146 / 202
第3章
第135話 リリス14歳 バレました1
しおりを挟む
「あの聖獣は飼っているのかい?」
(!!!!はっ???お父様いま"聖獣"って言った?・・いやいやぁ・・ないない・・聞き間違いよぉ。もういくら今日は疲れてるからって、聞き間違えるなんて・・・)
「えーっと、お父様?今なんとおっしゃいました?」
「うん?あの子はリリスが飼ってるのかい?」
顎に手を当て、ダーウィンが繰り返す。それにリリスは心の内を悟られないよういつもの微笑みを浮かべながら言う。
「えーっと、何をおっしゃってるのか・・・大体私の周りに動物はおりませんよ」
「動物じゃなくて聖獣だろう?あの子は」
そう言ってダーウィンは、ベッドの方へ視線を移した。その視線の先では今まさにネージュがベッドに上がり、丸くなっている最中だった。おそらく寝るのだろう。
「ですから聖獣なんて、見たことも聞いたことも・・・あっ、いえ・・聞いたことはありますけど、見たことありませんわ」
「リリス・・誤魔化しても無駄だよ。私には見えるんだから・・・隠したいのも分かるが、何度も言うけど見えてるんだ」
リリスは背中に嫌な汗をかいているのを自覚した。何も答えずにいるリリスにダーウィンがさらに言う。
「私を誰だと思ってるんだい?曲がりなりにも文官長なんてものをやってるんだよ。魔力には多少の自信はある。
今日、彼に送ってもらった時、馬車からあの聖獣も降りてきたね。彼も知ってるのかな?」
リリスは驚きすぎて、口をパクパクさせている。アーウィンや使用人が気付かないので、屋敷ではリリス以外は見ることができないと思っていた。考えたら、アルバスやアルミーダには見えてるのだから、魔力の強いダーウィンにも見えて当たり前だというのに。
ダーウィンは娘の様子に苦笑すると、優しい声で話しかける。
「リリス、悪いようにはしないから、正直に話しなさい。私は娘を悲しませるような無能な父親に見えるかい?」
そのセリフにハッとした表情でダーウィンを見つめたリリスは、首を横に振った。それにダーウィンは、目を細める。
(お父様はそんな事しない。ちゃんと話せば、分かってくれるわ)
そう考えたリリスの瞳には、決心の色が宿っていた。一度大きく息を吸い込みフーッと吐くと、ゆっくりと話し始めた。
「あの子・・あっ、あの子には"ネージュ"という名を付けました。ネージュに出会ったのは、昨年です」
それから順を追って話した。最初にアルバスが気付いたこと。ネージュに懐かれ、今まで一緒にいたこと。昨年は学園へも行っていたが、2年生になってからは留守番をしていることをひととおり話した。
アルミーダやメイル、そして昨年の学園での騒動には触れなかった。さすがに包み隠さず何もかも話すのは躊躇われたからだ。悪いようにはしないと言ったダーウィンだが、二匹目の聖獣、高名な魔女の存在、さらには愛娘が危ない目にあったと知れば、冷静でいられるはずがない。すべてを知れば、さすがに上に報告を上げるかもしれない。そうなれば、珍しい存在の聖獣は国の管理下に置かれるかもしれない。リリスはそれだけは避けたかった。
そしてこれまでの経緯を聞いたダーウィンが、質問した。
「なるほど。ネージュの存在を知っているのは、誰だい?」
それにリリスは、ヘンリーやアリーナたちの名前を挙げた。ダーウィンはそれを腕を組んで聞いていた。そして何かを思案している様子にリリスはただ待ち続けた。ダーウィンが口を開くのを。
(あー、お父様・・・お願いだから、ネージュを取り上げるとか言わないでね。悪いようにしないって言ったんだから・・・でももしそうなったら、どうよう・・)
「・・・・・分かったよ。このままリリスが飼いなさい。但し、今後事態が変わるようなことがあったら、その時は分かってるね?扱いはくれぐれも慎重にするんだよ」
「えっ?よろしいんですか?」
リリスが望んだ返答とはいえ、ダーウィンがすんなり許したことに思わず聞き返した。
「何を驚いてるだい?リリスはそうしたいんだろう?」
「ええ、もちろん!でももう少しこう・・反対されるかと思っていたもので」
「もちろん心配もあるさ。特にかわいい娘に危害がないとも言えないからね。
ただ今回はアルバス先生も黙認してるようだし、何より当の聖獣がリリスに懐いてるんだ。それを引き離す悪役には私もなりたくないよ」
ダーウィンの言葉にリリスは立ち上がると、父親に抱きついた。
「お父様!ありがとう!だから、お父様大好きなのよ。ちゃんと私のこと分かってくれてる!」
ダーウィンは娘の行動に驚きつつ、嬉しそうに身体を受け止めた。そして後ろに回した手でリリスの頭をポンポンと撫でた。リリスはその優しい手に父親の愛情を感じ、子供のように笑った。
(!!!!はっ???お父様いま"聖獣"って言った?・・いやいやぁ・・ないない・・聞き間違いよぉ。もういくら今日は疲れてるからって、聞き間違えるなんて・・・)
「えーっと、お父様?今なんとおっしゃいました?」
「うん?あの子はリリスが飼ってるのかい?」
顎に手を当て、ダーウィンが繰り返す。それにリリスは心の内を悟られないよういつもの微笑みを浮かべながら言う。
「えーっと、何をおっしゃってるのか・・・大体私の周りに動物はおりませんよ」
「動物じゃなくて聖獣だろう?あの子は」
そう言ってダーウィンは、ベッドの方へ視線を移した。その視線の先では今まさにネージュがベッドに上がり、丸くなっている最中だった。おそらく寝るのだろう。
「ですから聖獣なんて、見たことも聞いたことも・・・あっ、いえ・・聞いたことはありますけど、見たことありませんわ」
「リリス・・誤魔化しても無駄だよ。私には見えるんだから・・・隠したいのも分かるが、何度も言うけど見えてるんだ」
リリスは背中に嫌な汗をかいているのを自覚した。何も答えずにいるリリスにダーウィンがさらに言う。
「私を誰だと思ってるんだい?曲がりなりにも文官長なんてものをやってるんだよ。魔力には多少の自信はある。
今日、彼に送ってもらった時、馬車からあの聖獣も降りてきたね。彼も知ってるのかな?」
リリスは驚きすぎて、口をパクパクさせている。アーウィンや使用人が気付かないので、屋敷ではリリス以外は見ることができないと思っていた。考えたら、アルバスやアルミーダには見えてるのだから、魔力の強いダーウィンにも見えて当たり前だというのに。
ダーウィンは娘の様子に苦笑すると、優しい声で話しかける。
「リリス、悪いようにはしないから、正直に話しなさい。私は娘を悲しませるような無能な父親に見えるかい?」
そのセリフにハッとした表情でダーウィンを見つめたリリスは、首を横に振った。それにダーウィンは、目を細める。
(お父様はそんな事しない。ちゃんと話せば、分かってくれるわ)
そう考えたリリスの瞳には、決心の色が宿っていた。一度大きく息を吸い込みフーッと吐くと、ゆっくりと話し始めた。
「あの子・・あっ、あの子には"ネージュ"という名を付けました。ネージュに出会ったのは、昨年です」
それから順を追って話した。最初にアルバスが気付いたこと。ネージュに懐かれ、今まで一緒にいたこと。昨年は学園へも行っていたが、2年生になってからは留守番をしていることをひととおり話した。
アルミーダやメイル、そして昨年の学園での騒動には触れなかった。さすがに包み隠さず何もかも話すのは躊躇われたからだ。悪いようにはしないと言ったダーウィンだが、二匹目の聖獣、高名な魔女の存在、さらには愛娘が危ない目にあったと知れば、冷静でいられるはずがない。すべてを知れば、さすがに上に報告を上げるかもしれない。そうなれば、珍しい存在の聖獣は国の管理下に置かれるかもしれない。リリスはそれだけは避けたかった。
そしてこれまでの経緯を聞いたダーウィンが、質問した。
「なるほど。ネージュの存在を知っているのは、誰だい?」
それにリリスは、ヘンリーやアリーナたちの名前を挙げた。ダーウィンはそれを腕を組んで聞いていた。そして何かを思案している様子にリリスはただ待ち続けた。ダーウィンが口を開くのを。
(あー、お父様・・・お願いだから、ネージュを取り上げるとか言わないでね。悪いようにしないって言ったんだから・・・でももしそうなったら、どうよう・・)
「・・・・・分かったよ。このままリリスが飼いなさい。但し、今後事態が変わるようなことがあったら、その時は分かってるね?扱いはくれぐれも慎重にするんだよ」
「えっ?よろしいんですか?」
リリスが望んだ返答とはいえ、ダーウィンがすんなり許したことに思わず聞き返した。
「何を驚いてるだい?リリスはそうしたいんだろう?」
「ええ、もちろん!でももう少しこう・・反対されるかと思っていたもので」
「もちろん心配もあるさ。特にかわいい娘に危害がないとも言えないからね。
ただ今回はアルバス先生も黙認してるようだし、何より当の聖獣がリリスに懐いてるんだ。それを引き離す悪役には私もなりたくないよ」
ダーウィンの言葉にリリスは立ち上がると、父親に抱きついた。
「お父様!ありがとう!だから、お父様大好きなのよ。ちゃんと私のこと分かってくれてる!」
ダーウィンは娘の行動に驚きつつ、嬉しそうに身体を受け止めた。そして後ろに回した手でリリスの頭をポンポンと撫でた。リリスはその優しい手に父親の愛情を感じ、子供のように笑った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
579
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる