貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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新しい人生の始まり

バレた料理

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ギルドでわたしたちを待っていたりーぱぱに今回のことを報告する。

「りーぱぱ!たくさん採れたよ♪」

「何が採れたのですか?」

わたしを抱っこしてにっこりと笑いながら聞いてくれる。ガルは、依頼の報告に行った。りーぱぱの耳に顔を寄せて囁くように教えてあげる。

「フフフ、蓮の花♪」

りーぱぱは目を見張った。そういう顔は珍しい。ワクワクしているのが伝わってくる。

「上出来です!さっそく、上で見せて貰いましょう♪」

「うん!・・あっ・・・・」

また、視線を感じる。何気なくそちらに目を向けるが、たくさん人がいて分からない。明確な敵意はないからなのか、マップにも視線を感じた辺りに赤い点はない。

「どうかしましたか?」

「ううん。上に行こう♪」

上の執務室に抱っこされたまま向かう。やはり、視線を感じた。



執務室に入ると何かを察したりーぱぱがわたしに問いかけた。

「さあ、シャナ、下で何があったのですか?」

「あっ。ガルに話したんだけど、最近、視線を感じるの。殺気はないけど、気持ち悪いの。さっきも感じたから・・・・」

「成る程。それでこっそりと視線を向けてみたけど、人が多過ぎて誰かわからなかったと」

「なんでわかったの!?」

そんなこと一言も言ってないよね?

「クスクス・・シャナのやりそうなことくらい分かりますよ。やはり、シャナも気づいていましたか。何名か冒険者で貴方に不穏な視線を向ける者がいます」

「りーぱぱ、知ってたんだ・・・・」

「貴方が気づいていないのに不安にさせることもないかと言わなかったんですよ。それに、貴方しか見ていないガルドはともかく、ザラムも気づいて泳がせているだけです」

そ、そうなんだ。わたしの保護者は優秀だったよ。

「不安かもしれませんが、私たちから離れなければ、大丈夫ですよ。さあ、蓮の花と今日の買い取りを出してください」

笑顔でそう言ってくれるりーぱぱにほっとして、採集したものを出していった。

今回の採集のメインは、蓮の花と竜牙草とカンゾウタケ。

特に蓮の花は幻と言われる。なぜなら、いつ花が咲くのか判っていないから。ランダムというのが有力らしい。そして、すぐに枯れてしまう。鐘ひとつ分も咲かない。咲いていても、特殊な容器にいれて保存しないと切ったあとは急速に枯れる。だから、今回、咲いた状態で採集できたのは、本当に奇跡的だ。 

「シャナ、この蓮の花は、どうやって咲いたままにしているのでしょう?」

「状態保存の魔法をかけてるの。採ってきたのは10本。それは、複製したよ」

「状態保存・・・・。魔力が相当必要ですね・・・・。では、今回10本買い取っても大丈夫ですね」

「うん」

「うーん・・・・」

りーぱぱは、がさごそと棚の中から蓮の花がすっぽりと入る大きな容器を20個出してきた。

「では、複製したものも含めて20本をこれに容れてください」

「これが蓮の花を枯らさない容れ物?」

「ええ、そうです。大きいでしょう。見つかるかわからない花のために持ち歩く人はいませんね」

納得した。これは、嵩張るからインベントリー持ちならともかく、普通は持ち歩かないだろう。それに採ってきた蓮の花を容れて、状態保存の魔法を解く。その間にガルが依頼の報告と買い取りを終えて迎えにきた。

「シャナ、この容器をガルドが持っていたことにします。ガルドならインベントリー持ちだと知られていますから持っていても不思議ではありません。まずこの10本を納品してください。それ以上は、そうですね、2、3年に一度にしましょう」

「わかった!りーぱぱが必要なときに言ってくれれば出すよ。それ以外では売らない」

「そうですね。それがいいでしょう。ガルドもいいですね?」

「ああ、わかった」

「他には何が採れたんですか?」

「えっとねぇ、竜牙草にカンゾウタケ、カミール草、ドクベニタケ、・・・・・・・・」
と採集したものを出していく。

「相変わらず凄いですね。シャナのお陰でこのギルドは貴重な薬草には困らなくなりましたよ。では、これを清算しましょうね」

りーぱぱは、リンリンとベルを鳴らしてギルド職員を呼び、清算をさせる。


清算金額を見て驚いた!
いつもと桁が2つ違う!

「えっ!」

金貨202枚って!いつも大体金貨2枚くらいだから、蓮の花がそれだけ高いってことだ。

「正当な金額ですよ。他の街には、それよりも少し高値で売る予定ですが」

最後の方はボソッと呟いた。りーぱぱ、黒くて素敵です♪


ドスドスドス・・・・、バン!!!

勢いよく扉が開いた。
ガルとりーぱぱは、誰がきたのか分かっていたらしく、顰めっ面で出迎えている。わたしはその勢いにビックリしてガルに飛び付いてしまった。

「おっ!やっぱりまだここだったか!何日もシャナが居なかったからな。迎えにきたぞ!」

そう言いながらざらぱぱは、わたしを抱き上げた。

「ふわ!ただいま、ざらぱぱ!」

「ハァ、もう少し静かに来れないものですかね?」

「終わったし帰ろうぜ」

ざらぱぱに抱っこされて4人で連れだって下に降りていく。1階は、依頼を終えた冒険者で溢れている。そんな中、やはり、嫌な視線を感じたのだった。




家に帰ると、ざらぱぱがわざわざ迎えにきた理由がわかった。保存庫が空だから。行く前にこの巨大な保存庫一杯にたくさんの料理を作って容れておいたのに・・・・、ない。わたしなら、3ヶ月はもつくらいの量だったのに、ない。数日くらいはもつと思ったのに・・・・。足りなかったか・・・・。

保存庫を開いたまま立ち尽くす私を心配したのかざらぱぱが声をかけてきた。

「シャナ、すまん。全部食べた」

「ん、いいよ。ぱぱたちのために作っていったんだもん。ちょっとビックリしただけ」

「あ、いや、その・・・・」

なんだか、歯切れ悪くざらぱぱご言い淀んだ。

「ハァ、私たちふたりなら多少は残っていましたよ。スープくらいでしょうが・・・・」

「えっ!?」

「あー、その・・・・すまん」

なに?どうしたの? 

ざらぱぱを見るが、済まなそうにしているだけで話すのを躊躇っている。

「ザラムがランチにここの料理を詰所に持っていったんです、ハア。そうしたら、その料理を見た衛兵たちが食べたがって、一昨日ここに押し掛けてきたんですよ」

「で、ご馳走せざるを得なくなったと」
ガルも呆れ顔で聞いた、

「あ、ああ、そうだ。シャナの料理を食べだしたら、詰所や街の食堂の料理じゃ、物足りなくなって・・・・。その、ちょっとだけならバレないだろうと持っていって、執務室でこっそりと食ってたんだが、見つかった・・・・」

悪いことをして見つかった子供のようだ。

「クスクス・・、何持っていったの?」

「ん?オーク丼だ」

「それは、匂いでバレるよね?オークサンドとか温かくないものなら、バレなかったのに」

「おー!そうか!次からはそうしよう!」

「シャナ!変な入れ知恵するな!」

「クスクス、明日からざらぱぱとりーぱぱには、お弁当作るね」

「「「お弁当?」」」

「持ち歩けるお昼御飯だよ」

「おー!」

「俺も欲しい!ふたりだけずるいぞ!」

「わかった。みんなの分作るね♪」

みんな嬉しそうだ。

「それより、わたしの料理バレちゃったけどいいの?」

「それは、大丈夫です。スープとサラダ、パンくらいしか残ってませんでしたから。パンは、こっちのパンを出しましたし。それに、誰が作ったかまでは、わかりませんしね」

うん、その辺はりーぱぱに任せた方が良さそう。

「ご飯にしよう!何食べたい?」

「唐揚げ、ハンバーグ!」

「魚や煮物なんかいいですねぇ」

「辛いやつ食いたい」

「了解!」

楽しい夜は更けていった。
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