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第3章
第139話 リリス14歳 阿諛追従
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翌日、休み時間に集まったリリスたちは話をしている。話の内容は、昨日アーサーに誘われ、城へ行ったときのことだった。
「昨日は楽しかったわね」
「そうね。それに庭園も素敵だったわ」
「庭も良かったけど、置いてある美術品も流石だったよ。父さんの話に聞いていた通りだったな」
アリーナ、エリーゼにアシュリーは、各々感想を述べている。その表情は、夢見心地だ。アーサーと面識のあるスタイラスは何度か登城しているため、みんなの会話を笑顔で聞いている。
「それに何と言っても、殿下よ。あの見目でお優しいなんて、反則よ。あれで心奪われない令嬢なんていないわ」
「なぁに。アリーナもエリーゼ様も心奪われちゃったの?」
リリスが頬杖をつき、ニコニコしながら質問した。それにアリーナが答える。
「うんうん。もう奪われちゃったのよ・・って、あー・・リリスは違うわね」
その横でエリーゼが、リリスの方へ身を乗り出し話す。
「それはそうよ。ヘンリー様が隣で目を光らせてたもの。リリスを見て頬を赤くした者に今にも凍らせそうな氷の視線を送ってたじゃない」
「ヘンリーはそんな事してないと思うけど・・・いつ見ても笑顔だったわ」
・・・・・
リリスの言葉にアリーナたちは、何も言わずに顔を見合わせた。そして小さくため息をついたアリーナが言う。
「リリス・・・あなたって本当に幸せ者よね」
その言葉にスタイラスとアシュリーが大きく頷いている。
「それは否定しないよ。だってみんなとこうして友人になれたんだし。みんなだってそうでしょ?」
首を傾げて言うリリスにエリーゼが「あぁ、もうリリス様って本当に・・・あぁ、もう抱きしめたいわ」と悶絶している。そしてエリーゼの肩にポンと手を置いたアリーナは「リリスは昔からこうなのよ。小悪魔でしょ?」と言い、エリーゼは何度も頷いた。そんなやり取りを笑って見ていたスタイラスが口を開いた。
「でもこれで例の噂も落ち着くといいよな」
「大丈夫だろう。殿下もまた誘ってくれるようだし、僕たちグループで親しくしてくだされば、周りもリリス嬢も含めて友人として見るだろう」
アシュリーがそう言うと、エリーゼが思い付いたように話す。
「そう言えば、今朝から挨拶をしてくる人が増えたの」
「それ僕もだよ。今まで友人しか挨拶なんてしなかったのに、知らない人がやたらと声を掛けてくるんだよ」
アシュリーが困惑した様子で言うと、スタイラスが楽しそうな顔でアシュリーに言う。
「もう効果が出たのか。流石王族パワーと言ったところか。すごいな。
君たち経由で殿下とお近付きになりたい奴らだろう?」
「そう言えば、リベイラ様とダグラム様も側近になってから、近寄ってくる令嬢が増えたと言ってたわね。目的が透けて見えて、ありがた迷惑だって言ってたけど」
アリーナがアシュリーに残念そうな眼差しを送り、言った。
「彼らは貴族だし、決まった婚約者もいないから当然だろうと他人事だったけど、まさかいち商会の息子の僕にまで媚びるなんてさ。しかも昨日の今日だよ?!」
「残念ながら、殿下と仲良くするとそういうおまけが付いてくるんだよ」
「スタイラスだって、そうだろう?四大公爵家で殿下とも友人、おまけに婚約者がいない・・・娘を嫁がせたい貴族が湧いてるだろう」
「ああ、まあそこは上手くかわしてるよ。それに我が家に強く出られる家は少ないだろう。我が家の機嫌を損ねれば、今後貴族としては大変なことになるからね」
スタイラスが黒い笑みを浮かべて言うと「うわぁ。悪いやつだな」とアシュリーが言った。
「何だかごめんなさい。面倒な事に巻き込んでしまったわ」
リリスが思わず謝ると、アシュリーは慌てて言う。
「何を言ってるのさ。リリス嬢が謝ることなんてないよ。
殿下の話はとても興味深いものばかりだから有意義な時間を過ごせる。それに非常に光栄なことだよ」
アリーナたちも「そうよ」と口にしている。そんな皆の様子にリリスは微笑んだ。
「昨日は楽しかったわね」
「そうね。それに庭園も素敵だったわ」
「庭も良かったけど、置いてある美術品も流石だったよ。父さんの話に聞いていた通りだったな」
アリーナ、エリーゼにアシュリーは、各々感想を述べている。その表情は、夢見心地だ。アーサーと面識のあるスタイラスは何度か登城しているため、みんなの会話を笑顔で聞いている。
「それに何と言っても、殿下よ。あの見目でお優しいなんて、反則よ。あれで心奪われない令嬢なんていないわ」
「なぁに。アリーナもエリーゼ様も心奪われちゃったの?」
リリスが頬杖をつき、ニコニコしながら質問した。それにアリーナが答える。
「うんうん。もう奪われちゃったのよ・・って、あー・・リリスは違うわね」
その横でエリーゼが、リリスの方へ身を乗り出し話す。
「それはそうよ。ヘンリー様が隣で目を光らせてたもの。リリスを見て頬を赤くした者に今にも凍らせそうな氷の視線を送ってたじゃない」
「ヘンリーはそんな事してないと思うけど・・・いつ見ても笑顔だったわ」
・・・・・
リリスの言葉にアリーナたちは、何も言わずに顔を見合わせた。そして小さくため息をついたアリーナが言う。
「リリス・・・あなたって本当に幸せ者よね」
その言葉にスタイラスとアシュリーが大きく頷いている。
「それは否定しないよ。だってみんなとこうして友人になれたんだし。みんなだってそうでしょ?」
首を傾げて言うリリスにエリーゼが「あぁ、もうリリス様って本当に・・・あぁ、もう抱きしめたいわ」と悶絶している。そしてエリーゼの肩にポンと手を置いたアリーナは「リリスは昔からこうなのよ。小悪魔でしょ?」と言い、エリーゼは何度も頷いた。そんなやり取りを笑って見ていたスタイラスが口を開いた。
「でもこれで例の噂も落ち着くといいよな」
「大丈夫だろう。殿下もまた誘ってくれるようだし、僕たちグループで親しくしてくだされば、周りもリリス嬢も含めて友人として見るだろう」
アシュリーがそう言うと、エリーゼが思い付いたように話す。
「そう言えば、今朝から挨拶をしてくる人が増えたの」
「それ僕もだよ。今まで友人しか挨拶なんてしなかったのに、知らない人がやたらと声を掛けてくるんだよ」
アシュリーが困惑した様子で言うと、スタイラスが楽しそうな顔でアシュリーに言う。
「もう効果が出たのか。流石王族パワーと言ったところか。すごいな。
君たち経由で殿下とお近付きになりたい奴らだろう?」
「そう言えば、リベイラ様とダグラム様も側近になってから、近寄ってくる令嬢が増えたと言ってたわね。目的が透けて見えて、ありがた迷惑だって言ってたけど」
アリーナがアシュリーに残念そうな眼差しを送り、言った。
「彼らは貴族だし、決まった婚約者もいないから当然だろうと他人事だったけど、まさかいち商会の息子の僕にまで媚びるなんてさ。しかも昨日の今日だよ?!」
「残念ながら、殿下と仲良くするとそういうおまけが付いてくるんだよ」
「スタイラスだって、そうだろう?四大公爵家で殿下とも友人、おまけに婚約者がいない・・・娘を嫁がせたい貴族が湧いてるだろう」
「ああ、まあそこは上手くかわしてるよ。それに我が家に強く出られる家は少ないだろう。我が家の機嫌を損ねれば、今後貴族としては大変なことになるからね」
スタイラスが黒い笑みを浮かべて言うと「うわぁ。悪いやつだな」とアシュリーが言った。
「何だかごめんなさい。面倒な事に巻き込んでしまったわ」
リリスが思わず謝ると、アシュリーは慌てて言う。
「何を言ってるのさ。リリス嬢が謝ることなんてないよ。
殿下の話はとても興味深いものばかりだから有意義な時間を過ごせる。それに非常に光栄なことだよ」
アリーナたちも「そうよ」と口にしている。そんな皆の様子にリリスは微笑んだ。
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