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第6章 シュトラウス家の紋章

第1話 変わらぬ日常 ※

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夏の予熱が夜を染めても、この宮殿は花の匂いが絶えない。


「リノ、ここ。ちゃんと見せてほしいな」


夜着の上から、胸の尖りを探し当て、シーバルはそれを引っ掻く。もどかしい刺激に、頭の奥で拒絶が反響する。


「そこ……イヤだって……ふ、ぅ、ん……」

「だって気持ちがいいでしょ? 恥ずかしがらないで、ね?」

「やるなら……ちゃんと……んぅっ……」


俺の抗議も聞き終わらぬうちに、シーバルは乱暴に俺の夜着の前を開けて、その尖りに吸いついた。そして仰け反る俺を器用に支えながら、もう片方の手で俺の昂る熱源を扱く。胸の尖りは舌で転がされている度にその硬さを認識させられ、下の昂りからは水音が響くほどだった。そんな自分を認めたくなくて、彼の名を呼ぶ。


「シーバぅ……シーバル……!」


空中に漂った俺の手が、彼の耳に到達すると、首を伝って唇が這い上がってくる。その願いにだけはいつも従順に叶えてくれる。

唇が軽く触れたら、その隙間から熱い舌が割り込んでくる。その隙をついて、俺はシーバルの昂りに手を這わせた。


「リノ、もう少し我慢しようね」

「シーバル……我慢、できない……ぃ……」

「ああ、かわいい……でも、もう騙されないんだから。リノがもっとかわいくなる方法を知ってるんだからね!」


シーバルはガバッと起き上がり、俺が恐れていることをはじめる。


「やめて……シーバル……!」


彼は俺の片足を持ち上げて、高く上がった足首に熱い唇を押し当てる。俺の様子を窺うためか、顔を傾けた拍子にプラチナブロンドの毛束が落ちた。そこから覗く黄金の瞳。


「ぁ……ダ……メェ……!」


高い鼻の存在を感じさせながら、彼の唇はどんどんと俺の方に向かってくる。そして太腿に到達した時、彼の眼差しに耐えきれず自分自身を握った。


「ふ……ぅ……どう、して……ぇ……!」


自分でもなにがなんだかわからない。でもこれをされると、触れられてもいないのに、下半身が満ちて溢れそうになる。


「意地悪して、ごめんね。ほら、リノの好きなやつで、1回出しちゃおうね。今日は奥がいい? それとも上からがいい?」


シーバルは俺を抱き起こした。つまり後ろから突き上げるか、突き下ろすかということを問われている。

俺はそんなことをされると最後まで記憶を保っていられないことを知っていた。ひとたび記憶が途切れると、どんな醜態を晒しているのかさえわからなくなる。


「今日……ずっとこうしていたいから……シーバル……」


毎晩激しいが、それでも刺激が少なめな選択肢を懇願し、彼の耳を撫でる。


「じゃあ、さっきの続きしよう? 恥ずかしがらないで。ね?」


唇ごと押し倒され、再び胸の尖りに吸いつかれた。彼の執念に、俺が抱く根本的な感情が照らされる。


「恥ず、かしい、からじゃ……ない……」

「知ってるよ。俺が女を求めてるみたいで嫌なんでしょ?」


その生々しく、シーバルらしくない発言に驚き、上がった吐息でしか答えられなかった。シーバルは片方の膝を掴んで、また俺の恐れることをする。


「ここは? 女も気持ちがいい?」

「わ、わから……ないよ……んっ」


シーバルは俺の両足を肩にかけ、腰を掴んだ。そして脈打つ俺の窄まりを、彼の杭が一気に貫いた。


「ァッ、アアアアァ──ッ!」


白濁が宙を舞い、俺の腹にパタパタと着地する。


「気持ちいいって感じてもらえるのが嬉しい。もっと俺でそう感じてほしい。リノも……男ならわかるでしょ?」

「ああっ! っ……、っ、シーバル──ッ!」


腹の中が抉れるほど擦り付けられるのに、腹の奥は敏感なようで鈍感で、もっと激しくこの歯痒さを取り払ってほしいと疼いている。無意識のうちに、シーバルの肩にかけられた自分の足を支点に、腰が動く。


「ああ……リノ、かわいい。ここが気持ちがいいね……この奥を、もっと……」


腰をさらに浮かされ、その下部から激しく突き上げられ、一瞬意識が遠のく。


「はっ、あ、……っ!」

「俺がどれだけ気持ちがいいか、リノもわかる?」


俺は意識を手放したくなくて、必死で頷く。シーバルは息を漏らしながら体を折り曲げ、再び俺の胸の尖りに吸いついた。

時々下から突き上げられながら、胸の刺激に抗う。しかし眼下で体を丸めて俺の胸に夢中で吸いつくシーバルの姿に、恐れを抱く。黄金の瞳の先に見え隠れする真っ赤な舌。それが丹念に胸の先端を捏ねたり吸ったりする光景に抗うことはできなかった。


「ああ、リノ、もう1回出したいね」


シーバルの頭を腕で抱えて懇願する。すると彼は逞しい背中の筋肉を盛り上げ、渾身の力で俺の腹の奥底に杭を打ち込む。体中から汗が噴き出し、俺はさっきよりも深い白い平原に投げ落とされる。


「ひ、ああぁぁ──っ! ああっ、シーバル! もっと……!」

「ああ、リノがかわいくなった」

「そこぉ、そこぉっ!」

「ここだね。ここを擦りながら、こっちもしようね」

「もっと、強く、ぅっ!」


シーバルが黄金の瞳になる時の感覚が、今ならよく理解できる。優しく羞恥心を破かれたら、意識が混濁してしまい、正気を取り戻すのは決まって洗い場なのだ。


どうしてだろうか。最近シーバルはとても激しい。欲望が剥き出しで、まるで──。


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