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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第4世 「もの」
しおりを挟む俺の1番好きだったゲーム…
それは、"マインドクラフト"だ。
「よし、脳内ノート…想像しただけで世界が作れるんだよな?」
ただの荒野が広がる惑星アンビション。
俺はそこに降り立つと、すぐ想像を始め、
正四角形のブロックだけでできた
"あの"世界に似たブロック世界を作った。
「おぉ!本当に"あの"世界に生きてる!」
ちゃんと想像した通りの世界だった。
最初はこの世界で、プレイヤーとして、
ただゲームを遊ぶように作っていけば良い。
「そうだよ、世界ってのは1人が作るもんじゃない。そこに生きる全ての"者"が作り出す。」
だから異世界としてはこれで完成だ!
って事で、俺の転生物語も終了!
これで異世界はできたし、後はプレイヤーとなる転生者達を待てば…
「ヘルプです。創夢様。これで終わる気でしょうか?」
あのAIの声だ。
「あ?あー、シリか、
そうだ!だって世界はとりあえず1つ完成しただろ?
なんか、ダメなのか?」
「はい、異世界というのは作れば良いというものではありません。
目的は"転生者が人生を全うできるかどうか"
にあります。つまり、これで完成というのであれば、この世界を自ら攻略し、無事平和に暮らせるという事を証明しなくてはなりません。
ゲームを作った者が一度攻略できるのかを確かめるようにです。」
「えー、そうか。そんなの聞いてないな。
で、マインドクラフトを攻略ってなんだ?
まさか…スレンダードラゴンを倒す事か?」
「それは分かりませんが、転生者と同じ条件の体になる転生者状態と現在の創造者状態は切り替えが可能です。
完成なのであれば、
なるべく転生者状態でお挑みください。」
「なんだ、そうか。
じゃあこんな神みたいな力持ってても、
結局攻略する時は
転生者モードになって死んだりするんだな」
「はい、なお創造者状態の力を使い、その影響でこの世界を攻略したと判断された際は1からやり直さなければなりません。
やり直しを断れば世界は無効となります。」
「はぁーん、そっかぁー、なんだよぉ。」
めんどくさそうな顔をした。
すると後ろから誰かが話に入って来た。
「ハァーン」
「うわぁ!びっくりした!誰だ!」
そうして振り返る。
「ハァーン」
そこには聞き馴染みのある声を出す、見慣れたブロック姿のおじさんがいた。
そして、村もあった。
「えぇぇ!村人だ!」
「ハァーン」
「あの…ファンです…」
「ファーン」
はぁ、生で会えるとは思わなかった…
ゲームの中だけの存在。
興奮して話しかける。
だけど、何も動じない村人。
そんな彼らの考え無しの顔を見ながら思う。
あれ?これって…
話も通じない訳だし、こいつらには魂とかは無いのか?
「ハイシリ!こいつらはどういう位置付けの生命体になる?」
「はい、ヘルプです。彼らのような脳内ノートの複製により生まれた生命体は無魂生命体と呼ばれ、星や、無機物体などと同じ様にあつか…」
「あー…なぁ、頼む、
毎度分かりやすく言ってくれ。」
「了解しました。簡潔に言うと、彼らはあなた達で言うところの"物"です。」
「も、物?なるほど…」
理解力の低い俺の説明だと。
外部からやって来る魂、
それがこもったプレイヤー的、"者"と違い、
俺がスマホや惑星を出したのと同じように、
内部で作られただけの"物"になるという事のようだ。
「そりゃゲーム同様話が通じない訳だ。」
「ハァーン」
「だけど、
こいつら見つけちゃったら夜が来る前に村を囲わないと…ダメなんじゃ…」
「フン」
「いや、でも、まぁ良いか、
村なんていくらでもあるよな、
ここくらいゾンビに襲われても…」
「ハァァーン」
「分かったよ。全く…そんな声出されるとなぁ…
せめて言葉くらいは話せるようになってくれよなぁ…」
悲しいのか怒ってるのかよく分からないその声を聞いて、すぐ柵を作るための木を切りに向かってやった。
はぁ、マインドクラフトが好きって言っときながら、俺がしてた頃はきっと最新版じゃ無いし、
新しい要素とか、知らない事も多いだろうに、
こんなので本当に進めて行けるのだろうか…。
◽︎第4話用語解説
・マインドクラフト
正四角形のブロック素材だけで自由に世界を作っていくゲーム。
・スレンダードラゴン
マインドクラフト内のラスボスとも言える、暗い紫色の鱗に覆われるドラゴン。
・転生者状態
その世界に世界の住人としてその条件内で生きる者。
地球であれば、人として酸素で呼吸し、普通の体で生きる。
とある異世界であれば、エルフとして、魔素で呼吸し、魔法を使える体で生きる。などである。
・創造者状態
その世界を扱う側であり、どんな事でも可能。世界の条件を決める役。
・世界の審査
異世界作成において、これで世界は完成!と決めてから、世界を自ら攻略する、または、攻略できると証明する。など、とにかく転生者の魂を送っても問題無い事を証明できれば、転生者魂を迎え入れ、異世界として認証されるようになる。
・無魂生命体
むこんせいめいたい。は、地球で言う石や鉄などの魂の込められていない"物"と同じ状態なのに、独立して動いたり、生命体と同じ動きや働きをする物の事を言う。
その為、決まった動きを繰り返す事がほとんどであり、その異世界の創造者の予想外の行動を起こす事はほぼあり得ない。
なお、これらに転生者の魂が入る事はあり得るが、異世界の為、転生者以外の魂がこもる事は無く、
まるで魂を持つような行動を起こせば、それは自ら魂をその場で生み出したという奇跡が起きた事になる。
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