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新しい試み
聖剣の日の憂鬱
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今日は楽しみにしていた聖剣の日。ジャイたちと冷やかし半分で皇都までやって来た。皇宮の門前に据えられた聖剣が存在感を放ち、ずらっと並んだ猛者たちは圧巻である。実に暑苦しい。わたしたちはというと、門の内側、聖剣の後ろに設えられた席に座り、高みの見物と洒落こんでいる。・・・・安全のために皇帝陛下が用意してくれたのだけれど、非常に目立つ。
「ガル、ちょっと目立ちすぎじゃない?」
「諦めろ。見届け人に指名されたからな。ここから動けない」
光水晶のクラスターは、皇帝陛下にしか動かせないみたいだから、盗まれる心配はないけど、その奥にでーん!と座っているわたしたちは、聖剣を抜きに来たみんなの注目の的だ。しかもガルもりーぱぱもざらぱぱも有名人で、ジャイもクレーもシアンも聖剣保持者として名を轟かせている。時々、「ザラムさんたちは自前の聖剣だろ?すげーよな!」などという称賛の声と眼差しの先にわたしまでいるんだから居たたまれない。
おかしいな。全然楽しくない・・・・。
「我こそは!!!という猛者たちよ。この聖剣の保持者たる資格を示せ!これより、始める!!!」
騎士団長の激励と共に試し抜きが始まった。クラスターの前にデン!と立ち、力任せに抜こうとする者、脇から勢いをつけて走り込み柄を握って抜き去ろうとする者、後ろ側から抜こうとする者などバラエティーに富んでいる。そんなことをしても抜けるわけがない。余興と思えば楽しめる、のか?りーぱぱなんて呆れて溜め息を吐いている。ざらぱぱは、爆笑だ。ジャイたちも苦笑しているし、騎士団長は失笑している。それくらい阿保が多いということだ。
「これ、本当に抜けるのかよ!詐欺じゃないのか?!!!」
半分くらいの人が試し終えたとこで、あまりの抜けなさに誰かが叫んだ。
「まさか!」
「だが、誰かが抜けるという保証もないぞ」
ざわざわと辺りが懐疑的な雰囲気になってきた。それこそ、今まで誰も抜けなかったんだからそういう考えに辿り着いたんだろう。でもジャイもクレーもシアンも持ってるし、わたしたちは出来たその日に試し抜きしている。
何を言っているんだと呆れた時、りーぱぱがにやっと愉しそうに笑ったのが目の端に写り込んだ。嫌な予感しかしない。
「では、抜けるという証拠を見せましょうか?」
りーぱぱの言葉に騒がしかった会場が静寂に包まれた。期待する熱~い視線がりーぱぱに注ぐ。
「ガルド」
りーぱぱではなく、ガルが抜くらしい。ガルは溜め息を吐いて、わたしをりーぱぱやざらぱぱに預けることなく抱き上げたまま聖剣の前に立った。
「ほら、シャナ抜け」
え?えええええええええぇ!!!!!
わたし?
ぎょっとしてりーぱぱとガルを交互に見るが、りーぱぱは愉しそうにしているだけだし、ガルは呆れたように顔を顰めている。わたしは聖剣を支える光水晶のクラスターの上に置かれた。
「ほら、さっさとしろ?」
ガルは背後に回った。
「リールさん、いくらなんでもそれは・・・・」とか「ぶっ!」とか失笑が聞こえてくる。時々、「嬢ちゃん!頑張れ!」などといったからかい半分の声援もある。ざらぱぱはにやにやとしているし、ジャイやクレーやジャイは興味深そうにしている。
ええ・・・・。
「りーぱぱが抜いてみればいいんじゃない?ジャイかクレーでもいいんだよ?あ、ざらぱぱ、やってみない?シアンもどう?」
試したくない。間違いなく抜けてしまう。
「私たちでは面白くないでしょう?ですから、シャナが試してくださいね?」
いや。面白くなくていいと思うの。聖剣が抜けるかどうか証明するためなんでしょう?
りーぱぱやガル、ざらぱぱを見つめるが、ダメらしい。誰も助けてくれない。
「んも~!!!仕方ないなぁ!抜くよ?!」
もう自棄だ。
「せい!」
聖剣は面白いくらいスッと抜けてしまった。持ち主に合わせて臨機応変に変わるから重くもなく手に馴染む。
「「「「「「「「・・・・」」」」」」」」
会場中の猛者たちが息を飲んだ。
「嘘だぁ~!!!!」
誰かが叫んだのを皮切りにざわめきが会場を包んでいく。
「偽物ではなかったでしょう?聖剣保持者としての条件を満たしていれば例え幼子であろうとも抜けるのですよ。少なくともこの子はあなた方よりレベルは上。強いということです」
わたしはさっさと聖剣をクラスターに戻し、ガルの腕に収まった。わたしに聖剣は要らない。なんなら自分専用を創ればいい。
「さあ。続けるぞ!」
騎士団長の一言でざわついていた会場が動き出した。中には棄権する人もいる。
(も~!りーぱぱ!酷い!)
ぷっくりと膨れたわたしの頬をつつきながらりーぱぱはにこやかに会場を眺めている。
(会場にあなたによからぬ視線を向ける者たちが複数いたものですからね。纏めて警告したかったんですよ)
ふえ~!気づかなかったよ。
(でもでも、一言いってほしかったの!)
(知らせるとシャナは挙動不審になるでしょう?)
それは否めない。
そんな念話をしていたら、最後の一人になっていた。その人が目の前にやって来たとき、わたしは底知れない恐怖に襲われた。
(ヴク。り、りーぱぱ。こここのこの人だよよ)
わたしは探していた人物を目の前にして動揺を隠せず、慌ててりーぱぱにお知らせした。わたしの身体はわたしの意思とは関係なくカタカタと震え始めた。
「ガル、ちょっと目立ちすぎじゃない?」
「諦めろ。見届け人に指名されたからな。ここから動けない」
光水晶のクラスターは、皇帝陛下にしか動かせないみたいだから、盗まれる心配はないけど、その奥にでーん!と座っているわたしたちは、聖剣を抜きに来たみんなの注目の的だ。しかもガルもりーぱぱもざらぱぱも有名人で、ジャイもクレーもシアンも聖剣保持者として名を轟かせている。時々、「ザラムさんたちは自前の聖剣だろ?すげーよな!」などという称賛の声と眼差しの先にわたしまでいるんだから居たたまれない。
おかしいな。全然楽しくない・・・・。
「我こそは!!!という猛者たちよ。この聖剣の保持者たる資格を示せ!これより、始める!!!」
騎士団長の激励と共に試し抜きが始まった。クラスターの前にデン!と立ち、力任せに抜こうとする者、脇から勢いをつけて走り込み柄を握って抜き去ろうとする者、後ろ側から抜こうとする者などバラエティーに富んでいる。そんなことをしても抜けるわけがない。余興と思えば楽しめる、のか?りーぱぱなんて呆れて溜め息を吐いている。ざらぱぱは、爆笑だ。ジャイたちも苦笑しているし、騎士団長は失笑している。それくらい阿保が多いということだ。
「これ、本当に抜けるのかよ!詐欺じゃないのか?!!!」
半分くらいの人が試し終えたとこで、あまりの抜けなさに誰かが叫んだ。
「まさか!」
「だが、誰かが抜けるという保証もないぞ」
ざわざわと辺りが懐疑的な雰囲気になってきた。それこそ、今まで誰も抜けなかったんだからそういう考えに辿り着いたんだろう。でもジャイもクレーもシアンも持ってるし、わたしたちは出来たその日に試し抜きしている。
何を言っているんだと呆れた時、りーぱぱがにやっと愉しそうに笑ったのが目の端に写り込んだ。嫌な予感しかしない。
「では、抜けるという証拠を見せましょうか?」
りーぱぱの言葉に騒がしかった会場が静寂に包まれた。期待する熱~い視線がりーぱぱに注ぐ。
「ガルド」
りーぱぱではなく、ガルが抜くらしい。ガルは溜め息を吐いて、わたしをりーぱぱやざらぱぱに預けることなく抱き上げたまま聖剣の前に立った。
「ほら、シャナ抜け」
え?えええええええええぇ!!!!!
わたし?
ぎょっとしてりーぱぱとガルを交互に見るが、りーぱぱは愉しそうにしているだけだし、ガルは呆れたように顔を顰めている。わたしは聖剣を支える光水晶のクラスターの上に置かれた。
「ほら、さっさとしろ?」
ガルは背後に回った。
「リールさん、いくらなんでもそれは・・・・」とか「ぶっ!」とか失笑が聞こえてくる。時々、「嬢ちゃん!頑張れ!」などといったからかい半分の声援もある。ざらぱぱはにやにやとしているし、ジャイやクレーやジャイは興味深そうにしている。
ええ・・・・。
「りーぱぱが抜いてみればいいんじゃない?ジャイかクレーでもいいんだよ?あ、ざらぱぱ、やってみない?シアンもどう?」
試したくない。間違いなく抜けてしまう。
「私たちでは面白くないでしょう?ですから、シャナが試してくださいね?」
いや。面白くなくていいと思うの。聖剣が抜けるかどうか証明するためなんでしょう?
りーぱぱやガル、ざらぱぱを見つめるが、ダメらしい。誰も助けてくれない。
「んも~!!!仕方ないなぁ!抜くよ?!」
もう自棄だ。
「せい!」
聖剣は面白いくらいスッと抜けてしまった。持ち主に合わせて臨機応変に変わるから重くもなく手に馴染む。
「「「「「「「「・・・・」」」」」」」」
会場中の猛者たちが息を飲んだ。
「嘘だぁ~!!!!」
誰かが叫んだのを皮切りにざわめきが会場を包んでいく。
「偽物ではなかったでしょう?聖剣保持者としての条件を満たしていれば例え幼子であろうとも抜けるのですよ。少なくともこの子はあなた方よりレベルは上。強いということです」
わたしはさっさと聖剣をクラスターに戻し、ガルの腕に収まった。わたしに聖剣は要らない。なんなら自分専用を創ればいい。
「さあ。続けるぞ!」
騎士団長の一言でざわついていた会場が動き出した。中には棄権する人もいる。
(も~!りーぱぱ!酷い!)
ぷっくりと膨れたわたしの頬をつつきながらりーぱぱはにこやかに会場を眺めている。
(会場にあなたによからぬ視線を向ける者たちが複数いたものですからね。纏めて警告したかったんですよ)
ふえ~!気づかなかったよ。
(でもでも、一言いってほしかったの!)
(知らせるとシャナは挙動不審になるでしょう?)
それは否めない。
そんな念話をしていたら、最後の一人になっていた。その人が目の前にやって来たとき、わたしは底知れない恐怖に襲われた。
(ヴク。り、りーぱぱ。こここのこの人だよよ)
わたしは探していた人物を目の前にして動揺を隠せず、慌ててりーぱぱにお知らせした。わたしの身体はわたしの意思とは関係なくカタカタと震え始めた。
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