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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
255【挨拶回りの前後編07】エア一班長
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【パラディン大佐隊・第一班第一号待機室】
三班のドックから戻ってきた、エリゴール、ハワード、フィリップス。
いつも使っているテーブルでコーヒーを飲んでいる。
その周りには班員たちがいて、打ち合わせをしているふりをしながら聞き耳を立てている。
フィリップス
「まさか、エントランスで〝元四班長を囲む会〟が開催されてるとは思わなかったよな……」
エリゴール
「あんたらがもっと早く来てくれてたら、立ち話程度で済んでたよ」
ハワード
「俺たちが来ても、元四班長が追い払うまで、お開きにならなかっただろうが」
フィリップス
「三班員にとって、元四班長は憧れの元班長なんだよ……」
ハワード
「気持ちはわかるが……あの場にプライスがいなくて本当によかったな」
フィリップス
「一号の副長もちゃっかりいたしな。それにしても、誰も俺たちのことは気にしてなくて、ちょっとだけショック」
ハワード
「ちょっとだけか……」
フィリップス
「俺、班長じゃないし」
ハワード
「うっ! やっぱり俺は……!」
フィリップス
「おとっつぁん。……ドンマイ」
ハワード
「慰め方がすっかりおざなりになったな」
フィリップス
「だって、毎日必ず一度は言ってるから」
エリゴール
「……三班長があんたに敬意を払っていなかったから、班員もそういうものだと思いこんでしまっているんだろう。三班長の退役が確定したら、徹底的に頭に叩きこんでやる」
ハワード
「いや、いいから! そこまでしなくていいから!」
フィリップス
「うん、それはしなくていいよ。むしろ、されたら怖い」
エリゴール
「そうか? あそこなら簡単にできるぞ?」
フィリップス
「相変わらず、こともなげに言う」
ハワード
「だが、元四班長なら絶対にそうできるだろうと揺るぎなく信じられる」
フィリップス
「だって、俺たち自身がすでに調教されてるから」
ハワード
「ところで……俺は本当に何もしなくていいのか?」
フィリップス
「突然、何を今さら?」
ハワード
「いや……最初は俺が直接大佐にプライスの話をすることになってただろ?」
フィリップス
「ああ、そういや仮眠する前の元四班長がそんなこと言ってたね」
エリゴール
「あの時点では、まだ保留にしてたからな。それでも、そんな話をされたってことを大佐に報告しとかないと、あとで問題になりそうだろ」
フィリップス
「それはそう。お気遣いいただき誠にありがとうございます」
ハワード
「でも、結局、プライスが一人で大佐に退役願を提出することになったじゃないか」
エリゴール
「ああ、そういうことか。それなら、今日の活動報告書に三班長のことを書いておけばいい。三班まで直接出向いて説得したが、本人の決意が固く、退役願の提出を促した……とか何とか適当に」
ハワード
「天才か!?」
エリゴール
「いや、普通だろ」
ハワード
「真顔で否定された!」
フィリップス
「まさか、わざわざ三班に行ったのはアリバイ作りのため!?」
エリゴール
「いや、大佐でもないのに、ここに三班長を呼びつけるのも何だなと思っただけだ」
フィリップス
「ふわっとしてるけど、それだけに普通な理由だった!」
エリゴール
「まあ、明日はドレイク大佐が挨拶回りに来るから、三班長が大佐に会えるのは午後以降になるかもしれないな。それから、ドレイク大佐が来る時間帯には、俺はここにいるぞ。何があっても絶対外には出ない」
フィリップス
「俺たちは全然かまわないけど……大佐は?」
エリゴール
「昨日、大佐に挨拶回りの話をされた時点でもう言った」
フィリップス
「言ってたのか!」
ハワード
「偶然、出くわす可能性すら消したいのか……今日の三班員たちとは正反対だな」
フィリップス
「おとっつぁんは誰にも怖がられてなくてよかったね」
ハワード
「それはそれで複雑だけどな……」
三班のドックから戻ってきた、エリゴール、ハワード、フィリップス。
いつも使っているテーブルでコーヒーを飲んでいる。
その周りには班員たちがいて、打ち合わせをしているふりをしながら聞き耳を立てている。
フィリップス
「まさか、エントランスで〝元四班長を囲む会〟が開催されてるとは思わなかったよな……」
エリゴール
「あんたらがもっと早く来てくれてたら、立ち話程度で済んでたよ」
ハワード
「俺たちが来ても、元四班長が追い払うまで、お開きにならなかっただろうが」
フィリップス
「三班員にとって、元四班長は憧れの元班長なんだよ……」
ハワード
「気持ちはわかるが……あの場にプライスがいなくて本当によかったな」
フィリップス
「一号の副長もちゃっかりいたしな。それにしても、誰も俺たちのことは気にしてなくて、ちょっとだけショック」
ハワード
「ちょっとだけか……」
フィリップス
「俺、班長じゃないし」
ハワード
「うっ! やっぱり俺は……!」
フィリップス
「おとっつぁん。……ドンマイ」
ハワード
「慰め方がすっかりおざなりになったな」
フィリップス
「だって、毎日必ず一度は言ってるから」
エリゴール
「……三班長があんたに敬意を払っていなかったから、班員もそういうものだと思いこんでしまっているんだろう。三班長の退役が確定したら、徹底的に頭に叩きこんでやる」
ハワード
「いや、いいから! そこまでしなくていいから!」
フィリップス
「うん、それはしなくていいよ。むしろ、されたら怖い」
エリゴール
「そうか? あそこなら簡単にできるぞ?」
フィリップス
「相変わらず、こともなげに言う」
ハワード
「だが、元四班長なら絶対にそうできるだろうと揺るぎなく信じられる」
フィリップス
「だって、俺たち自身がすでに調教されてるから」
ハワード
「ところで……俺は本当に何もしなくていいのか?」
フィリップス
「突然、何を今さら?」
ハワード
「いや……最初は俺が直接大佐にプライスの話をすることになってただろ?」
フィリップス
「ああ、そういや仮眠する前の元四班長がそんなこと言ってたね」
エリゴール
「あの時点では、まだ保留にしてたからな。それでも、そんな話をされたってことを大佐に報告しとかないと、あとで問題になりそうだろ」
フィリップス
「それはそう。お気遣いいただき誠にありがとうございます」
ハワード
「でも、結局、プライスが一人で大佐に退役願を提出することになったじゃないか」
エリゴール
「ああ、そういうことか。それなら、今日の活動報告書に三班長のことを書いておけばいい。三班まで直接出向いて説得したが、本人の決意が固く、退役願の提出を促した……とか何とか適当に」
ハワード
「天才か!?」
エリゴール
「いや、普通だろ」
ハワード
「真顔で否定された!」
フィリップス
「まさか、わざわざ三班に行ったのはアリバイ作りのため!?」
エリゴール
「いや、大佐でもないのに、ここに三班長を呼びつけるのも何だなと思っただけだ」
フィリップス
「ふわっとしてるけど、それだけに普通な理由だった!」
エリゴール
「まあ、明日はドレイク大佐が挨拶回りに来るから、三班長が大佐に会えるのは午後以降になるかもしれないな。それから、ドレイク大佐が来る時間帯には、俺はここにいるぞ。何があっても絶対外には出ない」
フィリップス
「俺たちは全然かまわないけど……大佐は?」
エリゴール
「昨日、大佐に挨拶回りの話をされた時点でもう言った」
フィリップス
「言ってたのか!」
ハワード
「偶然、出くわす可能性すら消したいのか……今日の三班員たちとは正反対だな」
フィリップス
「おとっつぁんは誰にも怖がられてなくてよかったね」
ハワード
「それはそれで複雑だけどな……」
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