貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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お披露目

ざらぱぱの家族

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翌日は、朝3の鐘から鐘2つ分がレッスンの時間だった。前日教わったカーテシーの復習から始まり、歩き方、立ち姿を指導された。

優雅な立ち居振舞いは貴族に必須の技能だそうだ。それを見れば、階級が分かる程らしい。

ふぅ。平民、ばんざーい!

そんなことを言えば、りーぱぱのしごき・・・具合が上がるから絶対に言わない。

ひいひい言いながら、なんとか今日のレッスンを終え、わたしはお昼寝タイム。ここで寝ておかないと、ざらぱぱの家に着いたらすぐに眠っちゃうとか、移動の馬車の中で爆睡になりかねない。鐘1つ分で起こされ、早めの昼食を摂ることになった。が、まさか、ここでもレッスンがあるとは思わなかった。昨日の夕食と今朝の朝食は何も言われなかったから、油断した。ここにいる間は昼食で、タルに戻ってからは朝食で、食事とお茶のマナーをレッスンすると宣言された。涙目でガルとざらぱぱに助けを求めたけど、ふたりとも「「諦めろ」」だって。残酷だ。



そして、いよいよざらぱぱのお家にお邪魔する。緊張してきた。ざらぱぱの家から迎えの馬車が来てしまったから、腹を括るしかない。

「そんなに固くならなくても、俺んちはみんな騎士だからな。シャナとは仲良くなれると思うぞ?」

そうだった。ざらぱぱの家族は脳筋率が高かったんだった。お父様然別、お兄様たち然別。そう言えば、弟さんもいるって言ってたなぁ。学園を卒業して、5年だっけ。まだまだ平の騎士団員だとか。長寿だと兄弟の年齢差も凄いよね。お母様は王族だし、お姉様もいたはずだ。

「そうかな?ざらぱぱの家族よりも、そこで働いてる人達の方が怖いよ」

昨日のことは、弱冠トラウマっぽくなっている。嫌だなぁと顔を顰めていると、ざらぱぱに頭をぽんぽんと撫でられた。

「大丈夫さ。皇宮とは違う。あそこはプライドの高い偉そうなやつらが多いからな。その辺うちはおおらかだぞ」

それを聞いてわたしは凄くほっとした。宿から馬車に揺られること20分くらい。ざらぱぱのお家は、宿からはお城を挟んで反対側にあった。門を潜って10分。漸く建物が見えてきた。道の両側は果樹園になっていて、その奥に使用人たちの住む家や訓練所等が点在しているそうだ。

馬車が止まり、ざらぱぱが降りていった。そして、りーぱぱ、ガルと続き、わたしはガルに抱っこでおろ・・・・されない。抱っこされたままざらぱぱのパパと対面した。

「ようこそお越しくださいました、ガルドラム様、リーランス様、シャナーリエ様」

ざらぱぱのパパが執事さんや侍女さんたちとお出迎えしてくれた。ちなみに、パパは竜人だ。

「お久しぶりです、総帥」

「後見人の審査以来ですか」

「奥で妻と子供たちが待っておりますから、どうぞお入りください」

案内されて通されたのは、明るい解放感のある応接室。この部屋から直接庭に出られるようになっている。

「ご無沙汰しております、伯母上」

「お久しぶりでございます、ファミアリア様」

「ふたりとも元気そうね。ガルドラムは番が見つかったとか。よかったわ。なかなか会いに来てくれないから、呼んじゃった」

ガルもりーぱぱも苦笑している。ざらぱぱは顰めっ面だ。

「紹介させていただきます。エルフのシャナーリエと申します」

わたしは漸く抱っこから下ろされて地面に足をついた。

「初めまして。エルフのシャナーリエと申します。以後、お見知りおきください」

りーぱぱに散々ダメ出しされたカーテシーを披露した。

うー、緊張する!

「フフ。皇妃様の言っていた通り可愛らしい方ね。そんなに緊張しなくても大丈夫よ。昨日はだいぶ苛められたようね?」

ああ、昨日のことなのにもう知ってる辺り、優秀な情報網をお持ちのようだ。

「もう知ってるのかよ」

「あら、当然よ。情報は早ければ早いだけいいのよ。シャナちゃん。わたくしのことはアリア姉様と呼んでね?」

えっ!ね、姉様、ですか?

「はあ?姉様はない。そこはおばグホ」

アリア姉様の肘鉄は、キレイにざらぱぱの鳩尾に決まった。

ざらぱぱ、それは禁句だよ。

「お母様、アルトザラムで遊ぶのはそのくらいにして、私たちも紹介してください」

ざらぱぱとアリア姉様の戯れを見ていたお姉様が助け船を出してくれた。

「そうだったわね。獅子獣人の長女のシルクサリア。竜人の長男のカインザルと次男のティモシラン。獅子獣人の四男のファイファルドよ。カインザルの番は先月子供が産まれて、ティモシランの番は今妊娠中なの」

「初めまして、エルフのシャナーリエと申します。シャナとお呼びください」

「丁寧な挨拶をありがとう。そんなに固くなることないわ」

「シャナは、アルトザラムの稽古についてこれるんだろ?手合わせしないか?」

現役の近衛の副団長と手合わせとか、無理でしょ!

「俺はそれよりも、シャナの料理を食べたいなぁ。タルの衛兵が騎士団に訓練に来る度に自慢されるんだ。隊長のとこのシャナの持ってくる料理を食べたら、他は物足りない、って」

えー!タルの衛兵のみなさん、なんで自慢なんてするのぉ!折角、商業ギルドに丸投げできたのに!なんで陛下から指名されたのか不思議だったけど、出所は身近にあったか。くぅ。

「それなら、私はシャナの魔法を見てみたいわ。リーランス様が教えているのでしょう?その歳でマレビの最奥に行けるなんて将来有望ね」

そう言えば、シルク姉様は魔術師団所属の皇太子妃、ニル姉様の護衛のひとりだそうだ。

「あら、あなたたち。お母様にシャナちゃんを譲る気はないのかしら?」

どうしたらいいの?

「お前たち、まずは座ってもらわないか」

ざらぱぱのパパが助けてくれた。

「そうね」

「「「!!!はい!すみません」」」

漸くわたしたちは一息吐くことができた。

紅茶が美味しい♪

「アルトザラム、お前が仕切れよ。俺は関与せんぞ」

そうだったね。パパは女神様の誓約があるからあんまりわたしに関わってボロが出ると大変だ。

「シャナはどうしたい?」

「わたし?わたしはお外で遊びたい」

そう。子供に室内でおとなしくお茶を飲みながら世間話なんて無理。お菓子もねぇ。ここの料理人たちも登録したレシピに苦戦しているらしい。出されたお茶菓子にその痕跡が窺える。

(りーぱぱ。アリア姉様にレシピのこと教えてあげたらダメ?)

(ああ、このお菓子ですね?でしたら、タルの商業ギルドで教えていることを伝えておきましょう。今、お城の料理人に伝授しているはずですから、今ならついでに終わり次第教えてもらえるでしょう)

(うん。それでいいよ。ありがとう)

りーぱぱが優しい顔でわたしのこと頭をぽんぽんとしてくれた。

「ファミアリア様。こちらのお菓子は特許登録されたレシピを再現されたものでしょうか?」

「そうなの。でもね、料理長が言うには、とても難しいそうなの。それに食べたこともないでしょう?再現しきれないって悔しがっていますわ」

「それなら、タルの商業ギルドで見事に再現できています。今、お城の料理人に教えているそうですから、問い合わせてみてはいかがですか?それに、再現できたものを分けていただきましたから、よろしければ、料理長にお裾分けしましょうか?」

「まあ、それは本当なの?早速問い合わせなければ!もう!皇妃様も教えてくださればいいのに!わたくしの情報網もまだまだね。試食できるのは料理長だけなのかしら?わたくしたちも食べてみたいわね」

りーぱぱは、ガルとざらぱぱに目配せして、私が作った料理をテーブルに並べさせた。その間にアリア姉様は、執事に指示を出して問い合わせさせている。余程気になっていたらしい。

後でりーぱぱが教えてくれたけど、新しいものをいち早く取り入れるのは家を預かる夫人の腕の見せ所なのだとか。だから、“女神様が用意した特許システムに初めて登録された料理”をお城のパーティーで初出しするのは皇妃様のご威光を見せつけるためでもあるのだ。

面倒臭いの一言だよ。
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