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番外編
私の弟は何かを間違えている
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「そう言えば、父上から聞いたんだが、キース。ルナベール嬢に女性の嗜みを教えているそうだな」
「女性の嗜み?なんだ、それは?」
久し振りに私の部屋にナージュとキースを呼んで、他愛ない話で盛り上がりつつ、お互いの婚約者のことを惚気ている時、ふと父上の言葉を思い出して聞いてみた。
「ん?月のものの話?それともコルセットの話?ああ、初夜をスムーズに迎える準備のことかな?」
「「・・・・・・はあ?!」」
事もなげに言うキースだが、恥じらいはないのか?!
「お前、そ、そそそそそんな、そんな、そんな話!」
こういうことに疎いナージュは顔を真っ赤にして、どもってしまった。かく言う私も、口をパクパクしてはいるが、言葉にならない。まさか、女性の嗜みが、そんな、あからさまな事だとは思いもよらなかった。
「え?どれも重要だよね?特にレン兄様やナージュは、跡継ぎ必要でしょ?俺もだけど」
「それは!だが、そ、それとこれは別だろう?」
初夜はともかく、どうしたら跡継ぎと繋がるのか、キースの思考回路は理解不能だ。
「何言ってるの?月のものが来なきゃ、子供なんて出来ないし、コルセットは不妊の原因になるし。頭の固いご年配以外は、今や夜会でなきゃコルセットはしてないよ?」
「だ、だが、そんなもの女性同士、母上や侍女が教えることだろう。何故キースが・・・・」
「だって、ルナの初潮に気付いて処理したの、俺だもん。それから、ずっと、ルナに月のものが来ると不快にならないように洗浄してるよ」
いや、本当に、弟が何を言っているのか、理解できない。私は、落ち着くためにも紅茶を一口口に含んだ。
「下着も可愛いのが増えたよねぇ。俺の選んだの穿いてるの見ると、愛情が止まらなくなりそう」
「ぶふぅっ」
飲み込む前に更なる打撃を与えられて、思わず吹き出してしまった。キースがさっと辺りを洗浄しているが、それどころではない。
「レン兄様、汚い」
「な、なんで、キースがそんなこと知ってるんだよ?!まさか、ルナベール嬢のを直接見たとか言わないよな?!まだ、俺たち、婚姻前だぞ?!」
ナージュの言う通りだ。私たちはまだ、婚姻前だ。見ることなど叶わないはず・・・・。
「見たよ?」
そんな不思議そうに首を傾げられても・・・・。そもそも、どうやって見たというんだ???おかしいだろう?
「ハァ。あのねぇ。俺はルナを逃がすつもりはない。ルナのことは全部知りたいし、ルナの身に着けるものは全部用意したいの。男なら愛してる女性が目の前にいて、触れたいと思わないはずないよな?俺はルナにそれを隠さない。だから、ルナに直接触れたいときにはそう言うし。ルナも恥ずかしがりながらも嬉しそうだから好きなだけ触れてる。それに、初夜にはルナもちゃんと気持ちよくなって、受け入れて欲しいからちょっとずつ、慣らしてるっていうのもある。あっ、最後の一線は越えてないよ、もちろん」
呆気にとられるとはこのことだろう。キースが、私たちの前で平気でルナベール嬢のいろいろな場所に口づけるのは見てきたけれど、まさか、それはほんの序の口だった?
「なら、慣らす?最後の一線?」
ナージュは、倒れていないのが不思議なくらい真っ赤な顔で、茹で上がっている。
「まさかとは思うけど、教本の通りに突っ込めばいいとか思ってないよね?閨ごとを負担に思われたら、子作り以外で触れさせてもらえなくなるよ。ププププ」
「「ち、違うのか?!」」
ナージュは分かりやすく取り乱した。何と言うことだ。キースの馬鹿にしたような笑い方には腹が立つが、違うのか?!実技を受けておくべきだったか?いや、アンジュ以外に触れるなど不快なだけだ。アンジュの・・・・。想像だけで鼻血が出そうだ。
そこから、キースによる実践を想定した閨の講座その1が始まった。これを許可を取った上で、少しずつ施していけと言う。マジか?!ハードルが高すぎる・・・・。
「初夜に鼻血を出して倒れそうだから、慣れさせて欲しいと言えば、断れないさ」
翌日から、私とナージュの過酷な日々が始まった。恥ずかしがるアンジュが可愛いすぎる。お蔭で、初日は、本当に鼻血が垂れてアンジュに心配されるという愚を犯してしまった。うん。何も知らずに初夜を迎えていたら、暫く白い結婚になってたかもな。私たちがお互いに触れることに少し慣れてきた頃を見計らって、閨の講座その2が始まった。その一環として、キースが持ち込んだ女性用の下着の数々に、私とナージュは目が離せなくなってしまった。これをキースがデザインしているというのだから、我が弟ながら、何処かおかしいだろうと気が遠くなりそうだ。父上の気持ちが少し分かった気がする。
そんな私たちに戸惑ったアンジュとマリーがルナベール嬢に突撃しているなど、知るよしもなかった。
~END~
最後までお読みいただき、ありがとうございました\(^o^)/
「女性の嗜み?なんだ、それは?」
久し振りに私の部屋にナージュとキースを呼んで、他愛ない話で盛り上がりつつ、お互いの婚約者のことを惚気ている時、ふと父上の言葉を思い出して聞いてみた。
「ん?月のものの話?それともコルセットの話?ああ、初夜をスムーズに迎える準備のことかな?」
「「・・・・・・はあ?!」」
事もなげに言うキースだが、恥じらいはないのか?!
「お前、そ、そそそそそんな、そんな、そんな話!」
こういうことに疎いナージュは顔を真っ赤にして、どもってしまった。かく言う私も、口をパクパクしてはいるが、言葉にならない。まさか、女性の嗜みが、そんな、あからさまな事だとは思いもよらなかった。
「え?どれも重要だよね?特にレン兄様やナージュは、跡継ぎ必要でしょ?俺もだけど」
「それは!だが、そ、それとこれは別だろう?」
初夜はともかく、どうしたら跡継ぎと繋がるのか、キースの思考回路は理解不能だ。
「何言ってるの?月のものが来なきゃ、子供なんて出来ないし、コルセットは不妊の原因になるし。頭の固いご年配以外は、今や夜会でなきゃコルセットはしてないよ?」
「だ、だが、そんなもの女性同士、母上や侍女が教えることだろう。何故キースが・・・・」
「だって、ルナの初潮に気付いて処理したの、俺だもん。それから、ずっと、ルナに月のものが来ると不快にならないように洗浄してるよ」
いや、本当に、弟が何を言っているのか、理解できない。私は、落ち着くためにも紅茶を一口口に含んだ。
「下着も可愛いのが増えたよねぇ。俺の選んだの穿いてるの見ると、愛情が止まらなくなりそう」
「ぶふぅっ」
飲み込む前に更なる打撃を与えられて、思わず吹き出してしまった。キースがさっと辺りを洗浄しているが、それどころではない。
「レン兄様、汚い」
「な、なんで、キースがそんなこと知ってるんだよ?!まさか、ルナベール嬢のを直接見たとか言わないよな?!まだ、俺たち、婚姻前だぞ?!」
ナージュの言う通りだ。私たちはまだ、婚姻前だ。見ることなど叶わないはず・・・・。
「見たよ?」
そんな不思議そうに首を傾げられても・・・・。そもそも、どうやって見たというんだ???おかしいだろう?
「ハァ。あのねぇ。俺はルナを逃がすつもりはない。ルナのことは全部知りたいし、ルナの身に着けるものは全部用意したいの。男なら愛してる女性が目の前にいて、触れたいと思わないはずないよな?俺はルナにそれを隠さない。だから、ルナに直接触れたいときにはそう言うし。ルナも恥ずかしがりながらも嬉しそうだから好きなだけ触れてる。それに、初夜にはルナもちゃんと気持ちよくなって、受け入れて欲しいからちょっとずつ、慣らしてるっていうのもある。あっ、最後の一線は越えてないよ、もちろん」
呆気にとられるとはこのことだろう。キースが、私たちの前で平気でルナベール嬢のいろいろな場所に口づけるのは見てきたけれど、まさか、それはほんの序の口だった?
「なら、慣らす?最後の一線?」
ナージュは、倒れていないのが不思議なくらい真っ赤な顔で、茹で上がっている。
「まさかとは思うけど、教本の通りに突っ込めばいいとか思ってないよね?閨ごとを負担に思われたら、子作り以外で触れさせてもらえなくなるよ。ププププ」
「「ち、違うのか?!」」
ナージュは分かりやすく取り乱した。何と言うことだ。キースの馬鹿にしたような笑い方には腹が立つが、違うのか?!実技を受けておくべきだったか?いや、アンジュ以外に触れるなど不快なだけだ。アンジュの・・・・。想像だけで鼻血が出そうだ。
そこから、キースによる実践を想定した閨の講座その1が始まった。これを許可を取った上で、少しずつ施していけと言う。マジか?!ハードルが高すぎる・・・・。
「初夜に鼻血を出して倒れそうだから、慣れさせて欲しいと言えば、断れないさ」
翌日から、私とナージュの過酷な日々が始まった。恥ずかしがるアンジュが可愛いすぎる。お蔭で、初日は、本当に鼻血が垂れてアンジュに心配されるという愚を犯してしまった。うん。何も知らずに初夜を迎えていたら、暫く白い結婚になってたかもな。私たちがお互いに触れることに少し慣れてきた頃を見計らって、閨の講座その2が始まった。その一環として、キースが持ち込んだ女性用の下着の数々に、私とナージュは目が離せなくなってしまった。これをキースがデザインしているというのだから、我が弟ながら、何処かおかしいだろうと気が遠くなりそうだ。父上の気持ちが少し分かった気がする。
そんな私たちに戸惑ったアンジュとマリーがルナベール嬢に突撃しているなど、知るよしもなかった。
~END~
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