼を前にする時だけは、ただのアルブレヒトに戻りましょうか」
誰が何を言おうと、史実にどれだけの悪逆が刻まれようと、ナルサッハの真実をアルブレヒトは知っている。だからそれを、個人アルブレヒトは大事にしてやればいい。
そう、思える気がしていた。
翌日、多くの民衆がこの地へとおしかけてきた。砦から兵に捉えられ出されたキルヒアイスは暴れ、暴言を吐き続けている。
その様子を砦のテラスから見ているアルブレヒトは溜息ばかりだ。
見苦しい、としか言いようがない。確かに彼にも同情すべき部分はある。今の彼を作り上げたのは間違いなく旧主流派だ。自分に都合のいい愚王を作り出した彼らに一番の罪があるだろう。
それでも自らを省みて、道を正そうと思う事はできたのだ。それが出来なかったのはキルヒアイスの甘えであり、愚かさであり、横暴だったのだ。
背後にはダンが。隣りにいるカーライルの側にはオスカルがついている。他は下げさせた。
だがこちらへと、カツンカツンと穏やかな足音をさせながら近づいてくる者がある。
思わず振り向き誰かを確認しようとしたが、他の三名はこの音すらも聞こえていないようで首を傾げている。そして砦の暗がりより進み出た者を見たアルブレヒトもまた、この反応に納得した。
『まったく、最後までこの有様とは情けない。これでも一度は王冠を賜った者なのでしょうか』
「ナルサッハ……」
呟いた言葉に、傍らのダンはビクリとしながらも剣に手をかけた。オスカルも警戒するように剣に手をかけたが、こちらはカーライルが静かに右手を上げて制した。
ナルサッハは透けていながらも色彩を保っている。苦笑しながら近づいてきて、そっとアルブレヒトの足元に臣下の礼を取った。
『お約束通り、けじめを付けに参りました』
「けじめ?」
『あの男、このままでは死して尚この国に仇を成すでしょう。貴方を呪うなどおこがましい事ですし、返り討ちに合うことは疑いませんが、それでも憂いを断ちたいと思うのが当然のこと。私が引きずって、地獄の底まで連れてゆきます』
「そんな!」
思わず少し大きな声が出てしまう。人の賑わいにかき消されるだろうがそれでも、心臓が痛い思いに声が大きくなりそうだった。
ナルサッハはもの悲しく笑う。そして大切そうに、アルブレヒトの手に触れた。
『どのみち、私も地獄は通らねばなりません。あんなのでも一緒ならば、多少賑やかでしょう。もののついでと思っていください』
「ナル……」
『あぁ、泣きそうな顔などなさらないでください我が君』
労るような手が頬に触れる。そこには温度はないけれど、触れている事はちゃんと感じられている。
ナルサッハは色々な事を既に決めているようだった。だからこそ穏やかに笑っていられるのだと思えた。
『我が君アルブレヒト様、沢山のご迷惑をおかけしました。自ら作り上げた虚構の王は、私が責任をもって屠ります。貴方はどうかお気になさらず』
「無茶を言うな」
『優しすぎますよ、まったく。これでは少し心配になります。ですからコレは、私から貴方への置き土産といたします』
そう言って握られた手が、徐々に熱をもっていく。死んだ人間がこれほどまでに焼き付くような熱を持つなんて信じられなくて、それが引いた後もしばし驚いたままナルサッハを見ていた。
『試しにそこの彼に触れてみてください』
「え?」
ふと、傍らに立つダンを見る。驚いたままの彼に触れると、何やら今までとは感覚が違った。
「アルブレヒト様、一体なにが……」
『ナルサッハって……死んだよな? もしやココにいんのか! 勘弁してくれ、俺はそういうの苦手だっての!』
「!!」
耳で聞く声の他に、頭に響く声がある。驚いて手を離すと聞こえなくなった。
ナルサッハはそんなアルブレヒトを見つめ、クスクス面白そうに笑っている。だからこそ、驚きつつも少し睨んだ。つまりこれが、彼の持つエルの能力だったわけだ。
「お前が時に私を見て不安にしたり、楽しげだったりした理由が分かりました」
『怒らないでください、我が君。死んだ者をそう睨むものではありませんよ。水に流してください』
悪びれもせず片眉を上げ、楽しげに笑うナルサッハに溜息が出る。
話してもいない心配事が筒抜けだったり、悪戯がバレていたり。過去そんな事が多かった。洞察力の良さだと思っていたが、なるほど。彼にはアルブレヒトの心の声が触れるだけで筒抜けになっていたのか。バレて当然だ。
そっと、手に触れてくる。伝わってくるのは愛情と、穏やかな波。魂もまた同じように、穏やかなものだった。
『貴方なら使いこなす事ができると信じています。一つ経験者からアドバイスとしましては、振り回されない事です。コレは人の心の表面を知る事ができますが、表面は働きかけ次第で良くも悪くも変わるもの。貴方の導きの光で、踏み間違えそうな者を見つけ、照らして行く助けになれば幸いです』
「ナル……」
『私はこの力を悪用し、落ちる方向へと導きました。けれどそれが出来たのなら、逆もまたしかり。この力もまた、正しき事に使われれば浮かばれましょう』
やんわりと笑ったナルサッハの手が離れてしまう。同時に、処刑開始のドラの音が響いた。
「離せ!! 俺はこの国の王だぞ! 貴様等、ただで済むと思ってるのかぁぁぁ!!」
柱に括り付けられ、足元には沢山の薪が油をかけられているにも関わらず、キルヒアイスは尚も叫んでいる。
それを見るナルサッハの目には冷たさだけが印象的だ。
『さて、仕事をしましょう。我が君、これが最後の務めとなります。ですがどうか、悲しまれませんように。多くの事がありましたが、今の私は幸せです』
「ナルサッハ」
『願わくば次にどのような姿で産まれ落ちてもまた、貴方の側に。その時には再び、貴方を慕う友のようにありたいと思います』
離れ、ふわりと飛んで行きそうな彼を思わず追いそうになる。それを、ナルサッハは制した。
『貴方の治世が長く平穏でありますように。そして貴方にも、幸多い未来を』
「ナル!」
ナルサッハの体は死者であるのだと言いたげに宙に浮く。そうして処刑台へと向かった彼を、不思議な事にキルヒアイスも見ているようだった。
「ナルサッハ! 貴様、死んだはずじゃ……」
『残念ながら既に死んでおりますよ、陛下。それにしても見苦しい。民の前でなんたる無様な姿を晒すのですか』
キルヒアイスの前に浮く彼は嘲笑を浮かべ、艶やかに唇に指で触れる。途端、キルヒアイスは呻くことは出来ても意味のある言葉を紡げなくなった。
「ん゛!」
『心配召されるな、陛下。道行きは私が同行致しましょう。なに、大したものではありません。貴方が民にしてきた仕打ちに比べれば可愛いものでしょう』
「ん゛! うん゛!」
ナルサッハが両手を広げると、ボロボロに傷つき血を流す白い羽が現れる。それでも彼は笑い、炎に飲まれたキルヒアイスを抱え込んだ。
『我が名はネメシス。義憤の体現者であり、無礼者に罰を与える者。さぁ、参りましょう』
大きく口を開けるように、黒い穴が二人の下にぽっかりと開き、飲み込んでいく。あれは、地獄へと通じる穴。あそこに落ちた魂は、ちょっとの事では戻ってこない。
全てを見つめ、言葉がない。魂を失ったキルヒアイスの体は燃え尽くされるまでそのままだ。だがもうそれは器の問題であって、そこには二人の魂はもうない。
頬が濡れていく。思わず立ち上がり、テラスから乗り出すように見ていたアルブレヒトはそのまま泣いていた。
このままではいけない。こんな顔を民の前には晒せない。困っていると隣りから、スッとハンカチが差し出された。
「民の前で涙を見せてはいけませんよ、アルブレヒト王」
「カーライル殿……」
言葉は厳しく。だが、表情は見守るように穏やかなまま。差し出されたハンカチで目元を拭ったアルブレヒトを、彼は笑顔で迎えてくれた。
「お別れは、できましたか?」
「……えぇ。キルヒアイスを地獄に、引きずって行きました。私の世に、憂いは残さないと」
「最後まで、貴方を想う人だったのですね」
「……彼の罪がいつの日か許されるよう、彼を弔い、祈ります。彼が望む平穏な国を作り上げる事ができるよう、力を尽くします。私にはそれしかできませんが」
アルブレヒトも願っている。いつの日か、彼と再び道が重なっていくことを。その時にはしがらみなどなく、純粋に互いを思う者でありたい。
九月、帝国とジェームダルの戦争はこうして完全に幕を下ろしたのだった。
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