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  「リーザロッテさまっ、私のノート……返してくださいっ」

  手をぎゅっと拳に握り締めて肩をふるふると震わせながら、大きな目には零れそうな涙を溜めて、小柄なルルアがリーザロッテの前で必死に訴えている
  戸惑ったリーザロッテが小首を傾げると

  「どなたの、ノートですの?」

  「私のですっ、惚けないでくださいっ」

  「困りましたわ、わたくしルルア様のノートに心当たりがないのですわ」

  「もうすぐ試験だからっ、大事なノートなんですっ」

  ルルアが決めつけるように言ってポロポロと涙を零す
  リチャードがルルアを守るように前に出ると、リーザロッテを小突き、リーザロッテがよろける

  「白々しい嘘をつくな、ルルアは昨日から必死に探してるんだぞ!」

  突然始まった茶番劇を教室の後ろで見ていたが、リーザロッテが小突かれた事から放っておけないと判断して

  「エルバルト殿下が出られるとルルア様がまたリーザロッテ様を詰りますわ、ここは私が行きます」

  「いや、セレスティアに何かあっては」

  「流石に留学生の貴族に手を出すような事はないでしょう。念の為にルイ様に近くに控えていて頂きますから」

  「わかった、危害が及びそうだと判断すれば、すぐに出るぞ」

  「わかりましたわ」

  セレスティアはリーザロッテを囲んで罵倒を続ける集団の中に入って行く
  さりげなくリーザロッテを庇うように立つと

  「ミンス男爵令嬢、ノートがなくなったのは、昨日のいつですの?」

  「お昼ですっ、私達は食堂でランチしていて、午後の授業の時はなかったんですっ」

  「昨日のお昼ですわね?何故、リーザロッテ様が取ったなどとお思いになりますの?」

  「だって、リーザロッテさまは食堂に来ませんでしたし、みんなは食堂でランチをしてたって言っています。だから、教室にはリーザロッテさまが一人だったんですっ」

  きっぱりと言い切ったルルアに、セレスティアは微笑んだ
  それをどう思ったのか、勝ち誇ったような表情を浮かべるルルア

  「では、ミンス男爵令嬢のノートは出てきませんわね。昨日のお昼は、リーザロッテ様を誘って私が裏庭で昼食を取っていたのですもの」

  やんわりと昨日のお昼のリーザロッテの行動を言うと

  「貴様、嘘を吐いて庇うと貴様も同罪にするぞ!」

  リチャードが怒鳴るようにセレスティアを詰る
  反してセレスティアは冷静に真っ直ぐに目を向けて

  「私を嘘つき呼ばわりなさるのですか?嘘を吐いてまで庇うような事は致しません」

  「俺達も近くにいたからな、セレスティアの証言で足りないなら、俺達も証言しよう」

  リチャードの態度を見かねたルイが出てきた
  ヒックヒックとルルアが泣き出してロイス達が慰めながらリーザロッテを罵倒する

  「兎に角、もう一度よくお探しになってみてはどうですか」

  リーザロッテばかりを罵倒するリチャード達をエルバルトが殴りそうな目で睨んでいるのが目に入ったセレスティアはリーザロッテを連れ出した
  
  

  

  
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