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むかしのはなし
地獄の日々
しおりを挟む結論を言おう。
中学校生活の日々は地獄だった。
真面目に授業をせず大きな声で騒ぐ不良ども。大して親しくもないのに色目を使ってしなだれかかってくるギャル。急に廊下で喧嘩を始めるゴロツキ。萎縮して注意もできない教師たち。モヒカンというとんでもなく時代遅れの髪型をしているクラスメイト。……いやこいつに関してはそんなに悪い記憶はないけど…。
ともかく、それ以外のどれもこれもが不快で…正直とても怖かった。
なぜこんな学校に来てしまったのかと不憫に思うほど真面目な生徒がいじめられているのを見て、助けたいより自分がああなったらどうしようとばかり考えてしまう。
チャラ男を演じるために好きでもない女と出かけて、事後感を出すために夜に寝ずに起きたままでいて授業中は気だるそうにするかずっと寝て、つるんだことも無いパンピーな奴らと昼飯を食ったりと気が休まることが全くと言っていいほどなく、俺は家で何度か倒れてしまった。
そのせいで学校に行けない日もあったが、むしろそのおかげでチャラ男というのに信憑性がでて結果オーライではあった。
まあこれも俺が普通にコミュ力、メンタル強強の子供だったからできたことである。しゃべり方は確かに変えたが、喋る内容なんかは特に変えてないしな。俺は元から女の子も男の子も外見であり中身でありいいなと思ったらすぐ褒めるタイプだ。
ただガチめに俺の貞操を奪おうとしてくる女や…男には本当に苦労した…。チャラ男はやっぱり軽く思われがちなのか一晩だけでいいから遊んでなんてことを言われるのは日常茶飯事。最初はもう焦りすぎて興味無いキャラで突き通してたが、もしかして童貞?笑なんてからかわれ、いじめフラグが立ってしまったのであしらい方も実践で学んで行き、3年になる頃には手馴れたものになっていた。どうあしらったかは聞かないで欲しい………。
チャラ男は一日にしてならず…そんなくだらないことを考えてしまうほど参っていた時、たまたま目に入ったチラシがあった。
それは全寮制で超金持ち学校、しかも男子校のオープンスクールのチラシだった。たしかに全寮制は魅力的だが、それだけでは惹かれなかっただろう。そう、このチラシはそれだけではなかったのだ。それには俺の理想のような条件が乗っていた。
ひとつは特待生制度。なんと成績上位者になるといろんな援助を受けることが出来、成績上位になれば授業料と寮代が全額無料。そう、タダなのである。シングルファザーである父の負担を考えると、とても有難い。
しかも俺は学生の本分は勉強というところは譲れなかったので、常に学年順位1位をキープしていた。まあ、こんな不良校の1位なんで大したもんではないが、勉強を疎かにしたことは無いし、事後感を出すために寝なかった日はずっと勉強をしていたので頭はいいのだ。
そしてこの不良校に金持ち学校に入るような行儀のいいいい子ちゃんはいないし、賢いヤツらもいない。つまり同郷のヤツらを気にしないでよくなるのだ。
そして2つ目は女人禁制な所である!!
母が最低最悪の女だとわかり、父が女性不信になったと察した時でも俺自身はそこまで嫌悪感を感じていなかった。まあこれは母が元から俺のことを愛していないとわかっていて、ダメージが少なかったというだけかもしれないが。
しかしチャラ男として女の子たちと仲良くなる度に知っていく裏の顔に、女性不信とまではいかないが苦手意識を持つようになった。
もちろん全国の女性が刃物を持ち出してきたりいろんな男に股を開いたり、わざと浮気してドロドロ展開にして楽しむようなやつじゃないのは知っているつもりだが、もう本能的なものなので仕方がないことと諦めている。取り繕うことは可能なので不便に思うこともなかったからだが。
しかし苦手なもんは苦手である。あと愛だの恋だのが信じれなくなったというのもある。もう痴情のもつれは勘弁したい。
そんな俺にとって、この学校はまさに天国のように思えた。
そして良く調べもせずに決意してしまったのだ。この学校に行こう、と…。
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