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プロローグ
やっぱりそうなったかぁ
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ここベルヌール魔法学院では、4年間の学院生活の締め括りである卒業式を終え、身分を超えた交流の出来る学院最後のパーティーが開かれていた。煌びやかな大ホールは、ふわふわと何処か浮き足立った雰囲気に包まれている。そんな中、在校生の俺も楽しそうにしている己の婚約者、いや、既に伴侶となっている愛おしい女性を視界に入れつつ、友人との会話に花を咲かせていた。
「お前も婿入りだったよな?」
「ああ。入籍は昨日済ませた。式は卒業後だ」
「昨日?!俺たちの卒業は2年後だぞ?」
「ルナはまだ3年ある。あっちの祖父さんが『いつ死ぬか分からんから、さっさと婿にこい』ってさ。まあ、変な横やりを入れられるのも面倒だし、いいかなと思って」
「そういえば、当主は彼女のお祖父様だったな。よくルナベール嬢が承知したな?」
「書類上だけだし、生活は俺の卒業まで今のままっていう条件付きでね。あっ、ついでに王位継承権も放棄して、王族籍も抜けてきた」
「は?!やること早すぎないか?」
俺の名はバウンキース。この国の第3王子だったりする。実は、前世と呼ばれる頃の記憶がある。それについては追々。一緒に居るのは、悪友である伯爵家の三男でライティス。まあ、こいつが驚くのも当然だ。普通は、王太子に子供が出来るまでは王位継承権は放棄させないし、王族から離脱するのは父である国王が退位した時である。優秀な兄を補佐するべく、兄の卒業と同時に臣下へくだることにした、というのは建前で、王族なんていう面倒な立場から一刻も早く離脱したかったというのが本音だったりする。
そんな他愛のないやりとりをしていると、突然、大きな声が会場に響いた。
「アンジェリーナ・グラウリッヒ公爵令嬢!出て来い!!!」
腕に頭の軽そうな隣国の王女殿下をぶら下げて、おめでたい空気に水を差すのは、我が異母兄ネルロワイエだ。側近たちもふたりを取り巻くようにいる。知っていたとはいえ、やはり始まってしまったか、と軽く溜め息が出てしまった。一応、同母とされている兄レンディールを視線だけで探すと、今、大声で呼ばれたアンジェリーナ嬢を伴い、学友たちと談笑していたようだ。
「ネルロワイエ。折角のお目出度い場でそのように大声で叫ぶなど。品位を疑うような真似をして、王族のひとりとして恥ずかしいよ」
レン兄様の異母弟に向ける視線は、氷河のように冷たく鋭い。それを見届けて、そっと場所を移動した。もちろん最愛の妻の隣に。何が起こるか予想がつかないんだから当然だ。ライティスも婚約者のところにいる。近くに居た者たちは、静かに、でも、速やかに4人から離れて、そこに異様な空間が出来上がった。
「あ、兄上。なぜ、兄上がアンジェリーナと?」
「アンジュは卒業する私のパートナーだが?」
「ふん!俺のパートナーに選ばれなかったから、今度は兄上に媚びを売っているのか!この売女が。恥を知れ!それに。俺が知らないとでも思っているのか?俺の婚約者と言うことを笠に着て、小国とはいえ、一国の王女であるミナレアを執拗に虐めるなど、それこそ品位を疑うわ!お前のような悪女は王妃に相応しくない。よって、お前との婚約はこの場にて破棄する!」
言っちゃったよ。しかも、まだ婚約者でもないアンジェリーナ嬢に婚約破棄とか、ネルロワイエ異母兄の頭の中はどうなってるんだ?周りの令息令嬢ですら分かっているのに・・・・。ネルロワイエ異母兄の側近候補たちのどや顔は・・・・仕方ない。俺がそう思い込むようにしたからな。しかし、父様は何の宣言も出してないんだから、分かりそうなものなんだけど。王妃派って、馬鹿の集まり?
「お前も婿入りだったよな?」
「ああ。入籍は昨日済ませた。式は卒業後だ」
「昨日?!俺たちの卒業は2年後だぞ?」
「ルナはまだ3年ある。あっちの祖父さんが『いつ死ぬか分からんから、さっさと婿にこい』ってさ。まあ、変な横やりを入れられるのも面倒だし、いいかなと思って」
「そういえば、当主は彼女のお祖父様だったな。よくルナベール嬢が承知したな?」
「書類上だけだし、生活は俺の卒業まで今のままっていう条件付きでね。あっ、ついでに王位継承権も放棄して、王族籍も抜けてきた」
「は?!やること早すぎないか?」
俺の名はバウンキース。この国の第3王子だったりする。実は、前世と呼ばれる頃の記憶がある。それについては追々。一緒に居るのは、悪友である伯爵家の三男でライティス。まあ、こいつが驚くのも当然だ。普通は、王太子に子供が出来るまでは王位継承権は放棄させないし、王族から離脱するのは父である国王が退位した時である。優秀な兄を補佐するべく、兄の卒業と同時に臣下へくだることにした、というのは建前で、王族なんていう面倒な立場から一刻も早く離脱したかったというのが本音だったりする。
そんな他愛のないやりとりをしていると、突然、大きな声が会場に響いた。
「アンジェリーナ・グラウリッヒ公爵令嬢!出て来い!!!」
腕に頭の軽そうな隣国の王女殿下をぶら下げて、おめでたい空気に水を差すのは、我が異母兄ネルロワイエだ。側近たちもふたりを取り巻くようにいる。知っていたとはいえ、やはり始まってしまったか、と軽く溜め息が出てしまった。一応、同母とされている兄レンディールを視線だけで探すと、今、大声で呼ばれたアンジェリーナ嬢を伴い、学友たちと談笑していたようだ。
「ネルロワイエ。折角のお目出度い場でそのように大声で叫ぶなど。品位を疑うような真似をして、王族のひとりとして恥ずかしいよ」
レン兄様の異母弟に向ける視線は、氷河のように冷たく鋭い。それを見届けて、そっと場所を移動した。もちろん最愛の妻の隣に。何が起こるか予想がつかないんだから当然だ。ライティスも婚約者のところにいる。近くに居た者たちは、静かに、でも、速やかに4人から離れて、そこに異様な空間が出来上がった。
「あ、兄上。なぜ、兄上がアンジェリーナと?」
「アンジュは卒業する私のパートナーだが?」
「ふん!俺のパートナーに選ばれなかったから、今度は兄上に媚びを売っているのか!この売女が。恥を知れ!それに。俺が知らないとでも思っているのか?俺の婚約者と言うことを笠に着て、小国とはいえ、一国の王女であるミナレアを執拗に虐めるなど、それこそ品位を疑うわ!お前のような悪女は王妃に相応しくない。よって、お前との婚約はこの場にて破棄する!」
言っちゃったよ。しかも、まだ婚約者でもないアンジェリーナ嬢に婚約破棄とか、ネルロワイエ異母兄の頭の中はどうなってるんだ?周りの令息令嬢ですら分かっているのに・・・・。ネルロワイエ異母兄の側近候補たちのどや顔は・・・・仕方ない。俺がそう思い込むようにしたからな。しかし、父様は何の宣言も出してないんだから、分かりそうなものなんだけど。王妃派って、馬鹿の集まり?
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