貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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出逢い

やっぱり、ここはどこから始まる?

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「ん~、よく寝たぁ」

伸びをして、身体をほぐす。
そして、目を開けると、綺麗な空の青が葉っぱの間から見える。

ん?空の青?葉っぱ?

ガバッと身体をおこし、周りを見回す。そこは・・・・、森の中だった・・・・。って、なんの冗談。酔って公園の木の繁るところで寝たとか?いや、いや、こんなに木ばっかりの公園はないよ。第一、そんな浅い爽やかな感じじゃない。もっと鬱蒼とした森だ。

誘拐?ここは、何処かの森の中とか?そんな馬鹿な。何にせよ、事件に巻き込まれた可能性は高い・・・・はず?思い出せぇ。・・・・、確か、職場から帰ろうと駅に向かっていたはず。駅前の交差点を渡ろうとして・・・・。トラックが、目の前に・・・・。あぁ、死んだのかな。じゃあ、ここは、三途の川の手前?のわりに水音は聞こえないね。

きょろきょろ見回しても、木と草しか見えない。

ゆ、夢かなぁ。トラックに跳ねられて、病院の集中治療室で、意識不明とか・・・・・・、ありえそう。なら、早く目が覚めないかなぁ。まさか、ひと昔前に流行った、異世界とか?事故に遭って、翔ばされたとか。はははははははっ、そんなわけない!一時その類いの話に嵌まったことはあるけど、落ち着け、わたし。あれは、物語だ!

思考が、ぐるぐると高速回転する。



・・・・・・・・。
結局、ここは、どこ~!



心の中でお決まりの台詞を絶叫した。



ここは、森の中。声に出して叫べば、何が起こるかわからないからちゃんと自重した。どこだとしても野性動物くらいは、住んでいそうだ。熊とか出たら最悪だ。とりあえず、お腹すいた。どういうことか、全く分からないけど、今は、現実と思って行動した方がいいだろう。ここにいても埒があかないし、水と食べ物は必要だ。太陽の位置を確認しながら、移動することにして、立ち上がった。

・・・・・・。
ん?なんか地面が近い?えっ、立ち上がったよね?わたし。

「なにこれ・・・・」

そっと自分の身体を見回す。短くて小さい足。ぽっこりとしたお腹。それに、紅葉のようなぷっくりした手。その手で頬を摘まんでみると、ムニムニと柔らかくスベスベだ。

「は、はははは・・・・、なにこれ」

ガックリと項垂れるしかなかった。


観察と考察の結果、どうやら幼児になってしまったようだ。5・6才くらいだろうか?あまりのことに涙が零れそうになる。はぁ、生存率が急降下したのは、気のせいじゃない。わたしのいた世界でないことも明白だ。夢であってほしい。どっちにしろ、ここに留まる選択肢はない。こんな鬱蒼とした森の中に来る人なんて、まずいないと思う。とにかく、水と食べ物は自力でなんとかしなくては。それに、歩いているうちに、人に会えるかもしれない。

 気を取り直して、歩きだそうと立ち上がったのだが・・・・・・。



なにあれ?野性動物?二足歩行の豚?大きすぎない?3mはあるよね?硬直したまま、その化け物から目が離せない。あぁ、終わった。人生終わった。

謎の生物が、私にロックオンしていた。二足歩行の豚のような謎の生物が。もう、巨大豚でいいだろう。巨大豚は、ニヤリと口許を歪めると、こちらに向かって突進してきた。


怖い!

あまりの非日常的な出来事に身体が固まったまま動けなくなってしまった。

うん、猪突猛進だ。こんな時、結界!って思ったら、結界張れると、もう異世界確定だよねぇ。チートだねぇ。

思考だけは完全に現実逃避しながら、ピクリとも動けずに迫ってくる巨大豚から視線をそらせない。あまりの恐怖に、反射的に目をぎゅっと閉じ身体に力を込めて蹲った。


ドォ~ン!

Gugaaaaaaagaaa!

大きな音と悲鳴がする。目を開けると、そこには顔を手で覆って蹲る巨大豚が。

何が起こったの??????

目が覚めてから、わからないことだらけだ。何かにぶつかったかのような音とダメージをおっている巨大豚。はっと、自分の周りをペタペタと触ってみる。そこには、なにか固い膜のようなものがある。

えっ、本当に結界!?

訳がわからなすぎて、思わず、頭を抱えてしまう。その間に巨大豚は復活して、こちらの様子を伺いながら、うろうろしている。まだ、諦めるつもりはないようだ。結界?のお陰で、突進は避けられたが、これがどれくらいもつかわからない。ピンチにはかわりない。さぁ、どうしたものか?と、視界の先に、人らしき影が見えた。

助かったかも!

そう思って、声をあげようと息を吸い込み、再び固まってしまった。姿を現したそれは、人型の、人とは決して言えない外見をした生き物。額に2本の角をはやした4m越えの青鬼だった。

一難、去ってないのにまた一難、とか、どういうこと?

涙目になりながら途方にくれていると、巨大豚が青鬼に気づき、威嚇し始めた。獲物を横取りされるとでも思ったのだろう。青鬼も巨大豚とその近くにいるわたしに気づいて、ニヤリと嗤うと、巨大豚と対峙する。どうやら、両方手にいれる算段のようだ。巨大豚が青鬼に突進する。青鬼は、あっさりと巨大豚を掴み、潰そうと力を込めるが、巨大豚に反撃されて、放り出す。2体の戦いを見ながら、わたしから気が逸れたことを確認すると、震える足を叱咤し、そっとそこから移動を始めた。近くの木の後ろに回り込み、一気に駆け出す。後ろを確認する余裕などなく、ひたすら全力で走り、森を抜け、背の高い草が生い茂る開けたところで、草に足をとられて転がりながら、後ろを確認したが、あの2体は見えなかった。草は、わたしの肩くらいまであり、身を隠すには、ちょうどいいだろう。とりあえず、まばらに生える木の根本まで移動し、落ち着くことにした。
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