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第3章

第137話 リリス14歳 王子に邪魔される1

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翌朝、リリスはヘンリーに父親にネージュの存在を知られたことを話した。

「そうか・・さすが公爵様だな。むしろ今までよく気付かれなかったと思うよ」

昨夜の出来事を聞いたヘンリーは、顎に手を当て感心している様子だ。

「そう言われれば、そうね。一緒に暮らしてるのに、昨日までお父様の目に止まらなかったんだもんね。でも本当に焦ったわ。お父様がまさかお許しになるなんて、思わなかったもの」

「そうだね。アルバス先生の信用あってだなぁ」

「そうね。お隣ではすごい魔法使いだったみたいだけど、先生ってそんな偉そうな雰囲気ぜんっぜん出してないし、単なる魔法の先生にしか見えないのよね。
そう言えば、前に癒やし魔法以外は使えるって言ってたよね。先生だからそれくらい当たり前みたいに言ってたけど、他の先生はどうなのか知ってる?」

「うーん、どうだろうな。でもアルバス先生はシュトリーマでもプロメアでも実力はトップクラスなのは、間違いないだろう。アルバス先生だから、そんな事ができるんだよ、きっと」

「何だかよくよく考えると、先生に対する態度を改めないといけない気がしてきたわ。崇拝するぐらいね」

そう言って胸の前で手を合わせ、上を仰ぎ見るリリスの仕草にヘンリーは笑った。

「あはは・・リリィ、そんな事したら、先生頭抱えるよ」

「えへへっ・・」

リリスは舌をぺろっと出し、肩をすくめてみせた。

「でも本当にすごいわよね。魔法はひと通り使えて、有名な魔女と知り合いでおまけに聖獣と話せる・・いや、冗談抜きでやっぱり師と仰ぐべきね・・ということで、まずは聖獣語の教えを請うわ」

変わらないリリスの決意にヘンリーは「程々にね」と言うのを忘れなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その日の昼休み、リリスはカフェテリアの前でヘンリーと落ち合い、中で食事をとると言うアリーナたちと別れるところだった。

「それじゃあ、また後でね」

「「いってらっしゃーい」」

リリスとヘンリーの二人は、昨日決めたようにアルバスに森の話をするため、先生の元を訪ねるのだ。しかしアリーナたちとお互い言葉を交わした時、横から「やあ」という声がした。リリスたちが声の主を見ると、そこにはキラキラの王子スマイルを浮かべるアーサーが立っていた。いつものように横にはアーウィンを始めとする側近が控えている。おまけに今日は黄色い声を上げる女子生徒たちも後ろにズラズラと引き連れていた。

「君たちも今から食事かい?」

リリスは否定しようと口を開きかけたが、アリーナに先を越されてしまう。

「はい!殿下もお食事でしたら、ぜひご一緒にいかがでしょうか?ねえ、リリス?」

「えっ?ちょっとアリーナ!言ったでしょ!私たちはこれから先生のところに用があるって」

「しいっ!黙って!」

(はっ?"しいっ"って何?!"黙って"って言った?!はあ?この前は殿下との噂を心配してくれたのさぁ。なによ、この変わり身の速さ・・ヘンリーもいるのに・・・)

横をチラッと見ると、ヘンリーは笑みを浮かべている。
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