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新しい試み
聖剣の日の悪夢
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いつもの島での訓練を終えて、わたしたちは自宅のあるタルではなくて、皇宮にある離宮に飛んだ。ジャイ、クレー、シアンも一緒だ。竜人の国とエルフの国で行われるそれは、今回も大盛り上がりだ。商人たちは書き入れ時とばかりに呼び込みに余念がない。
「凄いね!」
お好み焼き、フランクフルト、ポップコーン、りんご飴、焼きそば、焼きとうもろこし等々、屋台料理を大量に特許登録した甲斐があるというものだ。ソースは商業ギルドが独占で卸している。射的、輪投げ、腕相撲、喧嘩コマ等といった娯楽も多数出展していて、お祭りを彷彿とさせる。懐かしいね。
「美味いな」
「いつの間に登録してたんだ?」
「へへへ。聖剣の日に来るって決まったとき♪だって、美味しいもの食べたい。それに、聖剣の周りは騎士がたくさんいて参加者以外はなかなか近づけないでしょ?お祭りなんだから楽しくしないとね!」
この世界は、春の豊穣祭・夏の女神祭・秋の収穫祭・冬の新年祭の4つのお祭りがある。わたしの感覚からいくと、とても少ない。こんなに長い暦を持っているんだから、もっとあってもいいはずだ。それに屋台もいつもの日常とさほど変わらない。だ・か・ら!他の登録商品とは違い、お祭り限定で特許使用料を無料にした。これで特別感が出たはずだ。わたしは輪投げに挑戦し、リアルすぎる猫のぬいぐるみを、ガルとざらぱぱは射的でりんご飴とポーションを手に入れた。ジャイたちはここぞとばかり、焼きそばやお好み焼きなどを買い漁っている。そして、みんなが満足した頃、漸く聖剣の日の会場へと足を運んだ。
「さて、わたしたちは見届け人ですから、ここで待機です」
目の前にはずらっと並ぶ筋肉たち。力試し、運試しで来ている人も多いようだ。ちらほらと魔術師の姿もある。
ゾゾッ
突然、背筋を這うような嫌な感覚がわたしを襲った。
「ん?」
ざらぱぱも何かを感じ取ったのか参加者に視線を投げている。
「どうしました?」
「シャナ?」
急に顔色の悪くなったわたしと警戒し始めたざらぱぱにりーぱぱとガルが訝しげな視線を向けてきた。
「何かいる」
「あのね。・・・・ゾッとするの。気持ち悪いの。怖い」
カタカタと震えだしたわたしにりーぱぱとガルも参加者へと視線を移した。ガルはわたしを抱え直してくれる。
「いるな」
「確かにいますね」
「どうした?」
わたしたちの警戒した様子にジャイが不思議そうな視線を寄越した。
「分かりませんか?この、何とも不気味な気配」
「「「???」」」
3人とも首を傾げている。
(いるよ!)
いつも寝ているスノウから突然念話が入った。本当によく寝ていて、起きるのは月に一度程度だ。スノウ曰く(本来なら卵にまだいる時期だから)だそうだ。そのスノウが目覚めた。
(何がいるか分かりますか?)
(破壊神!)
「「「なっ!」」」
思わず声が漏れてしまった。
(本当か、スノウ)
(ほんとだよ!この嫌な魔力。間違えないよ!)
(何処にいるか分かるか?)
(わかんな~い)
(乗っ取られた奴がいるってことだな?)
・・・・。
返事はない。スノウは寝てしまったらしい。それでいいのか?フェニックス。もう少し、頑張ってほしかった。
「ジャイ、クレー、シアン。この会場に破壊神の気配があります。おそらく身体を破壊神に乗っ取られた冒険者か魔術師がいます。何を仕掛けてくるか予想できません。警戒してください。シャナは神聖結界を」
「分かった」
でも、この結界も残念ながらわたしに入り込もうと、肉体を乗っ取ろうとする破壊神には効き目はない。わたしの魂に直接触れて力業で追い出そうとする。
「ガルド。何があってもシャナの魂を肉体から離さないように」
「分かってる!」
そして、時間になり聖剣の試し抜きが始まった。わたしが聖剣を抜くなんて心臓に悪いこともさせられたけれど、何事もなく最後の一人が目の前にいる。わたしの身体は勝手に震えだした。
(ヴク。り、りーぱぱ。こここのこの人だよよ)
聖剣に手をかける熊耳を生やした厳つい男。何処にでもいる冒険者らしい男だ。わたしたちは最大限に警戒しながら、その熊男が聖剣に手をかけるのを見守った。
あれ?
破壊神なのに聖剣に触れるの?
しかし・・・・。
「「「「「「「ウオーーーーー!!!」」」」」」」
「抜けたぜぇ~!」
会場が沸き返る。熊男は堂々と聖剣を掲げて見せ、誇らしげな顔をしている。りーぱぱ、ガル、ざらぱぱ、ジャイ、クレー、シアンは驚きを隠せずに困惑していた。
が・・・・。わたしの目には聖剣はクラスターに刺さっており、熊男は何も持ってはいない。
(りーぱぱ!騙されないで!あれ、幻影だから!)
(((!!!)))
(シャナ、神聖結界を張って!幻影を解いてください!)
りーぱぱの一言でわたしはわたしたちと熊男だけを覆うように大きめの神聖結界を張った。そして、熊男めがけて魔法を放った。そして、ざらぱぱも聖剣で熊男を叩き切る。
「くそっ!何故分かった?!グワッ」
熊男は見えない黒い靄を撒き散らしながらその場に倒れた。黒い靄は結界内に広がり、その一部はわたし目掛けて伸びてくる。だが、誰の目にもその靄は映ってはいない。ざらぱぱの突然の暴挙に会場は何事かとパニック寸前だ。
『フフ。私は運がいい。こんなところで再び会えるとはな』
頭の中に木霊した声。意識を刈り取られるわたし。
「二度も同じ手を食うか!!!」
ざらぱぱによって、わたしは意識を奪われる寸前で正気を取り戻した。そして、ざらぱぱがぶった切ったところから黒い靄が噴き出て見える。
「うわっ。何だありゃ?」
パニックがパニックを呼ぶ。
「狼狽えるな!それでも聖剣を手に入れようとする者か!」
騎士団長がパニックを押さえるために威厳のある声で叱責する。こちらはそんな余裕など微塵もない。
「容赦しません!!!」
りーぱぱもざらぱぱと同じく聖剣で的確に破壊神を切り刻んでいる。その度に黒い靄が噴き出す。ガルはわたしに聖剣を当ててわたしを取り込もうとする黒い靄からわたしを守ってくれる。ジャイたちも破壊神の気配と魔力を追うことに集中していた。
聖剣を持つ者たちが何もない空中に剣をふるい、何もない空中を凝視するという異常な光景を、聖剣に近い者は固唾をのみながら見守り、実力の及ばない者は訝しげな顔をし不審な視線を投げ掛けた。
そして、勝負は決した。
『何故だ?!何故、こうも容易く・・グハ・・・・。ハアハアハァ・・・・。チッ』
その言葉を最後に一瞬の後、破壊神の気配は無くなり、倒れた熊男だけが遺された。あたりは静寂に包まれる。
「聖剣を手にするということは、今私たちが相手にしていた目には見えない破壊神と対峙するということです。その気配と魔力だけを追い、留目を刺す。不用意に触れてしまえば、アンデットと化すでしょう。例え聖剣を持っていようとも、心に隙のある者は破壊神に見入られる。そして、これが破壊神に見入られた者の末路です」
りーぱぱはその場にいる冒険者や魔術師、騎士たちが見守る中、聖剣で熊男に触れた。熊男は光に包まれて散霧した。唖然とその光景を見つめる参加者。事の重大性を認識した者、決意を新たにした者、諦めた者、納得のいっていない者など様々だが、少なくとも破壊神の存在は認識されただろう。もう猶予はない。全員がそう思った。
だが・・・・。
その後、色々なところで破壊神の痕跡は見つかるものの、破壊神自らが表に出てくることはなかった。
「凄いね!」
お好み焼き、フランクフルト、ポップコーン、りんご飴、焼きそば、焼きとうもろこし等々、屋台料理を大量に特許登録した甲斐があるというものだ。ソースは商業ギルドが独占で卸している。射的、輪投げ、腕相撲、喧嘩コマ等といった娯楽も多数出展していて、お祭りを彷彿とさせる。懐かしいね。
「美味いな」
「いつの間に登録してたんだ?」
「へへへ。聖剣の日に来るって決まったとき♪だって、美味しいもの食べたい。それに、聖剣の周りは騎士がたくさんいて参加者以外はなかなか近づけないでしょ?お祭りなんだから楽しくしないとね!」
この世界は、春の豊穣祭・夏の女神祭・秋の収穫祭・冬の新年祭の4つのお祭りがある。わたしの感覚からいくと、とても少ない。こんなに長い暦を持っているんだから、もっとあってもいいはずだ。それに屋台もいつもの日常とさほど変わらない。だ・か・ら!他の登録商品とは違い、お祭り限定で特許使用料を無料にした。これで特別感が出たはずだ。わたしは輪投げに挑戦し、リアルすぎる猫のぬいぐるみを、ガルとざらぱぱは射的でりんご飴とポーションを手に入れた。ジャイたちはここぞとばかり、焼きそばやお好み焼きなどを買い漁っている。そして、みんなが満足した頃、漸く聖剣の日の会場へと足を運んだ。
「さて、わたしたちは見届け人ですから、ここで待機です」
目の前にはずらっと並ぶ筋肉たち。力試し、運試しで来ている人も多いようだ。ちらほらと魔術師の姿もある。
ゾゾッ
突然、背筋を這うような嫌な感覚がわたしを襲った。
「ん?」
ざらぱぱも何かを感じ取ったのか参加者に視線を投げている。
「どうしました?」
「シャナ?」
急に顔色の悪くなったわたしと警戒し始めたざらぱぱにりーぱぱとガルが訝しげな視線を向けてきた。
「何かいる」
「あのね。・・・・ゾッとするの。気持ち悪いの。怖い」
カタカタと震えだしたわたしにりーぱぱとガルも参加者へと視線を移した。ガルはわたしを抱え直してくれる。
「いるな」
「確かにいますね」
「どうした?」
わたしたちの警戒した様子にジャイが不思議そうな視線を寄越した。
「分かりませんか?この、何とも不気味な気配」
「「「???」」」
3人とも首を傾げている。
(いるよ!)
いつも寝ているスノウから突然念話が入った。本当によく寝ていて、起きるのは月に一度程度だ。スノウ曰く(本来なら卵にまだいる時期だから)だそうだ。そのスノウが目覚めた。
(何がいるか分かりますか?)
(破壊神!)
「「「なっ!」」」
思わず声が漏れてしまった。
(本当か、スノウ)
(ほんとだよ!この嫌な魔力。間違えないよ!)
(何処にいるか分かるか?)
(わかんな~い)
(乗っ取られた奴がいるってことだな?)
・・・・。
返事はない。スノウは寝てしまったらしい。それでいいのか?フェニックス。もう少し、頑張ってほしかった。
「ジャイ、クレー、シアン。この会場に破壊神の気配があります。おそらく身体を破壊神に乗っ取られた冒険者か魔術師がいます。何を仕掛けてくるか予想できません。警戒してください。シャナは神聖結界を」
「分かった」
でも、この結界も残念ながらわたしに入り込もうと、肉体を乗っ取ろうとする破壊神には効き目はない。わたしの魂に直接触れて力業で追い出そうとする。
「ガルド。何があってもシャナの魂を肉体から離さないように」
「分かってる!」
そして、時間になり聖剣の試し抜きが始まった。わたしが聖剣を抜くなんて心臓に悪いこともさせられたけれど、何事もなく最後の一人が目の前にいる。わたしの身体は勝手に震えだした。
(ヴク。り、りーぱぱ。こここのこの人だよよ)
聖剣に手をかける熊耳を生やした厳つい男。何処にでもいる冒険者らしい男だ。わたしたちは最大限に警戒しながら、その熊男が聖剣に手をかけるのを見守った。
あれ?
破壊神なのに聖剣に触れるの?
しかし・・・・。
「「「「「「「ウオーーーーー!!!」」」」」」」
「抜けたぜぇ~!」
会場が沸き返る。熊男は堂々と聖剣を掲げて見せ、誇らしげな顔をしている。りーぱぱ、ガル、ざらぱぱ、ジャイ、クレー、シアンは驚きを隠せずに困惑していた。
が・・・・。わたしの目には聖剣はクラスターに刺さっており、熊男は何も持ってはいない。
(りーぱぱ!騙されないで!あれ、幻影だから!)
(((!!!)))
(シャナ、神聖結界を張って!幻影を解いてください!)
りーぱぱの一言でわたしはわたしたちと熊男だけを覆うように大きめの神聖結界を張った。そして、熊男めがけて魔法を放った。そして、ざらぱぱも聖剣で熊男を叩き切る。
「くそっ!何故分かった?!グワッ」
熊男は見えない黒い靄を撒き散らしながらその場に倒れた。黒い靄は結界内に広がり、その一部はわたし目掛けて伸びてくる。だが、誰の目にもその靄は映ってはいない。ざらぱぱの突然の暴挙に会場は何事かとパニック寸前だ。
『フフ。私は運がいい。こんなところで再び会えるとはな』
頭の中に木霊した声。意識を刈り取られるわたし。
「二度も同じ手を食うか!!!」
ざらぱぱによって、わたしは意識を奪われる寸前で正気を取り戻した。そして、ざらぱぱがぶった切ったところから黒い靄が噴き出て見える。
「うわっ。何だありゃ?」
パニックがパニックを呼ぶ。
「狼狽えるな!それでも聖剣を手に入れようとする者か!」
騎士団長がパニックを押さえるために威厳のある声で叱責する。こちらはそんな余裕など微塵もない。
「容赦しません!!!」
りーぱぱもざらぱぱと同じく聖剣で的確に破壊神を切り刻んでいる。その度に黒い靄が噴き出す。ガルはわたしに聖剣を当ててわたしを取り込もうとする黒い靄からわたしを守ってくれる。ジャイたちも破壊神の気配と魔力を追うことに集中していた。
聖剣を持つ者たちが何もない空中に剣をふるい、何もない空中を凝視するという異常な光景を、聖剣に近い者は固唾をのみながら見守り、実力の及ばない者は訝しげな顔をし不審な視線を投げ掛けた。
そして、勝負は決した。
『何故だ?!何故、こうも容易く・・グハ・・・・。ハアハアハァ・・・・。チッ』
その言葉を最後に一瞬の後、破壊神の気配は無くなり、倒れた熊男だけが遺された。あたりは静寂に包まれる。
「聖剣を手にするということは、今私たちが相手にしていた目には見えない破壊神と対峙するということです。その気配と魔力だけを追い、留目を刺す。不用意に触れてしまえば、アンデットと化すでしょう。例え聖剣を持っていようとも、心に隙のある者は破壊神に見入られる。そして、これが破壊神に見入られた者の末路です」
りーぱぱはその場にいる冒険者や魔術師、騎士たちが見守る中、聖剣で熊男に触れた。熊男は光に包まれて散霧した。唖然とその光景を見つめる参加者。事の重大性を認識した者、決意を新たにした者、諦めた者、納得のいっていない者など様々だが、少なくとも破壊神の存在は認識されただろう。もう猶予はない。全員がそう思った。
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