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幼年期編
バグってる?
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普通に生活できるようになって、俺はあまりしゃべらなくなった。いや、あの舌っ足らずなしゃべり方は、結構ストレスだし、意外と難しいのだ。常にそばに居るリザベートたちとマリーテレーズを巻いて、俺は木の上で今後のことを考えていた。最近はここに居ることが多い。
「さて、このままだとこの国は将来後継者争いで内乱になるんだけど、どうしたもんかなぁ。国が乗っ取られるしなぁ」
『幸せになるのはだぁれ?』は、共通の物語の部分と、その後分岐して、選択肢に指定されたページを読み進めると全て違う物語が展開していくという仕様だった。乙女ゲームをイメージしたつもりなのだろう。
マリーテレーズが死んでいない現在、物語の通りに進むとは限らない。あるいは、強制力が働けば、この先マリーテレーズが死ぬ可能性もゼロではないのだ。これを避け、後継者争いをさせないために、父である陛下にどう進言すべきか。まだ、4歳だということがとてもネックになっている。4歳児の言うことなど、信じるか?俺としては、早々にカミングアウトして、自由を手に入れたい。何と言ってもこの世界には魔力があり、それを媒介に魔法が使えるのだ。使いたい。使いたい。使いた~い。俺の魔力属性は、物語の中では風だったが、今の俺の魔力属性は闇だ。基本属性である火、風、水、土、光、影のどれにも当てはまらない。物語の中にこの属性は存在しなかった。魔法が使いたくて、体内の魔力で遊ぶことに集中していたら、自然と自分の属性が頭の中に浮かび上がってきたのだ。これも物語には書かれていなかったが、普通ではないな。普通は、6歳に神殿で調べてもらう。
俺、ちょっとバグり始めてる?
「バウンキース殿下。陛下がお呼びです。降りて来てください」
俺がここに居ることは、護衛にはバレていたらしい。もしかしたら、何らかの魔法を使ったのかもしれないが。まあ、王子が行方不明とかあり得ないわな。ぴよーんと飛び降りると、その護衛は危なげなく受け止めてくれた。そして、降ろされるかと思いきやそのまま抱き上げられて父の執務室に運び込まれたのだった。
「来たな」
その部屋にいたのは、父である国王陛下と側妃様、宰相閣下と騎士団長、魔法師団長、それにオーシャック侯爵の6人。何故このメンツなのか?頭が追いつかず、ポカンと部屋の中を眺めてしまった。
「どうした?」
どうした?って。知らないおじさんが沢山いるところにいきなり放り込まれれば、怖いだろ?俺、4歳児だよ。あっ、そうか。普通なら両親が居れば、おじさんたちに気付くより早くそこに突進していくのが4歳児だわ。そのことに気付いても既に手遅れだ。どうしたらいい?固まったまま冷や汗をかいていると救いの手が差し伸べられた。
「キース、こちらにいらっしゃい」
側妃様のその言葉に一目散にそこに駆けていった。側妃様は、俺に視線を合わせて、優しく頭を撫でてくれる。
「最近、マリーと一緒にいないと聞きました。いつもひとりでいて、お喋りもしなくなったと。マリーが嫌いになりましたか?」
俺は、ブンブンと首を横に振った。
「レンもあなたに会うことがないと心配しています。わたくしのところにも来てくれないのは、あなたが魔法を使っていることがその理由ですか?」
さっき引っ込んだ冷や汗がまた吹き出した。バレてるし。内緒でこっそり闇属性の検証をしていたんだけど、何処でバレた?
「バウンキース」
父の重たい一声に俺は腹を括った。
「さて、このままだとこの国は将来後継者争いで内乱になるんだけど、どうしたもんかなぁ。国が乗っ取られるしなぁ」
『幸せになるのはだぁれ?』は、共通の物語の部分と、その後分岐して、選択肢に指定されたページを読み進めると全て違う物語が展開していくという仕様だった。乙女ゲームをイメージしたつもりなのだろう。
マリーテレーズが死んでいない現在、物語の通りに進むとは限らない。あるいは、強制力が働けば、この先マリーテレーズが死ぬ可能性もゼロではないのだ。これを避け、後継者争いをさせないために、父である陛下にどう進言すべきか。まだ、4歳だということがとてもネックになっている。4歳児の言うことなど、信じるか?俺としては、早々にカミングアウトして、自由を手に入れたい。何と言ってもこの世界には魔力があり、それを媒介に魔法が使えるのだ。使いたい。使いたい。使いた~い。俺の魔力属性は、物語の中では風だったが、今の俺の魔力属性は闇だ。基本属性である火、風、水、土、光、影のどれにも当てはまらない。物語の中にこの属性は存在しなかった。魔法が使いたくて、体内の魔力で遊ぶことに集中していたら、自然と自分の属性が頭の中に浮かび上がってきたのだ。これも物語には書かれていなかったが、普通ではないな。普通は、6歳に神殿で調べてもらう。
俺、ちょっとバグり始めてる?
「バウンキース殿下。陛下がお呼びです。降りて来てください」
俺がここに居ることは、護衛にはバレていたらしい。もしかしたら、何らかの魔法を使ったのかもしれないが。まあ、王子が行方不明とかあり得ないわな。ぴよーんと飛び降りると、その護衛は危なげなく受け止めてくれた。そして、降ろされるかと思いきやそのまま抱き上げられて父の執務室に運び込まれたのだった。
「来たな」
その部屋にいたのは、父である国王陛下と側妃様、宰相閣下と騎士団長、魔法師団長、それにオーシャック侯爵の6人。何故このメンツなのか?頭が追いつかず、ポカンと部屋の中を眺めてしまった。
「どうした?」
どうした?って。知らないおじさんが沢山いるところにいきなり放り込まれれば、怖いだろ?俺、4歳児だよ。あっ、そうか。普通なら両親が居れば、おじさんたちに気付くより早くそこに突進していくのが4歳児だわ。そのことに気付いても既に手遅れだ。どうしたらいい?固まったまま冷や汗をかいていると救いの手が差し伸べられた。
「キース、こちらにいらっしゃい」
側妃様のその言葉に一目散にそこに駆けていった。側妃様は、俺に視線を合わせて、優しく頭を撫でてくれる。
「最近、マリーと一緒にいないと聞きました。いつもひとりでいて、お喋りもしなくなったと。マリーが嫌いになりましたか?」
俺は、ブンブンと首を横に振った。
「レンもあなたに会うことがないと心配しています。わたくしのところにも来てくれないのは、あなたが魔法を使っていることがその理由ですか?」
さっき引っ込んだ冷や汗がまた吹き出した。バレてるし。内緒でこっそり闇属性の検証をしていたんだけど、何処でバレた?
「バウンキース」
父の重たい一声に俺は腹を括った。
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