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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

24【リハビリついでに演習編04】ほんとはどっち?【※ヴァラク大佐昇進】

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【パラディン大佐隊・執務室】

モルトヴァン
「大佐……〝前に押し戻す〟方法、実は考えてあるんですか?」

パラディン
「いや。今回は本当に、正真正銘の丸投げだ」

モルトヴァン
「えっ! 本当に!?」

パラディン
「そのかわり、元ウェーバー大佐隊が何も答えられなくて、十一班・十二班と入れ替えになった後のことは考えている」

モルトヴァン
「……大佐の真の目的はそちらですか」

パラディン
「いや、元ウェーバー大佐隊が〝名案〟を出してくれたら、入れ替えせずにそちらを採用する。発表を楽しみにしていると言ったのは嘘じゃない」

モルトヴァン
「発表できないのを楽しみに待っているんじゃ……」

パラディン
「そんなことはない。私は元ウェーバー大佐隊に同情だけでなく、期待もしているんだ。……ここで〝栄転〟したくないからね」

モルトヴァン
「結局、自分のためなんですね」

パラディン
「だいたい、砲撃せずに『連合』を〝前に押し戻す〟方法なんて、ドレイク大佐に速攻で旗艦を落としてもらって、〈フラガラック〉の粒子砲がまだ使えないうちに、『連合』の司令官代行に撤退命令を出してもらうくらいしかないだろう。あとは無人艦の壁に押し返してもらうか。これならうちは砲撃していないことになる。ただし、殿下は我が隊のために壁を動かしてはくださらないだろうがね」

モルトヴァン
「大佐、一応考えてはいるんじゃないですか」

パラディン
「でも、どちらも他力本願だろう? これではアルスター大佐隊に勝ったとは言えない」

モルトヴァン
「アルスター大佐隊に『連合』の砲撃艦群を押しつけ返すのも、決して勝ったとは言えないと思いますが……」

パラディン
「しかし、現段階ではそれくらいしか意趣返しする方法がないじゃないか。あっちには無人艦がうじゃうじゃいるから、アルスター大佐にもしものことはないだろう」

モルトヴァン
「本当に大佐、アルスター大佐が嫌いになったんですね……」

パラディン
「最初から、さほど好きでもなかった」

モルトヴァン
「え!」

パラディン
「まあ、マクスウェル大佐、ウェーバー大佐に比べたら、はるかにましだったけれども。片翼が二〇〇隻になる前だったら、指揮官としての能力は〝並〟の中くらい?」

モルトヴァン
「え、アルスター大佐で〝並〟の中ですか?」

パラディン
「なお、マクスウェル大佐、ウェーバー大佐、今のアルスター大佐は論外だ」

モルトヴァン
「それは納得できますが……じゃあ、ドレイク大佐とダーナ大佐は?」

パラディン
「うーん……ドレイク大佐は、ここの〝大佐〟としては〝上〟の下。ダーナ大佐は〝上〟の中かな」

モルトヴァン
「ええっ! ドレイク大佐よりダーナ大佐のほうが上ですか!?」

パラディン
「あくまで、ここの〝大佐〟としてはだよ。ドレイク大佐は三隻しか指揮していないからね。そのかわり、司令官だったら殿下より上じゃないかと私は思っている。ダーナ大佐は元マクスウェル大佐隊を仕分けしたからね。その分マイナス」

モルトヴァン
「手厳しいですね……でも、ドレイク大佐が殿下より上!」

パラディン
「よかったね。ドレイク大佐が殿下のファンで」

モルトヴァン
「あの……ちなみにコールタン大佐は?」

パラディン
「〝並〟の上でいいよ」

モルトヴァン
「投げやりですね」

パラディン
「アルスター大佐よりは上にしてやったよ」

モルトヴァン
「なぜに上から目線……」

パラディン
「自分自身の評価はできないからしないが、せめて〝並〟ではありたいね。でも、丸投げしてる時点でもう〝並〟以下か」

モルトヴァン
「本当に丸投げしているわけではないじゃないですか」

パラディン
「部下に何の説明もしていなければ、丸投げしているのと同じことだろう。……楽しみだなあ、一班長。どんな言い訳をしてくるかな?」

モルトヴァン
「……大佐。本当は期待していないでしょう」

パラディン
「そんなことは……おっと、メールだ。……嫌な予感しかしない!」

モルトヴァン
「激しく同意です!」

パラディン
「しかし、見ないわけにはいかないな……サプライズで、アルスター大佐の〝栄転〟のお知らせだったりしないかな?」

モルトヴァン
「それだけは絶対ないでしょう……って、こんなのありですか!?」

パラディン
「殿下的にありなんだろう。しかし、これはエリゴール中佐には言いにくい……」

モルトヴァン
「ですよね……よりにもよって、七班長が〝大佐〟になっただなんて……あと、大佐同士の直接交流も、なぜか解禁されています」

パラディン
「解禁されたところで、ドレイク大佐の執務室には、何があっても行けないな……」

モルトヴァン
「そうですね……たぶん、一発〝栄転〟になりそうな気がします……」
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